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08年7月/

2008年7月
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歩いても 歩いても (7/3更新)  母娘の会話、食卓で交わされる言葉の数々、夫婦・親子の関係の中で、あらゆるセリフが生活に根ざしたリアリティにあふれている。日常を覗き見しているような錯覚を覚えるほど登場人物の気持ちに観客を接近させる脚本は見事だ。  お勧め度=★★* 
ぼくの大切なともだち (7/3更新)  オープンに付き合える友人を作るのは、恋人を作るより難しい。なんでもカネですまそうとする男が自分に親友がいないと気付き、改めて損得勘定ナシの友を探す過程で、人間関係には大変な努力と心遣いが必要であることを描く。 お勧め度=★★★
告発のとき (7/1更新)  戦争は若者を狂気に駆り立てる。休暇中の兵士の不審死をその父親が調査するうちに望まない真実を知るという過程を通じて、イラク戦争がもたらした心の荒廃、ひいては米国がSOSのサインを発するまでに病んでいることを訴える。 お勧め度=★★* 
ミラクル7号 (7/1更新)  貧乏でも正直ものは尊敬される。そんな説教くさい話をファンタジーとコメディというオブラートでくるみ、CGと特撮で見せる。チャウ・シンチーは手垢のついた物語を、あらゆる劇映画のジャンルをごった煮にしたスタイルで描く。 お勧め度=★★* 

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2008年6月
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ネコナデ (6/28更新)  面倒を見ていないと心配でたまらない、それでも会社があるので仕方なく離れなければならない。笑うことのなかった主人公が子猫に癒されていく過程を通じて、彼自身も気付いていなかった心の中の優しい部分が目覚めていく。  お勧め度=★★★* 
休暇 (6/28更新)  主人公の心に去来する、人命を奪ったという呵責。たとえそれが仕事であったとしても、死にゆく受刑者の断末魔の痙攣や体温の感触は決して消えない記憶となって彼に付きまとう。映画は、刑務官の心理を通じて、命の重さを問う。 お勧め度=★★★ 
西の魔女が死んだ (6/26更新)  みずみずしいまでの緑に囲まれた山奥の洋館、そこは森の動植物の生命の息吹が濃厚に感じられる。毎日を規則正しく過ごしているだけで、太陽の光や自然の恵みに感謝したくなる。そんな気持ちを心に芽生えさせる映像が美しい。  お勧め度=★★★ 
屋敷女 (6/26更新)  凄惨なまでの血のイメージがこの映画全体を女の歪んだ情念に染めていく。おなかの子だけは守ろうとする母親の強さと、その子を奪おうとする女の執拗な狂気。それらがシャープな映像とライティングで強調され、恐怖が増幅される。  お勧め度=★★★ 
奇跡のシンフォニー (6/24更新)  心の耳を澄ませば、風や雷、光までがメロディを紡ぎだし、大都会の雑音ですらリズムを伴ったハーモニーに変換される。音楽がもつ無限の可能性と強烈な引力、映画はその美しさが人間の運命すら変える力を持つことを丹念に描く。 お勧め度=★★★ 
リボルバー (6/24更新)  スタイリッシュな映像と謎めいた登場人物、更に二転三転する展開にアニメーションまで加えて、新感覚の映画にするつもりだったのだろう。しかし、大掛かりな仕掛けでだますはずが、結局ペテンに収拾が付かなくなってしまった。 お勧め度=★* 
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 (6/21更新)  ソ連の指揮官に扮したケイト・ブランシェットが圧倒的な存在感だ。ショートボブに頬骨の形まで変え、疾走する無蓋車両の荷台で剣を振り回すその姿は、まさに鋼鉄の女。食傷気味の冒険アドベンチャーに新鮮な風を送り込んでいる。  お勧め度=★★★ 
1000の言葉よりも (6/21更新)  「報道写真家は職業ではなく、人生そのもの」。写真を学ぶ若者に向かって断言するジブ・コーレン。常にカメラを携帯し、事件が起きれば駆けつける。世の中で起きている真実を伝えるために命を賭ける男の熱い息吹が伝わってくる。  お勧め度=★★*  
REC (6/19更新)  ドキュメンタリータッチで臨場感を高めようという意図は理解できるが、この作品ではカメラマンは当事者であると同時に傍観者。そのスタンスが主人公の感覚との距離感を生み、スクリーンを通じて伝わる感情の揺れが半減される。 お勧め度=★★* 
築地魚河岸三代目 (6/19更新)  義理人情に威勢のよさ、いまだに昔気質が強く残る鮮魚仲買人。非情のビジネス界で生きてきた男が、損得勘定よりも信用を重視する人間関係の濃い世界で仲間と認められていく過程で、いまや希薄となった他人を思いやる心を描く。  お勧め度=★★* 
JUNO (6/17更新)  本人は傷つかず、ボーイフレンドも苦しまず、両親や周りの大人も反対しない。女子高生が望まない妊娠をしたのに、映画は通常起こりうるような苦悩や葛藤、軋轢とはまったく無縁に進展し、あらゆる予想に肩透かしを食わせる。 お勧め度=★★★ 
ぐるりのこと。 (6/17更新)  憎悪、怒り、悲しみ、後悔。あらゆる負の感情が詰まったパンドラの箱のような法廷で、最後に残った希望であろうとする主人公。世の中にあふれる悪意を感じるほど、精神のバランスを崩した妻を優しく受け入れるようになっていく。 お勧め度=★★★ 
イースタン・プロミス (6/14更新)  得体の知れない不気味さの奥に潜む鋼鉄の意志を持つ主人公を演じたヴィゴ・モーテンセンが圧倒的な存在感を示し、陰鬱な中に人間の感情を鋭く切り取る映像は、見る者の心に恐怖とその先にある希望をダイレクトに響かせる。  お勧め度=★★★★ 
