| 茶々 −天涯の貴妃− (12/27更新) | 燃え盛る炎は黄金の紙吹雪となり、豪華絢爛を極めた安土桃山時代の終焉を告げる。愛と憎悪、怒りと悲しみを胸に抱きながら、男たちの政治の道具でしかなかった女は、生き延びて子を残すことが勝利であるとこの作品は訴える。 お勧め度=★★* |
| 魍魎の匣 (12/27更新) | 膨大な情報量を持つ原作のイメージを損なわずに映画化する苦心が映像からにじみ出ているが、一本の作品として鳥瞰すると物語が非常に分かりづらく、結局何について語られ、どんなストーリーなのか一貫した答えが得られない。 お勧め度=★* |
| 迷子の警察音楽隊 (12/25更新) | 国境を接する国同士でありながら、戦争を繰り返してきたイスラエルとエジプト。つかの間の和平に民間交流も芽生える。言葉や宗教が違っても基本的な営みはみな同じ、一緒に飲み食い遊ぶことで理解しあうことができるのだ。 お勧め度=★★★ |
| ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 (12/25更新) | 冒険活劇ならばある程度は暴力や殺人も容認しなければ成り立たないのに、ディズニーの看板がそれを許さず、手に汗握る格闘もなく、カーチェイスにもスリルや迫力がまったくない。命がけの宝探しというよりはゲームのようだ。 お勧め度=★★ |
| 再会の街で (12/22更新) | 愛するものをすべて失い、人生に立ち向かう気力もなく、後悔だけが押し寄せてくる日々。髪を伸ばしやつれた風貌で心に深い傷を負った主人公をアダム・サンドラーが好演。彼の瞳に宿った細く深く鋭い光が見るものの胸を射抜く。 お勧め度=★★★★ |
| スマイル 聖夜の奇跡 (12/22更新) | 努力と友情、初恋と死、そして勝利と成功。少年アイスホッケーチームの活躍を軸に、大人もまた人生に希望を見出していく。映画はさまざまな仕掛けで観客を楽しませようとするが、方向性がバラバラで全体としての統一感に欠ける。 お勧め度=★★ |
| カンナさん大成功です! (12/20更新) | 女は見た目が命。デブでブス、存在するだけで暑苦しかったヒロインが美貌を手に入れたとたん、世界のほうが変わる。人間は中身という建前を全否定し、外見至上主義の世の中を肯定しつつも少し皮肉るバランスが小気味よい。 お勧め度=★★* |
| Little DJ 小さな恋の物語 (12/20更新) | 思い出のかなたの恋、白血病、なつかしの歌謡曲・・・。男女の設定を逆にし低年齢化した「セカチュー」の亜流でしかない。限られた命を生きる主人公はあくまで前向きで、中学生ならではの複雑で屈折した心境を描くべきだった。 お勧め度=★* |
| ベティ・ペイジ (12/18更新) | 扇情的なポーズと挑発的な目。キリスト教の信仰とセックスシンボル、この一見相容れない要素を巧みに自分の中に取り込んで消化し、新たなトレンドを生み出した彼女の人生を浮き彫りにすることで世間の価値観とは何かを問う。 お勧め度=★★ |
| アイ・アム・レジェンド (12/18更新) | 打ち捨てられた自動車、道路に生い茂る植物、野生鹿の群れ。誰一人いない廃墟のニューヨークをスポーツカーで暴走する男の何も起きない日常を淡々と描き、音楽に頼らずカメラワークだけで彼の心情を描く静謐な映像は見事だ。 お勧め度=★★★* |
| 中国の植物学者の娘たち (12/15更新) | しっとりとした映像からは濃密な葉緑素が漂いだすよう。生い茂る緑と立ち込める霧、中国南部の湖に浮かぶ植物園、そこで繰り広げられる禁断の愛は抑圧されてきた感情を爆発させる。しかし、設定に意外性がなく展開が通俗的だ。 お勧め度=★★* |
| 夜顔 (12/15更新) | 男はいつまでも過去を引きずり、女はあっさりと過去を切り離す。濃縮された官能の時間を共に過ごしたふたり、しかしその距離は埋めがたいほど開き、肉体関係への想いの温度差がそのまま男女の違いとなって、現在に寄りかかる。 お勧め度=★★* |
| サラエボの花 (12/13更新) | 戦争が残した爪跡は、時と共に癒されるのではなく傷口がっていく。真実を隠せば生きている限り続く苦悩と、真実を明せばまた新しい悲劇が始まるかもしれないという恐れ。映画は死で終わる悲しみより誕生で始まる苦しみを描く。 お勧め度=★★★* |
| マリと子犬の物語 (12/13更新) | 豊かな自然と美しい棚田、仲のいい兄妹、声を掛け合う隣人、余情的だが説明的な音楽、不必要な冒険と一途な犬の視線、そして予定調和的なハッピーエンド。あらゆるシーンが装飾された演出は、涙を誘おうという意図が過剰だ。 お勧め度=★★ |
| エンジェル (12/11更新) | 想像力が作り上げた世界は美しく彩られた愛の言葉に満ち、イメージは永遠に色褪せない。現実では人の気持ちは変わり愛も移ろう。若くして作家として成功した女性が小説世界を実生活に持ち込もうし、落差に苦しむ姿がリアルだ。 お勧め度=★★★ |
| PEACE BED (12/11更新) | 反体制パフォーマンスなのか信念なのか。ロックを超えて左翼的思想を固め、国家という巨大な敵にも一歩も引かない。膨大な映像資料と関係者へのインタビュー、そして名曲の数々がジョン・レノンの戦いの軌跡を饒舌に語る。 お勧め度=★★* |
| やわらかい手 (12/8更新) | 狭い世界から一歩踏み出すことで発見する新たな自分自身と他人への理解。中年女性のささやかな勇気が生み出す波紋が、乾いた人間同士の絆と信頼を回復させていく。寒々としたタッチの中で繊細な感情を描きあげた演出は見事だ。 お勧め度=★★★★ |
| アヴリルの恋 (12/8更新) | 女だけの世界に育ち、心を寄せるのは神のみ。下界でのヒロインは異性に戸惑いためらいながら、自分を解放していく。それは己の頭で考え行動するという自立への道。信仰の道をしばし離れ、おおらかにさらされた裸体がまぶしい。 お勧め度=★★* |