DIVE!! (6/14更新)  10メートルの飛び込み台に立つダイバーたちをとらえたカメラワークがすばらしい。眼下に広がる目くるめくような空間の広がりが非常に感覚的に再現され、演技に入る寸前の一瞬の緊張感と息遣いが手に取るように実感できる。  お勧め度=★★★ 
神様のパズル (6/12更新)  誕生の瞬間を再現すれば宇宙が作れるという仮説を立てた主人公が、天才少女と共に研究を重ねるうち、人間が内包する宇宙の広大さに気付く。調和の取れた宇宙よりも、矛盾と混沌に満ちた感情のほうが謎と美にあふれているのだ。  お勧め度=★★* 
ブルー・ブルー・ブルー (6/12更新)  サーフボードを体の一部のように操り、スピードとスリルのなかに自分たちの存在意義を確かめる。それは退屈な日常から切り離された一瞬の高揚感、大人になるまでに残されたわずかな時間を惜しむかのように彼らは海へと向かう。  お勧め度=★★ 
春よこい (6/10更新)  新聞記者によるペンの暴力の恐ろしさ。いかに犯人逮捕のためとはいえ、子供をダシにして一見感動的な記事の体裁をとるという偽善極まりない行為を正当化することはできない。殺人事件容疑者の家族の人権を考えないのだろうか。 お勧め度=★★* 
ザ・マジックアワー (6/10更新)  張りぼてとハッタリがリアリティを産むという映画の本質を喝破しつつ、三谷監督の自虐的なセンスもまた適度にスパイスとなっている。作り手と観客の間にある「お約束」を見事なメタファーとして昇華する脚本がすばらしい。 お勧め度=★★★* 
おいしいコーヒーの真実 (6/5更新)  農民の無知に付け込んでコーヒー豆を投機の対象にする先進国。経済のグローバル化という搾取の構造のなかで、自国の生産農家に利益を還元しようとするエチオピア人ディーラーの姿を通じて、自由経済の暗部を鮮明に描き出す。  お勧め度=★★* 
僕の彼女はサイボーグ (6/5更新)  感情をプログラムされたサイボーグを過去の自分に送るというファンタジーだからといって、ディテールを疎かにしすぎ。ラブストーリーとしてもコメディとしても消化不良で、廃墟となった東京の姿だけが妙にリアルで浮いていた。 お勧め度=★★  
幸せになるための27のドレス (6/5更新)  いつかは幸せな結婚をしたいと願っているのに、お人好の性格のせいでつい自分の恋は後回しにしてしまうヒロイン。しかし、アリティのないエピソードの連続のために不発で、唯一の見所がファッションショーというのは少し寂しい。 お勧め度=★* 
コラソン de メロン (6/5更新)  プライドを捨てることで人間は楽に生きられるものなのか。マジメに働く能力が決定的に欠如しているが、女には妙に大切にされる。ディテールにはまったくリアリティがないにも関わらず、このヒモ男の身勝手さは異彩を放っている。  お勧め度=★* 
シューテム・アップ (6/3更新)  ニンジンを口に突き刺し、オイルをまいて滑り、ドライヤーで手を焼く。さらに引き出しや遊具・ロープまで、何でも利用して数的な不利を覆す。圧倒的多数の武装集団を相手にたった一人で立ち向かう主人公の小道具の使い方が秀逸だ。 お勧め度=★★★ 
アウェイ・フロム・ハー (6/3更新)  古い記憶は鮮明なのに、最近のことは覚えていない。自分が徐々に壊れて行くのを自覚している妻と、彼女をできる限り愛そうとする夫。映画は、人格を失いつつある妻を見守り続ける夫の姿を通じて、老人介護のあり方を問う。 お勧め度=★★★* 

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2008年5月
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ラスベガスをぶっつぶせ (5/31更新)  ツキに頼るのではなく、記憶力と確率論でブラックジャックに挑む。映画は天才的な数学センスを持つ大学生が必勝法を実践する過程に、ギャンブルを知的ゲームとして解析した上で人間的な要素を持ち込むことにも成功している。  お勧め度=★★★* 
Mr.ブルックス (5/31更新)  勤勉な実業家で理想的な父親という表の顔と、殺人依存症の冷酷なシリアルキラーという裏の顔。しかし、彼を殺人に導く別人格を具現化させる手法は陳腐な上、物語も目撃者や女刑事、脱獄囚や一人娘などが絡み、整理がつかない。  お勧め度=★★ 
ランボー 最後の戦場 (5/29更新)  ランボーが再びジャングルに戻ってきたにも関わらず、特殊部隊で培った能力を発揮することなく、ただ夜陰に乗じてゲリラ戦を行い、夜が明けると機関砲をぶっ放すだけ。火薬と銃弾に頼った大味なB級アクションになってしまった。  お勧め度=★★ 
アフタースクール (5/29更新)  咄嗟の嘘がより大きな虚構の一部となり、相手を手玉に取っているつもりが実は自分が踊らされていたという真実にたどり着いたときの驚き。先入観で物事を判断すると大きな陥穽にはまる恐ろしさを、洗練されたテクニックで見せる  お勧め度=★★★ 
世界で一番美しい夜 (5/27更新)  セックスが人間の諸問題を解決する、そんな理想主義の村が紡ぎだす物語は寓意に満ち溢れ、登場人物も個性に富み、先が読めない展開は2時間40分という長尺を飽きさせない。ポップアートを動画にしたようなアニメーションも斬新だ。 お勧め度=★★★* 
ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛 (5/27更新)  巨大な投石器や騎馬部隊・重装歩兵など、大合戦シーンの戦術が非常に実戦的だ。さらに甲冑から剣、弓矢といったディテールにまで神経が行き届き、白兵戦から全体像の俯瞰までカメラワークとサウンドデザインは圧倒的な迫力だ。 お勧め度=★★★★ 
パリ、恋人たちの2日間 (5/24更新)  論理的に筋道を通す米国人に対し、巧みにユーモアと皮肉でくるむフランス人。修辞学の伝統を受け継ぐパリ市民の、米国人に対する経済的な劣等感と文化面での優越感という微妙で複雑な気質がエスプリたっぷりに描かれている。  お勧め度=★★★★* 
幻影師 アイゼンハイム (5/24更新)  人生は幻影にすぎず、信じられるのは愛だけ。稀代の奇術師が権力に仕掛けるマジックは、時間や空間だけでなく次元の壁まで飛び越える。それはもはや奇跡、その陰に思い続けた女への気持が映画に参加する者の予想の裏を行く。  お勧め度=★★★★ 
マンデラの名もなき看守 (5/22更新)  監視を続けるうちに、次第に理解しやがては尊敬すら抱いていく。その相手はテロリストなどではなく、知性あふれる穏やかな人物。根拠なき差別と感じた小さな違和感が、時と共に確信にるという理性の変遷がよく描かれている。  お勧め度=★★★ 
丘を越えて (5/22更新)  昭和初期、世間より一歩早く洋装に身を包み、言論の自由を謳歌していた出版社。菊池寛という文学界の大物をそばで見続けていた秘書の目を通して、まだ戦争の影が差していない明るく進歩的な時代の空気を鮮やかに活写する。  お勧め度=★★ 
痛いほどきみが好きなのに (5/20更新)  女心が分からない男と、男心が分からない女。相手を尊重するほどフラストレーションはたまり、自分の気持ちを主張するほど溝は深まっていく。そんな不器用な生き方な若者の姿を通じて、父親の不在が子供に及ぼす影響を描く。 お勧め度=★★* 
ハンティング・パーティ (5/20更新)  銃弾が飛び交い爆弾が炸裂する最前線を走り回る主人公。戦争を伝えるという使命より、死と隣り合わせの状況がもたらす昂揚感を楽しむよう。スリルと興奮を求めて火中に飛び込んでいくジャーナリストをリチャード・ギアが好演。 お勧め度=★★★* 
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー (5/17更新)  かつて共産主義という米国にとっての「絶対悪」が存在した時代に、アフガンゲリラ支援するために中東を奔走した下院議員とCIA職員の活躍を通じて、現在では彼らの功績が負の遺産になっているという現状をスマートに皮肉る。  お勧め度=★★★* 
隠し砦の三悪人 (5/10更新)  斬られた体や射られた傷口から鮮血が噴出し、爆薬やCGを使った視覚的な見せ場には事欠かないが、そこで描かれる物語はご都合主義丸出しの展開。しかも映像が暗くくすみライティングが悪いために、俳優の表情が読み取れない。  お勧め度=★* 
ミスト (5/15更新)  外部から孤立した集団が正体不明の怪物に包囲されたとき、そこにいる人々はどういう行動をとるか。情報がない極限状態、恐怖に襲撃されて死人の数が増えていくうちに、理性よりも感情が彼らを支配していく様子が細密に描かれる。  お勧め度=★★★* 
パーク アンド ラブホテル (5/15更新)  ラブホテルの門をくぐる老人と小学生。セックスとは無関係な人々とこの建物のミスマッチは興味を引く。映画はそのオーナーの熟年女性と3人の女性との交流を通じて、人は少しのきっかけで心を触れ合わせることができると訴える。  お勧め度=★* 
最高の人生の見つけ方 (5/13更新)  正直に暮らしてきた男と、金儲けに励んできた男。正反対の生き方の2人が末期ガンという共通項で結ばれたとき、篤い友情が生まれる。映画は大切なものを得るには別の大切なものを捨てなければならないという人生の選択を描く。 お勧め度=★★★ 
タカダワタル的ゼロ (5/13更新)  高田渡はあくまで市井の人々の視線に立った日常の風景を歌う。そのメロディはシンプルでやさしく、言葉は疲れた人々の心に染み入るよう。何事も肩の力を抜いてほどほどがよいという、高田の生き方がそこに凝縮されている。 お勧め度=★★* 
光州5・18 (5/10更新)  一般市民に向かって一斉に発砲する正規軍。市民は銃弾に倒れ、街は血に染まる。小さな諍いはあっても笑いが絶えないのどかな日常が一日にして軍靴に踏み潰されるという恐怖。文民統制が行き届いていない時代の実情がリアルだ。  お勧め度=★★* 
ひぐらしのなく頃に (5/10更新)  クラスメイトはみな親切でフレンドリーなのに、どこか暗い陰が付きまとう。閉鎖的なコミュニティの因習と隠された醜聞、それらがやがて少年を追い詰めていく過程で、少女たちの無邪気な笑顔の裏にある邪悪が垣間見えてくる。  お勧め度=★★ 
相棒 劇場版 (5/3更新)  連続予告殺人犯を追って2人の特命係の刑事が事件を追う。犯人グループとの虚虚実実の駆け引きとひとつの謎を解くとまた次のハードルが待ち構えているという二重三重のトリック。映画はミステリーとアクションを程よく調合する。 お勧め度=★★* 
紀元前1万年 (5/3更新)  マンモスが地響きを上げて暴走し、巨大な肉食怪鳥が襲う。さらにピラミッドの石を引く無数の奴隷。ヴィジュアルとサウンドにふんだんにカネをかけ、12000年前の人間と自然、そして失われた高度な文明をスクリーンに再現する。  お勧め度=★★ 
あの空をおぼえてる (5/3更新)  一家の幼い妹が不慮の死で、彼女の両親は喪失感からなかなか立ち直れず、兄はなかなか現実を受け入れられない。ただ、幸せだったころの記憶は、作り物めいたエピソードと過剰な笑い声に彩られ、見ているほうが恥ずかしくなる。 お勧め度=★* 
少林少女 (5/3更新) とりあえず柴咲コウに中国武術をやらせてみました、という安易な企画のもとに、テレビ局の資金力・宣伝力を背景に作り上げた壮大な失敗作。せっかくの素材を生かすことなく、継ぎ足しを重ねたストーリーは完全に破綻している。 お勧め度=★ 
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド (5/1更新)  静謐な映像から一転して神経をかきむしるような高音を弦楽器が奏でる、それは主人公の満たされぬ強欲の象徴だ。映画は石油に取り付かれた男の前半生を通じて、欲望こそが人間をつき動かす一番重要な動機であることを描く。 お勧め度=★★★ 