| 椿三十郎 (12/6更新) | 古典的名作を同じ脚本でリメイクすることの難しさ。顔が小さい現代の俳優からは荒々しさや狂気が消え、ほとばしるような迫力に乏しい。何より織田裕二には三船敏郎のような「鞘に納まりきれないギラギラした刀」の感じがない。 お勧め度=★★* |
| ベオウルフ/呪われし勇者 (12/6更新) | 変幻自在のカメラワークはめくるめく躍動感、デフォルメされた矛や矢は登場人物の心理を象徴する。しかし、デジタル合成の映像は俳優に似せた薄っぺらな絵のような不自然さだけが目立ち、物語の興味を殺いでしまっている。 お勧め度=★★ |
| ここに幸あり (12/4更新) | 説明的なセリフやシーン、そして感情を強調する音楽もない。映画は環境が激変した男の体験をスクリーンに投げ出すだけだ。その語り口に戸惑うが、やがて柔らかいベッドに横になっているような心地よい陶酔に昇華されていく。 お勧め度=★★★ |
| マリア (12/4更新) | 奥ゆかしい瞳は希望を宿し、微笑む口元は慈愛をたたえる。神に選ばれし運命を受け入れたヒロインを通じて、愛とは、信仰とは何かを問う。しかし、まるでフレスコ画に描かれた聖母のようで、理想の人物像の範疇を出ていない。 お勧め度=★★* |
| ダーウィン・アワード (12/1更新) | 「死に方」はその人間の生き方を濃密に反映する。プロファイリングの専門家が事件現場を検証し、死んだ本人にしか分からない、いや、本人にも分からなかった真実をあぶりだす。悲劇的な死すら本人の真剣な想いが伝わってくる。 お勧め度=★★★ |
| ナンバー23 (11/29更新) | 無名の小説が自分の人生にそっくりだとしたら、その本との出合い自体を運命と感じる。正気と狂気の間で事実の糸を紡いでいくうちに、恐るべき真実に行き当たる。しかし、謎解きの鍵が失われた記憶というオチはあまりにも陳腐だ。 お勧め度=★* |
| 君の涙 ドナウに流れ (11/29更新) | 夢や希望、自由に生きたいという願いさえ戦車に踏み潰される。1956年のハンガリー、ソ連の衛星国家に組み込まれた怒りとロシア人への敵意、そして銃を取って立ち上がることが若者の特権だった時代が青春の輝きのように蘇る。 お勧め度=★★★* |
| ミッドナイトイーグル (11/27更新) | 峻険な雪山、北の工作員、米軍ステルス機、自衛隊精鋭部隊、そして核弾頭。しかし描かれる物語リアリティに乏しく、アイデアも未熟。その不足を補うようにお涙頂戴的なシーンでお茶を濁す。何より主人公の造形が薄っぺらだ。 お勧め度=★★ |
| 肩ごしの恋人 (11/27更新) | 自分ではまだ若いと思っているのにいつの間にか周りは年下ばかりになってしまたという、勘違いした30女のイタイ現実。彼女たちの日常はどこまでも軽く、薄い。まるで90年代日本製トレンディドラマのできの悪い韓国版という趣だ。 お勧め度=★* |
| マイティ・ハート (11/24更新) | クラクション、渋滞、あふれんばかりの人。微妙にぶれるカメラは、苛立ちと未知なる物への不安を強調し、人質となったジャーナリストの境遇を代弁する。そしていつしか観客も不安定な足元を揺さぶられるような気持ちになっていく。 お勧め度=★★* |
| ファンタスティック!チェコアニメ映画祭 (11/24更新) | 手作りのアニメは素朴な味わいがあるが、CGによって表現技術は比較にならないほど進歩した。しかし、自由が制限されていた時代に作られたからこそ、映像の裏にあるメッセージを読み取るクリエイティブな楽しみが残されている。 お勧め度=★★* |
| ウェイトレス (11/22更新) | 鮮やかな色彩のパイの数々はヒロインの夢。男の言いなりに生きていくしかない女が、ちょっとしたきっかけで変わっていく。女の自立という古くさいテーマを扱いながらも、妊娠中のセックスという新たな要素が映画に彩を添える。 お勧め度=★★* |
| モーテル (11/22更新) | 手の込んだタイトルロールはヒッチコック風のミステリーを連想させる。しかし、驚かせることが目的の下劣な演出と効果音が足を引っ張り、登場人物の恐怖ばかりが増幅される。サバイバルのための知恵がほとんどなく先が読める。 お勧め度=★* |
| フライボーイズ (11/20更新) | 大空への憧れが若者を駆り立て、まるでスリルを楽しむかのように飛び立っていく。そこに悲壮感はなく英雄となることを信じているかのよう。国のため、大儀のために命がけで戦うことに意義が見出せた時代の雰囲気がよく出ている。 お勧め度=★★* |
| カルラのリスト (11/20更新) | 鋭い眼光は妥協のない意思、スイス・ハーグ・ユーゴを飛び回る旺盛な行動力と粘り強い交渉術で戦争犯罪者を追い詰めていく。国境を越えた権限を持ち、国際刑事法廷に引きずり出そうとする1人の女性国連検察官の仕事に迫る。 お勧め度=★★* |
| 4分間のピアニスト (11/17更新) | 自分を取り巻くすべてのものに対して敵意をむき出しにして生きてきたヒ ロインが、その感情のすべてをピアノに叩きつける。ほとばしる激情と悲しみに満ちた美しさが同居する破壊的かつ爆発的な演奏に、しばらくは言葉を失った。 お勧め度=★★★★* |
| ゾンビ3D (11/17更新) | 血しぶきや脳漿がスクリーンを飛び出して観客の顔に降りかかる、はずだった。しかし、動きののろいゾンビがのそのそと体を揺らしながら歩いてきて人間に襲い掛かるという、3Dにすることがほとんど意味がないシーンばかりだ。 お勧め度=★* |
| ボーン・アルティメイタム (11/15更新) | 手持ちカメラの圧倒的な臨場感と短いカットをつなぎ合わせる張り詰めた緊張感。追う者と追われる者、その立場はめまぐるしく転変し、時にぶれ時に横に流れるカメラワークは命がけのゲームに身を置くかのようなリアリティだ。 お勧め度=★★★★ |