NEXT (5/1更新)  自分に関する出来事の2分先を予知し未来を変えることができる男は、その能力を悪用しようとする人間たちから身を守るために人目を忍んで生きている。公にはできず、かといって他に才能はない。主人公のうらぶれた現実が悲しい。  お勧め度=★★ 

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2008年4月
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愛おしき隣人 (4/29更新)  そこに人がいる限り、物語は生まれる。語るべき相手がいれば自分の思いをぶつけ、愛する対象があれば同じ時間を共有したいと願う。そんな市井にあふれた人間の織り成す風景は、見る者に隣人に対する温かい気持を思い出させる。 お勧め度=★★★ 
アイム・ノット・ゼア (4/29更新)  ボブ・ディランの人生を6人の俳優が演じるという画期的な試みは、ストーリーをぶつ切りにする編集法のために混乱する。表現方法も6パターンと変化をつけているのだが、それらが物語として有機的に結合しているとは言いがたい。  お勧め度=★★ 
スパイダーウィックの謎 (4/26更新)  禁断の書の封印を解いたために起きる悪い妖怪と子供たちの戦いを中心に、親子の愛と家族のあり方を問う。強調されのは父親の不在。子供たちが信頼を置くべき一家の大黒柱を失ったとき、残された家族はどうなるのかが興味深い。 お勧め度=★★★ 
ラフマニノフ (4/26更新)  鍵盤をたたくような激しい旋律と心をとろかせる甘い和音、それはロシア革命を生き抜いた情熱と自分を愛し支えてくれた美しい妻への感謝の気持ち。しかし、そこには作曲家としての創作の苦悩や、人生に対する問いかけはない。 お勧め度=★* 
プルミエール (4/24更新)  地球上の多種多様な民族国籍の妊婦たちがさまざまな方法で赤ちゃんを産む。その瞬間をことさらドラマチックに演出せず、誕生は決して生命の奇跡ではなく、あくまで生は死と同じくありふれた日常風景であるというスタンスだ。  お勧め度=★★* 
チェスト! (4/24更新)  友情、いじめ、親子関係、・・・。小学6年生ともなれば学校や家庭での「立ち位置」を理解しているが、それでも大人になりきっていない心が時々顔をのぞかせる。カメラはそんな微妙な年頃の少年少女の複雑な心境を丁寧に掬い取る。 お勧め度=★★ 
大いなる陰謀 (4/22更新)  星条旗を掲げて戦場で闘うのは下層マイノリティという現実と、国が間違った方向に進もうとしていることに無関心の罪。ロバート・レッドフォードは自ら教授に扮し、若い学生、つまり観客に向かってたいそうなご高説を垂れる。 お勧め度=★★ 
ファクトリー・ガール (4/22更新)  自由奔放に生き今だけを楽しむヒロインが、革命的アーティストの側近となったことでイメージだけが先走り、やがて押しつぶされてしまう。無意味なものに意味を見出すという'60年代の商業アートの雰囲気をリアルに再現している。  お勧め度=★★ 
譜めくりの女 (4/19更新)  幼い心に受けた傷は年月をかけて熟成する。「足を踏んだ方は忘れても、踏まれた方は覚えている」という言葉の意味が、日常生活のどこに潜んでいるか分からない恐怖。映画は、抑制の効いたトーンで無邪気な家族を追いつめていく。 お勧め度=★★★ 
王妃の紋章 (4/19更新)  黄金に輝く宮殿の内装と王族の衣装、広場の菊の花、雲霞のごとく押し寄せる金の鎧と迎え撃つ銀の鎧。すべてのものにカネをかけ、人海戦術が取られる。しかし、ゴージャスな舞台で繰り広げられる肉親同士の愛憎劇は陳腐だ。 お勧め度=★★ 
フィクサー (4/17更新)  人は何をきっかけに良心に目覚めるのだろう。利潤優先の巨大企業と顧問料目当ての法律事務所、彼らの下請けで汚れ仕事を引き受けるフィクサーの反撃を描く。どこまでも生身の人間の感情にこだわった人物造形が非常にリアルだ。  お勧め度=★★★ 
接吻 (4/17更新)  社会の底辺で感情の起伏を失いつつある男。自分を見下す世間への怒りを溜めて生きてきた女。女は男が見せた一瞬の笑顔にたちまち心を奪われる。映画は、難解な純文学の筆致のように生と死について語り、人生に疑問を投げかける。  お勧め度=★★★* 
ジェイン・オースティンの読書会 (4/15更新)  誰もが経験しながら愚痴るほどでもない、そんな出来事の中にも人生の真実が潜んでいると予感させる導入部はとてもチャーミング。人は出会いと別れを繰り返し、自分に最良のものを選別していくという普遍的なテーマを描く。  お勧め度=★★* 
パラノイドパーク (4/15更新)  取り返しのつかないことをしたのは自覚しているが、どこか現実感が伴わない。意識の中では否定しているが、現実が徐々に迫ってくる。良心の呵責とずるい願望の狭間で揺れ動く16歳の少年の心理が非常に繊細な映像で描かれている。  お勧め度=★★★ 
つぐない (4/12更新)  好きな男に振り向いてもらえない苛立ちが、タイプの音と重なって少女の心をよぎる。理想とは程遠い現実に対し彼女は虚構を構築するが、過去に後戻りできない。映画は失われた時間を呼び戻すことで、人生の美しさともろさを描く。 お勧め度=★★★★ 
ブラックサイト (4/12更新)  好奇心が人を殺すと分かっていても、面白いもの見たさでアクセスする。ネット社会に蔓延する他人の痛みや悲しみに対する恐るべき無関心。映画は猟奇的犯罪者を結果的に助けることになる無数の人々の悪意なき行動に警鐘を鳴らす。 お勧め度=★★* 
ぼくたちと駐在さんの700日戦争 (4/10更新)  勉強やスポーツといった打ち込むべき対象がなく、あり余る時間を費やすためにさまざまなイタズラを仕掛ける高校生。他愛ない姿に思わず噴き出す場面もあるのだが、登場人物が薄っぺらで、エピソードも一発芸風のものばかり。  お勧め度=★★ 
モンゴル (4/10更新)  モンゴルの大自然は壮大な美しさとは対照的に、文明人を寄せ付けないような厳しさを併せ持つ。しかし、主人公が放浪や捕らわれの身になっている時間が長く、クライマックスの大合戦シーンまで変化に乏しい物語が延々と続く。  お勧め度=★★ 
クローバーフィールド/HAKAISHA (4/8更新)  街が破壊されているのに、詳細な情報は入ってこない。空から降ってくる瓦礫を避け、襲い掛かってくる怪物から逃げるだけ。何が起きているのか分からない不安と恐怖を、ビデオの主観映像で見せることで圧倒的な臨場感を生む。  お勧め度=★★★★ 
ランジェ公爵夫人 (4/8更新)  女はその美貌と思わせぶりな態度で軍人の無骨な心を手玉に取り、楽しみながら弄ぶ。男は熱烈な気持を告げることが愛と勘違いしている。男女の「恋」に対する根本的な考え方の違いを、重厚な演出でじっくりと味あわせてくれる。  お勧め度=★★★ 
うた魂♪ (4/5更新)  海岸でひとり歌い、自分の声に陶酔する少女は、外見にこだわるあまり歌の本質を見失う。自意識過剰少女の精神的成長と合唱の組み合わせが新鮮な上、登場人物配置もうまく、エピソードも簡潔で最後までテンションが落ちない。 お勧め度=★★★ 
黒い家 (4/5更新)  知能は高いが感情の一部が欠落した冷徹な死にとりつかれた、暗黒のような純粋な意思、しかし本人にはそれが悪と呼ばれる性質のものであるという自覚はない。映画はサイコパスと呼ばれる人間を通じて、邪悪とは何かを問う。 お勧め度=★★ 
悲しみが乾くまで (4/3更新) 繰り返されるクローズアップ、ダラダラとした会話、ヤマのないエピソード。登場人物の揺れ動く気持ちを繊細に描こうという意図は理解できるのだが、無駄なシーンの羅列がいたずらに上映時間を長くしているだけの退屈な展開だった。  お勧め度=★* 
Sweet Rain 死神の精度 (4/3更新) なすべきことをなし終えた者だけが死という安息を得る。死神は「実行」予定者が満足な死を迎えられるよう少しだけ手を貸してやる。しかし、限りある生だからこそ充実させようと必死になって生きる人間の美しさを描きれていない。  お勧め度=★★ 
タクシデルミア (4/1更新)  性、食、そして睡眠。根源的な欲望を極めることが人生の目標であるかのように他のすべてを犠牲にするような潔さ。非常に不条理でシュールな表現主義が頻出するが、そこから描き出される人間の真実から目を背くことはできない。  お勧め度=★★★ 

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2008年3月
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非現実の王国で (3/29更新)  喜び、悲しみ、怒り。戦争と平和をイエローを基調にしたポップな色使いで描く独特の作風。生前、誰にも評価されなかったヘンリー・ダーガーという孤高のアーティストの生涯を通じて、芸術とは、魂の自由とは何かを問いかける。  お勧め度=★★★ 
カンフーくん (3/29更新)  坊主頭にくりくり眼、わずか7歳にして圧倒的な運動能力とカンフーのテクニックを身につけた少年の存在がこの作品のすべてだ。余りにも一途に前を見据える力強い視線は、思わずスクリーンに目が釘付けになるほどの引力がある。 お勧め度=★★* 
マイ・ブルーベリー・ナイツ (3/27更新)  しっとりと落ち着いた色使い、スローテンポのけだるい音楽、メタファーに満ちたセリフ。それらを巧みに紡ぎあわせスタイリッシュな映像は耽美だ。しかし、物語は失恋した女が心の空白を埋めるためのモラトリアムという空疎な内容だ。 お勧め度=★★ 
コントロール (3/27更新)  陰影の濃いモノクロの映像は主人公の苦悩の人生を象徴している。だが、その単調でずるずると滑り落ちるような感覚は、アーティストとしての創作上の葛藤ではなく、単に薬物の副作用で脳の機能が低下しているとしか見えない。  お勧め度=★★ 
燃えよ!ピンポン (3/25更新)  「燃えよ!ドラゴン」をパクった卓球コメディを目指しているが、主人公はじめ登場人物のはじけ方がいまひとつで笑いの密度が低い。人の動きも球の動きもそれほど荒唐無稽というレベルではなく、作り手の意図がよく分からない。  お勧め度=★★ 
犬と私の10の約束(3/25更新)  犬とその飼い主である少女の成長を通じて、犬は愛された記憶を決して忘れないことを描く。しかし、犬が人間にとってどうしてかけがえのない存在なのか、また人間が犬にとってどういう存在なのかがほとんど伝わってこない。  お勧め度=★★ 
ポストマン (3/22更新)  職務に忠実な一方、亡き妻への想いと年頃の娘との関係に戸惑う男。ゆるぎない信頼と頑固なまでの信念、そして巌のごとく頑丈そうな後姿。長嶋一茂の広く大きく分厚い背中がまっすぐに生きてきた主人公の人生を饒舌に物語る。  お勧め度=★★* 
ジェリーフィッシュ (3/22更新)  身の回りに起きる小さな不幸が人生をいらだたしいものにする。そんな、運に見放された人々を丹念に拾うことで希望を見出そうとする。しかし、3つの平行して進む物語がラストで有機的に結合するといった構成上の仕掛けはない。 お勧め度=★★ 
ブラブラバンバン (3/20更新)  音楽が表現しようとする感情についつい流されてしまい、自分を失ってしまうヒロインならばコメディにするしかないはず。しかし映画はひたすら表情の硬い女優を主演にしたせいで、せっかくの素材を笑いにまで昇華できていない。 お勧め度=★★ 
ダージリン急行 (3/20更新)  自己主張の強い3兄弟が列車の旅を通じて家族の絆を見つめなおそうとするが、方向性とは裏腹に映画はインドの大地を迷走し、進むべき道を示してくれない。それは見たものの判断に任せているのだが、消化不良感しか残らない。  お勧め度=★* 
ビルマ、パゴダの影で (3/18更新)  アウンサンスーチーらの活躍が報道される影で少数民族についてはほとんど伝えられない。カメラはタイ国境地帯に拠点を置く反政府ゲリラや、ジャングルに難民として逃れてきた少数民族に焦点を当て、知られざるビルマの実像を描く。  お勧め度=★★★ 