| 転々 (11/15更新) | 父親に見捨てられた若者と子供を持てなかった男。奇妙な縁で結ばれた2人が、失われた記憶を取り戻すかのようにひたすら歩き続ける。しかし、物語の展開も散歩のペースのようにダラダラし、家族のあり方を問う終盤までは退屈だ。 お勧め度=★★* |
| いのちの食べかた (11/13更新) | 徹底した管理・効率化で工業製品のように規格どおりの作物を生産する農業の現場。空調のうなりと器具の騒音以外は何も聞こえない。そこには大地や太陽の恵みに感謝する収穫の喜びといった人間の感情が介在する余地は一切ない。 お勧め度=★★★ |
| ONCE ダブリンの街角で (11/13更新) | 男は元恋人への未練を断ち切れず、女は故郷の夫との関係を見直そうとしている。全編手持ちカメラでほとんどがロケという低予算映画ながら、温かい人間の感情を余すところなくとらえる演出は見事。感傷的な音楽も耳に心地よい。 お勧め度=★★★★ |
| やじきた道中 てれすこ (11/10更新) | ベテラン俳優陣による熟練した演技、落ちついた演出、そしてテンポのよい笑いとほろりとさせる人情の機微が細部にまでよく練られた脚本。しっかりとツボを心得た仕事をし、軽妙な語り口の中に涙を誘う手管は映画の職人芸だ。 お勧め度=★★★* |
| バイオハザード III (11/10更新) | 地上はゾンビに支配され、ひとり悪と闘い続けるヒロイン。表現はよりクールに洗練され、ゾンビはより醜く不快になる。知恵を絞って斬新な映像を見せようとする作り手の熱意は伝わってくるが、B級ホラーの範疇を出ていない。 お勧め度=★★ |
| 鳳凰 わが愛 (11/8更新) | 妻を失った男と夫を殺した女。服役中の刑務所で運命的に出会ったふたりが、30年にもわたる獄中生活で愛を育てていく。それは絶望の中で生きる囚人が描く幻影なのだが、主人公の身辺が囚人の生活同様単調で見せ場に乏しい。 お勧め度=★★ |
| この道は母へとつづく (11/8更新) | 顔も覚えていない、愛された記憶もない。それでも少年の胸を突き動かす母への想い。冷めざめとした映像と氷が奏でるような音楽が主人公の心象風景となり、切ないまでの一途な感情が張り詰めた糸のような緊張感を醸し出す。 お勧め度=★★★ |
| ノートに眠った願いごと (11/6更新) | 幸せの絶頂期に愛するものが突然命を落とす。口にできなかった言葉、伝えたかった気持ち、そして何より受け止める相手がいないことの喪失感。映画は色づく季節を背景にミステリーの要素も加え、コクの深い味わいを見せる。 お勧め度=★★★ |
| ALWAYS 続・三丁目の夕日 (11/6更新) | 飛び立つプロペラ機、疾走する特急、高速道路に覆われていない日本橋。静止した風景だけでなく、動く物体まで細密にCGで再現した技術力には目を見張る。しかし、そこで繰り広げられる人情劇は小ネタの羅列になってしまった。 お勧め度=★★* |
| レディ・チャタレー (11/3更新) | 自分の裸を鏡に映し、女としての価値を見定めるヒロイン。下半身不随の夫とのセックスレス生活の中で抑えられた衝動と女としての悦びを取り戻していく心理が、色づく木々や緑濃い草といった森の自然を背景に細やかに描かれる。 お勧め度=★★★ |
| タロットカード殺人事件 (11/3更新) | 積極的な女と根性ナシの男。ウディ・アレン得意カップルの物語も、自らの加齢と相手女優の若返りで夫婦や恋人という関係は成り立たず、ニセ親娘。しかし、テンポの速い会話はエスプリに満ち溢れ、二転三転して飽きさせない。 お勧め度=★★★* |
| ブレイブ ワン (11/1更新) | 理不尽な暴力を受けたことで風景が突然変わる。他人の視線や足音に脅え、街が敵意をむき出しにしているような恐怖。ジョディ・フォスターは怒り、悲しみ、恐れ、そして復讐のかなたにある感情を神経質なまでの繊細さで演じる。 お勧め度=★★ |
| 象の背中 (11/1更新) | 肺ガンで余命半年と宣告されながら、タバコをやめない主人公。延命治療や手術を拒んだくせに、自分で病状をさらに悪化させる。こんなアホ男に感情移入できるわけもなく、映画はさらに安っぽいセンチメンタリズムに包まれる。 お勧め度=★ |
| 犯人に告ぐ (10/30更新) | 警察官としての使命感より、怒りや欲望にがんじがらめに縛られ、手柄や出世・保身といった自己の利益を優先させる。殺人事件の捜査を背景に、警察官キャリア組同士の欺瞞と裏切り、そして組織の腐敗をクールな視点で描く。 お勧め度=★★★★ |
| スターダスト (10/30更新) | 若者は愛と勇気を証明するために冒険の旅に出る。困難を克服し、敵を倒すのは一人前になるための通過儀礼なのだ。しかし、魔法世界の登場人物の作りこみが甘い上ご都合主義に陥ることが多く、主人公に感情移入できない。 お勧め度=★★ |
| グッド・シェパード (10/25更新) | 欺瞞と裏切りの世界に生き、友人や同僚、果ては家族すら信じられなくなった男。そして自らもその罠に落ちる。生き残るために現実を受け入れ良心を殺していく主人公の姿を、コッポラの演出と見まがうような重厚なスタイルで描く。 お勧め度=★★★★ |
| ヘアスプレー (10/25更新) | ブロンドで青い目の白人が手足をキュートに振って踊り、その一方、まだまだ黒人は2級市民として扱われている。チビでデブの白人少女がダンサーになる夢を追いかける過程を通じて、人間を見かけで判断することの無益さを訴える。 お勧め度=★★* |
| ナルコ (10/23更新) | 現実を認識するのが脳ならば、夢を見るのもやはり脳。突然その境界線が崩れ、意思に関係なく眠ってしまう病気を持つものならば、もはや夢と現実の区別に意味はない。むしろ主人公にとって夢の中での体験こそが真実なのだ。 お勧め度=★★* |