幽霊VS宇宙人 (3/18更新)  元ネタは江戸時代の四谷怪談、現代に蘇った宇宙人が300年の時を超えて再び幽霊と戦うというバカバカしいエピソードを、超能力対怨念という観点で描く。しかし、中途半端なドラマにしてしまったために物足りなさだけが残る。  お勧め度=★* 
ノーカントリー (3/15更新)  押し殺した足音、ドアのすき間から差し込む光、壁の向こうに漂う気配。息詰まるような緊張感の中で忍び寄る死の影が生々しい感触となって迫り、感情を持たない殺し屋の絶望を湛えたような瞳が巨大な存在感となって圧倒する。  お勧め度=★★★★ 
魔法にかけられて (3/15更新)  まったく価値観の違う二つの世界の住人が理解しあううちに、お互いに自分たちにない大切なもことに気付く。愛する気持ちを歌にして踊ればハッピーになれることを表現するセントラルパークのミュージカルシーンがすばらしい。 お勧め度=★★* 
バンテージ・ポイント (3/13更新)  導入部から中盤の展開、さらに手に汗握るアクションの後、張り巡らされた伏線が一気に収束する。敵味方双方に裏切り者が存在する人間関係も交通整理され、綿密に練られた脚本と緊張感あふれる演出にスクリーンから目が離せない。 お勧め度=★★★★ 
スルース (3/13更新)  騙し、騙され、命がけで真剣に取り組むからゲームは面白くなる。監視カメラの映像や鏡を効果的に使い照明で登場人物の心理を表現するという演出は、旺盛な実験的精神が満載。ただ、銃で脅すという陳腐さから抜け切れていない。  お勧め度=★★ 
4ヶ月、3週と2日 (3/11更新)  何もかもいい加減で甘ったれた友人のおかげで、ドツボにはまっていくヒロイン。責任感が強く面倒見がよい性格のせいで、あらゆるミスの尻拭いをさせられる。「明日はきっといいことがあるよ」と思わず彼女に声をかけたくなる。  お勧め度=★★★* 
花影 (3/11更新) 桜の花びら舞う穏やかな空気が心の鎧を解いていく。ほんのわずかな時間に芽生えた感情を一度は忘れていたのに、胸の奥で大きくなっていく・・・。映画は、ひとりの女性の精神的な成熟を通じて、人生に必要なものは何かを問う。  お勧め度=★★*
アメリカを売った男 (3/8更新)  スパイをあぶりだすためにスパイするという「誰も信じるな」というルール。嘘と裏切りにまみれた諜報機関の闇、実話を基にしているため映画的なド派手演出はないが、小さな事実を少しずつ積み上げる緊張感にあふれている。  お勧め度=★★★  
プライスレス (3/8更新)  高級ブランドの服や小物を値札も見ずに買い漁り、支払いはすべて男。どれだけ自分にカネをかけてくれるかが愛のバロメーターで、カネのない男は相手にしない。そんな「プロの愛人」をオドレイ・トトゥはチャーミングに演じる。 お勧め度=★★*  
ジャンパー (3/6更新)  思いがけない超能力を得た未熟な主人公には正しい力の使い方を導いてくれる師がおらず、若者の成長物語も敵対組織とのバトルアクションも中途半端。まあ、「自分探し」という安易な流行路線に乗らなかったことは評価できるが。 お勧め度=★★ 
明日への遺言 (3/6更新)  部下の行為にはすべて自分が責任を追うという指揮官の姿を通じて、信念ある生き方イコール死に方とは何かを問う。ただ、法廷シーンの半分が英語で、日本映画であるにもかかわらず字幕を追わねばならないのは非常に煩わしい。  お勧め度=★★ 
地上5センチの恋心 (3/4更新)  物質的な豊かさはなくても、笑いや喜びに満ちた人生。いつも身の回りに小さな幸せを見つけ、空想を膨らませることでいつしか自分が物語のヒロインになっている。そんな愛らしいオバサンをカトリーヌ・フロはキュートに演じる。  お勧め度=★★★ 
ペネロピ (3/1更新)  醜い鼻と耳をコンプレックスとして隠すか、それを受け入れて自分らしく生きるか。その葛藤の答えは最初から分かっているのだが、人は見た目が9割という一般的な心理も含めて、ありのままの人間を肯定するスタンスが優しい。 お勧め度=★★★ 
トゥヤーの結婚 (3/1更新)  障害者の夫と2人の子供の生活を支えるヒロインの顔は日に焼け、衣服もほころびが目立つ。映画は、彼女の一途な思いと、それゆえに夫を傷つけてしまうという葛藤を軸に、ふと垣間見せる女らしい感情が発露する一瞬を見逃さない。  お勧め度=★★★ 

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2008年2月
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ライラの冒険 黄金の羅針盤 (2/28更新)  顕在する魂、魔女、人々を支配しようとする力。パラレルワールドは現実に近いが少しずつ違い、新旧の混在するような不思議な空間。そのディテールは目を見張るようなSFの世界ではなく、デジャヴを感じるように記憶を刺激する。 お勧め度=★★* 
裏切りの闇で眠れ (2/26更新)  銃撃戦、リンチ、暗殺・・・。痛みを伴うリアルな暴力描写でギャングたちの生態を活写する。それは裏切りと欺瞞に満ちた世界で生き残る必要条件。ハンディカメラで撮影された映像からは犯罪組織の男たちの息遣いが聞こえてくる。 お勧め度=★★★* 
いつか眠りにつく前に (2/23更新)  命の火が燃え尽きようとしているとき、封印していた過去を思い出す。決して忘れられないのに、誰にも語れない。罪の意識と後悔、子供を産み育て、愛した記憶にあふれた人生に失敗などないという、肯定する姿勢がすばらしい。 お勧め度=★★★* 
エリザベス:ゴールデン・エイジ (2/21更新)  恋することを自らに禁じた女王の前に現れた権力に媚びない粗野な男は、彼女と英国の運命を変えていく。映画はふたりの交流を通じて、キリスト教世界の宗教対立に端を発した裏切りと謀略のパワーゲームを豪華絢爛たる筆致で描く。  お勧め度=★★* 