| インベージョン (10/23更新) | 理性だけになってしまった精神はもはや心とはいえない。エイリアンに感情を奪われた人間の行動を通じて、心の平安という状態のうそ臭さを訴える。しかし、発症者=エイリアンの取る行動は短絡的で、理性ある行動と思えない。 お勧め度=★★ |
| ヒートアイランド (10/20更新) | ビートの効いた映像と音楽、息もつかせぬ展開。頭脳と行動力だけで駆け巡る若者たちの息遣いと、大金を複数の非合法組織が血眼で争う様子がテンポよく描かれる。また、多岐にわたる人物描写が丁寧で、混乱せずに見ていられる。 お勧め度=★★★* |
| 黒帯 (10/18更新) | 緑深い山中で、水冷たい清流で、拳の修業に励む男たち。突き、蹴り、手刀、そうした攻撃力を強化するトレーニングは当然するのだが、むしろ独特の呼吸法で精神を高め型どおりに体を動かすことで心の平安を求めているようだ。 お勧め度=★★* |
| 僕がいない場所 (10/18更新) | 親に見捨てられ、周囲とも折り合いがつけられない少年は、他者との交流を拒みひとりで生きることを選ぶ。しかし寒そうな晩秋、野宿したり毛布や暖や食料もほとんどない状態では、強い意志であっても生き抜けるとは思えない。 お勧め度=★★ |
| 大統領暗殺 (10/16更新) | まるで精緻に構成されたドキュメンタリーのような臨場感と緊迫感で、ブッシュ大統領暗殺事件とその後の米国が警察国家に変貌する様子を克明に描く。しかし、存命中の大統領や実在の人物を登場させるのは悪趣味で後味が悪い。 お勧め度=★★ |
| キングダム (10/13更新) | テロリストを絶対悪と定義するFBI捜査官と、米国を悪魔の帝国と名指しするテロリスト。憎しみの連鎖は更なる犠牲者を生み、殺戮は復讐の糧になる。しかし、他国の主権を踏みにじり捜査を強行する主人公には嫌悪感を覚える。 お勧め度=★★ |
| カタコンベ (10/13更新) | 手持ちカメラの微妙なぶれでヒロインの不安と混沌を表現し、不気味な音楽と大げさな効果音で驚かせる手法に加え、MTV感覚の短いカットと映像にビートの利いたサウンドを重ねるという、ホラーとヒップホップの融合を試みる。 お勧め度=★★* |
| 北極のナヌー (10/11更新) | 2組の母子は、成果主義の民間企業で働くシングルマザーと、手厚い労働組合に守られた公務員のよう。シロクマは子供のときから競争社会でのサバイバル術を教え込まれ、セイウチは母子が向き合って抱き合い助け合いの精神を学ぶ。 お勧め度=★★* |
| クローズド・ノート (10/11更新) | かなえられた願い、届かなかった想い、さまざまな気持ちが素直に綴られた日記。しかし、未熟な他人にのぞかれることで陳腐な共感となってたちまち色褪せる。映画は幼稚なミステリー仕立ての上に恋愛ごっこを重ね塗りする。 お勧め度=★* |
| サウスバウンド (10/9更新) | 「ナンセンス!」の一言で公権力の介入を切り捨てる。もはや絶滅種の過激派の生き残り、中年を過ぎても国家や資本家との闘争を止めようとしない。自分が正しいと思ったことは曲げないオッサンの姿を通じて家族のあり方を問う。 お勧め度=★★★ |
| パンズ・ラビリンス (10/9更新) | 人間の心に息づく自由と豊かな暮らしへの憧れ。そして、独裁者と戦うには誘惑に負けない意思と自己犠牲をいとわない勇気が必要であることを訴える。しかし、少女を試すのにどうしてこれほど回りくどい方法をとるのだろうか。 お勧め度=★★ |
| 未来予想図 (10/6更新) | 満天の星、二人乗りのバイク、手をつないだままの卒業旅行。今の幸せが永遠に続くと思い込む若い恋人たちの姿がまぶしい。10年にわたってさまよう若いふたりの愛の行方を、ドリカムの原曲同様、少し軽いでタッチでリアルに描く。 お勧め度=★★★ |
| ローグ アサシン (10/6更新) | 謎の暗殺者を追うFBI捜査官。日本ヤクザと中国マフィアの勢力争い。2つの対立要素が絡み合い、複雑な人間関係と共に謎が謎を呼ぶ。しかし、肝心の主演ふたりの肉体的なパフォーマンスを見せるシーンが少なく物足りない。 お勧め度=★★ |
| パーフェクト・ストレンジャー (10/4更新) | 謎が謎を呼び、張り巡らせた伏線を糸口に主人公が事件を解決。そんなミステリーの定石を破ろうとするが、不安定な足場の上に乗せられたような違和感は終盤までぬぐいきれず、最後には足場ごとひっくり返すような暴挙に出る。 お勧め度=★* |
| 幸せのレシピ (10/2更新) | 個人的な人間関係の再生物語だった「マーサの幸せレシピ」をベースにしながらも、設定をNYに移すことでキャリアウーマンのサクセスストーリーという普遍的なテーマに変換したため、口当たりはよいが味わいに欠ける作品になった。 お勧め度=★★ |
| エディット・ピアフ 愛の賛歌 (9/29更新) | 悲しみと絶望の中で胸も張り裂けんばかりの歌声で聴衆を前に新曲を絶唱する「愛の賛歌」誕生秘話は、美しい上に力強く、なおかつ儚いほどの短い人生しか与えられなかったエディット・ピアフという歌手の生き方を凝縮している。 お勧め度=★★★ |
| ファンタスティック・フォー:銀河の危機 (9/27更新) | 銀色に輝く肉体でサーフボードを乗りこなし、超スピードで空中を切り裂き壁を抜けるシルバーサーファーの圧倒的な存在感の前にファンタスティック・フォーの影は薄い。その自己犠牲は美しく、彼の苦悩をもっと描くべきだった。 お勧め度=★★* |
| さらば、ベルリン (9/27更新) | モノクロームのシャープな陰影と戦争の影をひきずる男と女。過去の名作からスタイルを盗むが、物語がきちんと整理されておらず、結果として主人公は謎と秘密と嘘という闇の彼方にある真実に近づいたつもりで遠ざかってしまう。 お勧め度=★* |
| サルバドールの朝 (9/25更新) | 思想と行動、犯罪者として警察に追われることが熱く生きることと勘違いしている、そんなどこか甘ったれた青年をダニエル・ブリュールがスペイン語がけでなくカタルーニャ語まで駆使して好演。物語にリアリティを与えている。 お勧め度=★★* |
| 包帯クラブ (9/25更新) | 高く透き通った空と力なき冬の陽光を背景に、風になびく純白の包帯。そのイメージの中、強烈な喪失感と未来への漠然とした閉塞感にさいなまれるヒロインが、やさしさだけでは解決しない他人の痛みを理解する過程で成長する。 お勧め度=★★* |
| めがね (9/22更新) | 必要なもの以外は何も持たない、必要なこと以外は何もしない。ただひたすら風景を眺めてぼーっとしている。だが、ひとりになりたくても、結局誰かとつながっていたい、そんな旅行者の心を十分に余白を取った抑えた演出で描く。 お勧め度=★★★ |
| スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ (9/22更新) | 変幻自在のカメラワークに独特の色彩感覚と個性豊かな登場人物。そうした映像の断片を見ていると非常に洗練されている。しかしそのスタイルにこだわる余り作品からはダイナミックなパワーが薄れ、陳腐な展開になってしまった。 お勧め度=★* |
| 題名のない子守唄 (9/20更新) | 謎めいたヒロイン、忌まわしい記憶、そして迫り来る魔の手。ちりばめられた映像の断片を組み立てていくうちに過去が姿を現し、彼女の目的が明らかになっていく。その上質なミステリーの手法は洗練の極み、片時も目を離せない。 お勧め度=★★★* |
| ミス・ポター (9/18更新) | 絵の中の動物たちに語りかけ命を吹き込むと、動物たちは物語のキャラクターとなって動き出す。木々のざわめ、土と泥、湖水の清さと生き物の営み、それらを愛した絵本童話作者の姿を通して、環境を保護することの大切さを訴える。 お勧め度=★★★ |
| サッド ヴァケイション (9/18更新) | 必死で過去から逃げようとする主人公に対し、過去よりも未来だけを見ていこうという母親。映画はその対比を男女の本質的な差異とまで断言し、女性賛美にまで昇華する。しかし、間延びした会話と映像がそんな物語の特性を殺す。 お勧め度=★★ |
| HERO (9/15更新) | 強引な力技で引っ張っていく演出はまさしくエンタテインメント。物語の齟齬を熱意とチームワークで乗り切っていく。主人公のセリフを通して法律用語を平易な言葉に置き換え、変わろうとしている法廷を身近に感じさせてくれる。 お勧め度=★★* |
| ミルコのひかり (9/13更新) | 顔に感じる風は青。ざらついた木の肌は茶色。色の概念を表現する感性はそのまま芸術的に昇華され、視覚を失ったからこそ才能が開花する。研ぎ澄まされた主人公の耳は何気ない音にも意味を見い出し、音が主役の物語を紡ぎだす。 お勧め度=★★* |
| ホステル2 (9/11更新) | 街外れの廃工場で若者を切り刻む組織は、米国人の古いヨーロッパに対する憧憬の裏返し。しかし、その組織には、先人から粛々と伝授されてきた拷問や処刑法に対する敬意がなく、拝金主義に毒されていく東欧の末路を見るようだ。 お勧め度=★★* |
| ルーツ・タイム (9/11更新) | エチオピア皇帝の崇拝とアフリカ回帰、そして西洋医学よりも呪術と薬草が効くと信じる自然信仰。これらがジャマイカの人々にとって心の源流となる思想であることを描きたかったのは理解できるが、映画的な見せる工夫に乏しい。 お勧め度=★* |
| ミリキタニの猫 (9/8更新) | 「自分は偉大なアーティスト」、自分の絵は「傑作」と言ってはばからない主人公。そこには絵画に生涯を捧げようと決心したのに、戦争によって夢を奪われ、数十年も回り道をした、彼の人生と失われたプライドが凝縮されている。 お勧め度=★★★* |
| ブラック・スネーク モーン (9/8更新) | 妻に逃げられた農夫とセックス依存症の女。お互いが相手の心にあいた深い穴に気づき、それを埋めるために気持ちを通わせていく。しかし、この作品の非現実的な雰囲気は、夢の中で夢を見ているような地に足のつかない感覚だ。 お勧め度=★* |
| 私のちいさなピアニスト (9/6更新) | 世界にあふれるあらゆる音はメロディに変換され、鍵盤に走らせる指で再現される。そんな天才的な才能を持ちながら不幸な境遇に育った少年とピアニストとしての大成しなかった女。ふたりの姿を通じて、人生の再生と希望を描く。 お勧め度=★★ |
| 恋とスフレと娘とわたし (9/6更新) | 自分の気持ちの押し付けが愛と勘違いする母と娘。相手のことを考えているようで自己満足を求めているだけ。そんなイタい感情の連鎖を、俳優たちがイタいほど熱演。しかし、それがコメディに昇華せず、悪ふざけにしか見えない。 お勧め度=★* |
| Life 天国で君に逢えたら (9/4更新) | 抜けるような青空とエメラルドグリーンの海、風をセイルいっぱいに受け波を滑っていく。ウインドサーフィンにとりつかれた主人公スリルとスピードを体感させてくれるのかと期待したが、映画は凡庸な闘病記がメインになっている。 お勧め度=★★ |
| 阿波DANCE (9/4更新) | 阿波踊りとヒップホップ、主人公の2人がまったく違うタイプの踊りで直接対決するという、ばかばかしくて誰も手をつけなかったようなシチュエーションにあえて挑み大いに笑いを誘うが、後半はパワーも完成度も落ち弛んでしまう。 お勧め度=★★ |
| オフサイド・ガールズ (9/1更新) | 女であるというだけでサッカー観戦ができない、そんな理不尽な決まりを破りなんとか競技場にもぐりこもうとする若い女性たち。女性の人権を制限することがいかに無意味かを肩の力を抜いて訴えているところに好感を持てた。 お勧め度=★★★* |