デイ・ウォッチ (2/19更新)  善悪どちらの側にもせこい者や乱暴な者、そして思慮深い者も温厚な者もいる。人間が知らないうちに世界が崩壊する危険なバランスの上に成り立っている現在を、原色と陰影を強調したシャープでヴィヴィドな色彩で表現する。  お勧め度=★★  
奈緒子 (2/19更新)  天才ランナーがチームメイトとの軋轢に苦しみながらも成長し、仲間を信じることを学んでいく。しかし、駅伝に賭ける熱い思いもなく、恋が芽生えるわけでもない。テーマがぼやけた不完全燃焼の青春ドラマを見せられているようだ。  お勧め度=★★ 
ファーストフード・ネイション (2/16更新)  経済発展の犠牲になりながらも、飢えや寒さといった切迫した危機とは無縁の飽食の貧困層。ファーストフードチェーンの原料を生産する牧場から末端のショップまで、その内幕をリアルに描くことで格差社会の現実を突きつける。 お勧め度=★★★ 
君のためなら千回でも (2/14更新)  兄弟同然の2人がなぜ激動の波に飲まれていったか。理性では割り切れない微妙な感情の動きを丁寧に掬い上げてエピソードを積み重ね、大人の事情を理解し始めた年頃の少年の、硬いが傷つきやすい繊細な心を見事に再現する。 お勧め度=★★★ 
潜水服は蝶の夢を見る (2/12更新)  絶望から再生、そして希望、視覚と聴覚以外の肉体的機能をなくした男が現実に向き合い、生きた証を残そうとする。その気の遠くなるような作業を通じて、人間とは思考ゆえ存在するというデカルトの命題を解説しているようだ。  お勧め度=★★★* 
チーム・バチスタの栄光 (2/12更新)  胸を開いて心臓を止め心筋の一部を切り取り、縫合し再び血液を流して鼓動の再開を待つ。一連の心臓手術にリアリティを持たせることで緊張感を倍加させる演出はシャープ。しかし、厚労省の役人登場で映画は安易な方向に流れる。  お勧め度=★★ 
アドリブ・ナイト (2/9更新)  誰もが他人には関心を示さない、大都会の孤独。自分を必要としてくれる人間は体目当ての男だけ。断ち切れない地縁血縁の濃いつながりと、そこから逃げ出してしまった後悔。そんなヒロインの気持を繊細なタッチで描写する。  お勧め度=★★★* 
歓喜の歌 (2/9更新)  勤務時間の終わりを待つだけの主人公が、精いっぱい働きながら歌うことに情熱を傾ける女性たちの姿に自らの姿を省み、いつしか自分も夢中になっているという過程を通じて「がんばる」ことに年齢は関係ないことを教えてくれる。  お勧め度=★★★ 
ラスト、コーション (2/7更新)  肉体を貪りあい悦楽に身をゆだねている刹那でさえその瞳は遠くを見て、精神は醒めている。反体制派を取り締まる男と、彼をスパイする女。映画はふたりの関係を通じて、セックスは嘘で固めた人生を救うことができるかを問う。 お勧め度=★★★* 
結婚しようよ (2/7更新)  一家そろっての夕食がルールの家庭。もはや現代の日本からは消え去った家族の風景。しかし、やがて親離れのときが来て娘たちは夕食を欠席する。娘たちが旅立ちの季節を迎えたとき父はどうするか。その葛藤をコミカルに描く。 お勧め度=★★ 
アメリカン・ギャングスター (2/5更新)  新しい流通システムを麻薬密売に持ち込んだギャング。賄賂を受け取らず組織からはみ出してしまった刑事。犯罪者と警察官という正反対の立場の人間をあらゆる点で対立項にし、運命が交差するまでをリアリティたっぷりの映像で描く。  お勧め度=★★★* 
ウォーター・ホース (2/5更新)  孤独な少年とおびえきった希少動物が心を通わし、小さな冒険を続けるうちに奇跡を起こすストーリーと、物分りの悪い大人と彼らの協力者、そして愛情だけは強い母親というキャラクターの設定は通俗的で、あくまで子供向けだ。  お勧め度=★★ 
全然大丈夫 (2/2更新)  ゆったりと時間が過ぎていくようなゆる〜い日常。漫然とした日々のなかでも、友情だけは大切にしていきたい。そんついかまってあげたくなるような不器用な登場人物を温かく見守るカメラの優しさが穏やかな気持にさせてくれる。  お勧め度=★★★ 
マリア・カラス 最後の恋 (2/2更新)  歌声だけでなく人生そのものが伝説とったヒロインと世界屈指の富豪の出会いから破局まで、全世界が注目した愛を克明に追う。しかし、事実にフィクションを配合したようなエピソードを時系列に沿って並べただけでヤマ場に乏しい。  お勧め度=★★ 

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2008年1月
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母べえ (1/31更新)  時代の波に呑み込まれ、戦争のうねりに翻弄された家族。悪化する情勢の中、両親と2人の娘、その家庭に出入りする大人たちとの日常を丹念に拾い上げることで、ささやかな生活の中に人生の真実がたたずんでいるということを描く。 お勧め度=★★* 
音符と昆布 (1/31更新)  被写体の明度にまったく関心がないのか、映像全体が暗く、特に光源が電球だけの廊下のシーンでは黒ずんだような印象。照明を使うなりデジタル補正するなり、少なくとも俳優の顔がきちんと判明するくらいの光量は必要だろう。 お勧め度=★* 
テラビシアにかける橋 (1/29更新)  イマジネーションの世界を作り上げるにも、子供の頭には自分の見聞を元にしたことしか浮かばない。早く走れたり、軽々と木に登れたりといった小さなスケール。そこでの体験が現実世界とリンクせず中途半端な関係しか生まない。  お勧め度=★★ 
フローズン・タイム (1/29更新)  時間を止めて自分だけは自由に動き回る。それは不眠症の頭が生み出した幻想、しかし主人公にとってはきわめてリアルな出来事だ。失恋の痛手と朦朧とした意識が生み出すインスピレーション、それが斬新なアートに昇華される。  お勧め度=★★* 