| ラッシュアワー3 (9/1更新) | お調子者の警官はパリに舞台を移してもその態度は改まらず、むしろ典型的な米国人としてフランス人から嫌われる役。もし世界中で嫌われているブッシュ流帝国主義の象徴、顰蹙の対象として描いているのなら、それは成功だ。 お勧め度=★★ |
| シッコ (8/30更新) | 医療すら営利目的となってしまった米国では、金持ちしかまともな治療は受けられず、保険会社と病院、製薬会社ばかりが儲かる仕組み。国民の健康をないがしろにした制度の現場を取材し、他国との比較で問題点を浮き彫りにする。 お勧め度=★★★* |
| TAXI4 (8/30更新) | バリバリにチューンアップしたプジョーで300キロ以上のスピードで疾走するテクニックは健在。舞台をマルセイユに戻し、スリルあふれる超絶カーチェイスを見せるのかと思いきや、センスのかみ合わないコメディになっている。 お勧め度=★* |
| 厨房で逢いましょう (8/28更新) | 料理だけを愛し、あらゆるものを犠牲にしてきたシェフ。醜いまでに太った容姿の上、自分の気持ちを言葉や表情で表現することができず、女性には無縁。そんなもてない中年男の恋愛に対する臆病な距離感が非常に繊細に描かれる。 お勧め度=★★★ |
| 長江哀歌 (8/28更新) | 登場人物が失った愛を取り戻そうとする過程で、過去には戻るには遅すぎることを知り、新たな未来に踏み出してく。しかしその語り口は恐ろしく緩慢で、時間の尺度が一桁違うかのよう。この程度のエピソードはアイデア不足だ。 お勧め度=★★* |
| デス・プルーフinグラインドハウス (8/25更新) | カーチェイスの原点に戻り、スタントの神髄を見せる変幻自在のカメラワークは臨場感たっぷり。スタントマンが命を張って見せるスピードとスリルを、より大いなる衝撃をもった新たな表現の可能性を追求する映像で観客を圧倒する。 お勧め度=★★★★ |
| プラネット・テラーinグラインドハウス (8/25更新) | 義足代わりのマシンガンを華麗な身のこなしで操り、ぶっ放すというアイデアを映像で見せたかったのだろう。そこにゾンビを登場させようという短絡的な内容は、大量の火薬で破壊しまくるだけの大味な出来栄えになってしまった。 お勧め度=★* |
| ベクシル (8/23更新) | ロボット同士がぶつかり破壊しあう金属の重量感にこだわった圧倒的なサウンドとヴィジュアル。CGだからなしえたメタリックな質感はデジタルの特性を極限にまで引き出し、リアルを超えた未来社会をディテールまで描きこむ。 お勧め度=★★* |
| 遠くの空に消えた (8/23更新) | ファンタジーとしては作りこみが甘く、コメディとしてはセンスが悪い。冗漫なエピソードの連続に2時間半近い長尺を最後まで見るには相当な忍耐と努力が要求される。遠くの空に消えなくても、映画館からはすぐに消えるだろう。 お勧め度=★ |
| キャプテン (8/21更新) | ボールを怖がり、バットをまともに振れないほどの野球センスのない少年が、猛練習でみるみる上達していく。その一方で、素人同然だった主人公役の少年の演技が、物語が進行するにつれて野球同様に上達していく様子が楽しい。 お勧め度=★★* |
| 恋するマドリ (8/21更新) | 突然の失踪、突然の引越し・・・。素敵なことはいつも突然の出来事の後に偶然やってくる。ヒロインが引越しで新たな生活を始め、ゼロから人間関係を作り上げていく過程は楽しめるが、その偶然性があまりにも作為に満ちてる。 お勧め度=★★ |
| 呪怨 パンデミック (8/18更新) | 骨ばった肩をくゆらせて接近し、目でにらみ髪を絡ませ指で触れる。伽耶子を演じる藤貴子の動きがより洗練され骸骨が踊るような不気味さだ。しかし、米国で公開させるために無理やり作った英語の設定が足を引っ張っている。 お勧め度=★★* |
| トランシルヴァニア (8/18更新) | 喜び、怒り、悲しみを情熱的なリズムで表現するジプシーたち。感情をかきむしる旋律が女の気持ちを代弁する。それは愛を求めて東欧の果てまでやってきた彼女が体験する喪失の物語にふさわしいが、突然の転調に映画は乱れる。 お勧め度=★* |
| 消えた天使 (8/16更新) | 性犯罪への怒りと性犯罪者を野放しにしていることへの苛立ち。それらがB級ホラー映画のような表現法で描かれる。しかし思わせぶりな演出とは裏腹に、登場人物の心の闇を解明することなく、ミステリーとしても中途半端だ。 お勧め度=★★ |
| ブラッド (8/14更新) | 肉体は吸血鬼でも人間の良心は胸に残ったままという、吸血鬼になりきれない吸血鬼。スタイリッシュな映像で従来の吸血鬼モノと一線を画そうという試みは理解できるが、アクションも展開もぬるく、中途半端な構成は先が読める。 お勧め度=★★ |
| オーシャンズ13 (8/11更新) | ラスベガスを舞台にした犯罪映画でありながら暴力とは無縁なストーリーが非常に洗練されている。どこまでもクールなオーシャンズの行動様式は「ちょい不良オヤジ」など足元にも及ばない「粋な中年男」の真髄を見せてくれる。 お勧め度=★★★★ |
| プロヴァンスの贈りもの (8/7更新) | 仕事に追われ心をすり減らしていた男が農村のスローライフに触れ生き方を変える。手垢の付いたような物語には新鮮味はなく、予想通りに展開し予想通りの結末を迎える。人口甘味料を使った安物ワインのような味わいの映画だ。 お勧め度=★★ |
| 怪談 (8/7更新) | 小手先の表現術よりも、情念が怨念に変わっていく様子を細密に描く。計算されたライティングと流麗な映像は美しさと儚さが同居し、男に溺れて破滅した女の罪深い想いを表現する。それは日本古来の幽玄を追及するような趣だ。 お勧め度=★★★ |
| トランスフォーマー (8/4更新) | しなやかさはないが、重量感とメカニカルな関節の動きが再現され、ロボットたちが機械ではなく思考と精神を持った知的生命体であることを自然に納得させてくれる。しかし後半はオモチャ箱をひっくり返したような混沌におちいる。 お勧め度=★★* |
| 天然コケッコー (8/4更新) | 長閑な農村風景の中でゆったりと流れる時間、濃密な人間関係の中で自分を見つめ直す作業と初恋。進歩や変化より過去の延長線上にある現在を大切にしながら、中学生のヒロインは少し背伸びして未来を覗き見しようとする。 お勧め度=★★ |
| 夕凪の街 桜の国 (8/2更新) | 生き残った者は体にケロイドの痕を残し、心に自責の念を抱き続ける。戦後13年、あえて原爆がなかったことのように口にせず、復興の夢を見ながら生きているヒロインに、自分が幸せになってはいけないという思いがのしかかる。 お勧め度=★★★* |
| 河童のクゥと夏休み (8/2更新) | 生活臭あふれる家族との会話や微妙なバランスの上に成り立つ友達との関係、登場人物の何気ない言葉や仕種。人間の日常生活を丁寧に描くことで、河童という非日常的なものを受け入れるための舞台装置にリアリティを与えている。 お勧め度=★★ |
| リトル・チルドレン (7/31更新) | 退屈でありふれた生活。しかし、問題がないはず暮らしこそが不満の原因となって、そこに住む人の心を不安に陥れる。静謐な映像と徐々にテンションを高めていく手法は、日常に潜む鬱憤が沸点に達するまでを緊張感たっぷりに描く。 お勧め度=★★★ |
| レミーのおいしいレストラン (7/31更新) | 遠いところから船でやってきて、人目を忍んで暮らし、それでも成功への夢は捨てていない。まさしくフランス社会に蔓延するアフリカからの密入国者そのもの。子供向けアニメを装って不法就労の現実を描くとはなかなか奥が深い。 お勧め度=★★* |
| インランド・エンパイア (7/28更新) | それはまるで妄想の中で見る幻覚、夢の中での覚醒。理解しようともがくほど不条理の鎖に縛られて、底なしのぬかるみの中に落ちていくよう。困惑と混乱の中で、考えることを放棄して映像の流れに身を任せたとたん快感を得る。 お勧め度=★★ |
| ブラインドサイト (7/28更新) | ハンディだけでなく差別とも闘わなければならないチベットの盲人たち。そんな虐げられた目の見えない子供たちが、仲間と同じ目的に向かって努力する過程で自信を取り戻し、将来の夢や目標を語れるまでに成長する姿は力強い。 お勧め度=★★* |
| ピアノの森 (7/26更新) | 型にはめた訓練で自由な発想を奪うより、個性を重視して才能を伸ばそうという教育的な意図は理解できる。だが、個性で勝負できるようになるには、いかに天才でも人の何倍も努力しなければならないことをこの映画は忘れている。 お勧め度=★★ |
| ゴースト・ハウス (7/26更新) | まとわりつくようなカメラワークとこけおどしの効果音を多用し、怖がらせるというより驚かせることに重点を置いた演出に、映画が始まって15分もしないうちにウンザリしてくる。つじつまの合わないストーリーは致命的な欠陥だ。 お勧め度=★ |
| フリーダム・ライターズ (7/24更新) | 貧困と人種間対立、犯罪にあふれた街で育ったティーンエージャーをいかにして教育するか。生きる目標と誇りを与えれば立ち直るという信念の元、新任女性教師が孤軍奮闘する。できすぎた話だが、その理想には共感してしまう。 お勧め度=★★★* |
| ファウンテン 永遠につづく愛 (7/24更新) | 永遠の命とアンチエイジング、愛する者が余命わずかと知ったとき、人は誰もがそれを願う。光に満ちた宇宙でスキンヘッドの男が座禅を組むシュールな映像は、西洋の理性や科学に相対する価値観への憧憬と劣等感のあらわれだ。 お勧め度=★★ |
| ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (7/21更新) | 何度も死の危険を乗り越えてきたハリーにはもはや少年の面影は微塵もない。今回はホグワーツ全体が管理体制におかれて、学園生活自体が尾崎豊が歌ったような窮屈さ。シリーズ中いちばん暗く潤いのない作品となってしまった。 お勧め度=★★★ |
| イタリア的、恋愛マニュアル (7/19更新) | 熱烈な思いで始まった恋も時と共にやがてその熱は冷める。しかし、男も女も恋に積極的な気持ちを失わないうちは、その先に必ず幸せが待ち受けているという恋愛至上主義。恋は人生を彩るスパイスではなく、人生そのものだ。 お勧め度=★★★ |
| 街のあかり (7/19更新) | 極限までそぎ落としたセリフと、感情を見せない寡黙なアップが独特の空間を生み、仏頂面を崩さない主人公の人生に対する怨みや憎しみ、そして諦観を饒舌に物語る。しかし、最後に一抹の希望を与えることも忘れていない。 お勧め度=★★★ |
| 私たちの幸せな時間 (7/17更新) | 既決囚が生きたいと願うようになったときに命が奪われるというという、一見残酷な死刑という制度。それは、凶悪な殺人犯として死なせるのではなく、心を持った人間として死なせてやろうとする司法の冷酷さであり温情でもある。 お勧め度=★★★* |
| 不完全なふたり (7/17更新) | 何かが起こりそうな予感を漂わせた寡黙な映像が退屈で浅薄な展開に奥行きを持たせているが、会話だけで進行する物語はいかにも散漫で、そこからは夫婦の亀裂の原因は漏れてこない。もう少し観客に2人の状況を説明すべきだ。 お勧め度=★* |
| 魔笛 (7/14更新) | 飛び交う銃弾と炸裂する砲弾に撃たれて、兵士たちが次々と崩れ落ちる地獄のような戦場に響き渡る天国の音色。そのミスマッチが見事なハーモニーを生み出し、モーツァルトの傑作に新たなイマジネーションを吹き込んでいる。 お勧め度=★★★* |
| アドレナリン (7/14更新) | 視界がゆがみ聴覚が敏感になる。主人公と同じ感覚を観客にも味あわせるカメラワークとヴィジュアルエフェクトは見事だ。しかし、スピードよりも主人公の主観を重視しすぎたために疾走感に欠け、力強さとスリルが物足りない。 お勧め度=★★* |