子猫の涙 (1/26更新)  栄光の時代は短く、残りの人生は長く険しい。カネとツキには恵まれなかったけれど多くの人に愛されたボクシング元五輪銅メダリスト。彼の娘の目から見たその日暮らしを、ユーモアたっぷりにボケとツッコミのようなテンポで描く。  お勧め度=★★★* 
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (1/26更新)  家族を失った悲しみに押しつぶされそうになりながら闘う美少女。漫然とした日々の中で刺激を求める高校生。物質的に満たされているのに、何か物足りなさを感じている現代の高校生のリアルな感覚が巨大な妄想となって描かれる。  お勧め度=★★★ 
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 (1/24更新)  滴り落ちる血は復讐と恐怖、そして死の象徴。屋根から天井を伝い下水に向かう流れに怨念が凝縮され、屈辱の記憶が怒りに火をつける。その毒々しい鉄さび色は強烈に自己主張し、愛と後悔と死のメタファーで締めくくられる。 お勧め度=★★★★ 
シルク (1/24更新)  遠く故郷を離れて日本にやってきた男は、その文化の深淵に触れようともせず、ただ一夜を共にした女に未練を残すだけという志の低さ。また、絹織物の薀蓄も語られることなく、夫婦間のぬる〜い愛情だけがクローズアップされる。 お勧め度=★★ 
ぜんぶ、フィデルのせい (1/22更新)  眉根にしわを寄せ、口は真一文字。不機嫌を絵に描いたような表情でキッと見つめる少女の視線がとてもキュートだ。ぬくぬくと育ってきたヒロインが少しずつ自分の考えを主張することを覚えるうちに、自由とは何かを考えるようになる。  お勧め度=★★★* 
28週後... (1/22更新)  軍用ヘリがゾンビの群れに突っ込み、回転するローターで首を刎ね、胴体を刻み、手足をぶった斬る。飛び散る血しぶきと肉片、次々と現れるゾンビに対してさまざまな対処法があったが、これは今までいちばん見たかった殺戮法だ。  お勧め度=★* 
ヒトラーの贋札 (1/19更新)  協力か死か、ナチスの贋札作りに手を貸したユダヤ人収容者たちがぎりぎりの選択を迫られる中、与えられた仕事に達成感を覚えていく。人間の強さと弱さ、賢さと狡さ、そして良心とエゴが葛藤し、すさまじいまでの緊張感を生む。 お勧め度=★★★★ 
ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE (1/19更新)  ロックンローラーの熱き魂までも溶かしてしまうほどの超絶技巧で至高の音楽を演奏してくれるのかと期待させておきながら、最後まで見せずじまい。人気マンガの登場人物を借りたテーマのないだらけたコメディになってしまった。 お勧め度=★* 
アース (1/17更新)  北極から南極まで、そこに生きる動物たちの生態を総花的に見せる大パノラマは、生きることの厳しさを通して生命の美しさを訴える。しかし、テーマを強引に地球温暖化に話を持っていく姿勢には、「またか」という白々しさを感じる。 お勧め度=★★ 
銀色のシーズン (1/17更新)  風を切るスピード、崖を下るスリル、そして林を抜けるテクニック・・・。白銀の山頂から滑り降りる快感を一気に見せるプロローグはスキーの楽しさを存分に味あわせてくれる。しかしその高揚感は主人公の振る舞いで帳消しになる。 お勧め度=★* 
グミ・チョコレート・パイン (1/12更新)  何の根拠もなく「自分は他のヤツらと違う」と信じていた一方で、自分が何者で何ができるのかに悩む。そんな高校生たちの物語なのだが、この少年たちはピカピカの青春とは無縁の存在。それでも確かに記憶の中の自分は美しい。  お勧め度=★★* 
北辰斜にさすところ (1/12更新)  旧制高校の学生寮では友情と男気を育み、先輩後輩の関係は絶対。古きよき時代を懐かしみ、失われた美しい価値観を若い世代に伝えようとしているようで、ジイさん連中のセンチメンタルな思い込みを中途半端に描いているだけだ。 お勧め度=★★ 
ゼロ時間の謎 (1/10更新)  防犯カメラや科学的捜査とも無縁、目に見える証拠と人間関係から殺人事件の犯人を推理する手法はオーソドックスで、古いミステリーのよう。40年以上も前に書かれた作品の設定をそのまま現代に置き換えることには抵抗を覚える。 お勧め度=★★ 
その名にちなんで (1/10更新)  貧しさから故国を捨るのではなく、知的労働で人生を切り開いていくインド人移民はもちろん勤勉で優秀なのだろう。二世代にわたるファミリーの歴史を、ことさら民族の苦難を強調することなく淡々と描くところに好感が持てた。 お勧め度=★★★ 
暗殺・リトビネンコ事件 (1/8更新)  暗殺、それも特殊な毒物によって徐々に衰弱死させる。しかもその過程が報道されることを計算して、組織に歯向かう者に対する見せしめとする。暗黒街さながらの犯罪国家に陥った祖国の腐敗に対し、公然と反旗を翻した男の記録だ。  お勧め度=★★★ 
俺たちフィギュアスケーター (1/8更新)  フィギュアスケートペア競技に、男2人で挑むという逆転の発想。優雅さや美しさより、力強さで従来の競技の常識を打ち破る。さらにリアリティを捨てることで荒唐無稽な面白さを呼び起こし、友情と信頼の物語に仕上げている。  お勧め度=★★★ 
チャーリー・チャップリン ライフ・アンド・アート (1/5更新)  代表作のさまざまなシーンについて現代の評論家や映画関係者が語るが、マーティン・スコセッシの熱弁は秀逸。チャップリンの表現術を研究し尽くした者だけが知る薀蓄に満ちた分析と解説は、現代にも通じる映画作りの教科書だ。 お勧め度=★★★ 
AVP2 エイリアンズ VS.プレデター (1/5更新)  暗闇での死闘は短いカットでほとんど細部が見えず、しかも舞台となる街を停電させるという念の入れようは、あらかじめ怪物の造形の粗を隠すための予防線を張っているよう。結局、企画の安っぽさばかりが浮き彫りになった。  お勧め度=★* 

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