| ボルベール (7/12更新) | たくさんの秘密と言葉にできなかった思い。母と娘、姉妹という肉親だからこそ感じる距離感と近親感。女はしたたかで生き残る才能に長けているだけでなく、小さな出来事でも自分の生活を華やかに彩る才能を持っているのだ。 お勧め度=★★★ |
| マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶 (7/12更新) | イタリア映画界伝説の大スターの人生を、残されたフィルムと彼を知る映画監督、俳優といった映画関係者の証言で綴る。しかし、イメージを壊すようなことは一切語られない。なぜもっと毀誉褒貶を抉り出そうとしないのだろうか。 お勧め度=★★ |
| 傷だらけの男たち (7/10更新) | 謎めいた過去を持つ男と、満たされない現在を過ごす男は、お互いの心の隙間を埋めるように運命に導かれていく。しかし、あっさりとタネをあかした上、せっかくのミステリーの味わいを壊し、物語はゆらぎ焦点があいまいになる。 お勧め度=★★ |
| アヒルと鴨のコインロッカー (7/10更新) | 観客は、語り部となる主人公の目を通して体験し、一緒に謎を解くというのがミステリー映画のルール。考え抜かれたトリックでだまし張り巡らせた伏線で真実に導いてこそ作家の腕の見せ所なのに、この映画は禁じ手でお茶を濁す。 お勧め度=★* |
| シュレック3 (7/10更新) | 容姿のつりあった者同士が分を知った上で結ばれてしまえば、もう外見に対する憧れはなくなる。冒険よりも安定、支配者になるより気ままな生活。一応、巻き込まれるかたちで妻を救うために立ち上がるが、無理やりな設定だ。 お勧め度=★* |
| 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (7/7更新) | そこにあるのは愛よりも憎しみ、人生がうまくいかないのは自分以外の他者すべてに足を引っ張られていると解釈するヒロインを佐藤江梨子が好演。あどけない笑顔に下に隠されたどす黒い悪意が噴出するシーンには鳥肌が立つ。 お勧め度=★★★* |
| 殯の森 (7/7更新) | 妻を亡くした男と、息子を事故死させた女。湧き上がる2人の感情を丁寧に掬い取るカメラは、退屈な中にも豊穣をたたえたような奥の深さ。死者は生きている者のそばにいる、研ぎ澄まされた映像に、ふと、そんな感覚が胸をよぎる。 お勧め度=★★★ |
| 石の微笑 (7/5更新) | 恋に落ちた女の恐るべき過去を知ったとき、そのまま彼女との愛を受け入れるのか、良心に従うのか。ミステリアスな魅力と豊満な肉体に溺れ、そのそのまま身をゆだねてしまいたい誘惑に負けそうになる男の気弱さがリアルだ。 お勧め度=★★* |
| ラッキー・ユー (7/5更新) | 賭場で生きる主人公は相手の手札を見抜き、ブラフをかけ、ブタの手でも掛け金を手に入れる。そのスタイルは理解できるが、そのためのあっと驚くようなテクニックが披露されることなく、映画を見たものが使えるような必勝法もない。 お勧め度=★★ |
| キサラギ (7/3更新) | 限定された空間で研ぎ澄まされた言葉が飛び交うさまは、一幕芝居を見ているような緊張感。二転三転する展開は一瞬も息を抜けないミステリー。深まる謎と明らかにされる秘密の配合が調和し、善意が生んだ悲劇を見事に昇華する。 お勧め度=★★★★ |
| そして、デブノーの森へ (7/3更新) | 謎の女、隠された過去、偽りの人生・・・。手の込んだ復讐劇にミステリーと官能の要素を加えた盛りだくさんな内容にしようという意気込みの映像や効果音は70年代風の古臭さが漂い、手垢のついた2時間ドラマのようなスタイルだ。 お勧め度=★★ |
| ダイ・ハード4.0 (6/30更新) | 妻とは離婚、娘にも絶縁される孤独な男。悪党との闘いにすべてを犠牲にしてきた英雄の寂しい現実がリアルな台詞で描かれる。しかしこれまでのシリーズと違い、犯行の計画性やアクションを見せるための強引な設定に無理が多い。 お勧め度=★★* |
| 憑神 (6/30更新) | 平和な時代だからそれなりに楽しく暮らしていける。少しはあせりは感じているが自分で何とかしようという意思もない。そんなフリーターのような若侍が、変わらざるを得ない状況で初めて自分の人生に目標と意義を見出していく。 お勧め度=★★* |
| ハリウッドランド (6/28更新) | 生え際に目立つ白髪と張りのない肌、胴回りをおおうだぶついた贅肉。どうごまかしてもスーパーマンを演じられなくなった肉体派二枚目俳優の苦悩と自殺。しかし、過去の時間軸の経過が分かりにくく、因果関係の再構成に戸惑う。 お勧め度=★★ |
| リサイクル (6/28更新) | 主人公が捨てたものはずっと忘却の世界で生きている。ロールプレイングのような構成は普通のホラー映画とは一線を画しているが、表現自体は相変わらずおどろおどろしい音楽と突然の大音響という効果音の連続で新鮮味はない。 お勧め度=★★ |
| サイドカーに犬 (6/26更新) | サバサバした言葉を遣い、奔放に生きている。ヒロインの雰囲気は、本当はまったく違う性格なのに子供の前では明るく振舞おうとしているようにも見える。それを竹内結子が演じると、どこか無理しているような違和感が残るのだ。 お勧め度=★★* |
| きみにしか聞こえない (6/26更新) | 孤独、憂鬱、困惑、心配、悲しみ、苛立ちといった負の感情を視線と眉毛の動きで表現し、喜び、安心、思い出し笑い、はにかみといった感情をさまざまな笑顔を使い分けることで演じる。女優・成海璃子のプロモーションフィルムだ。 お勧め度=★* |
| 図鑑に載ってない虫 (6/23更新) | 脈絡のない小ネタの洪水はカオスに突き落とす寸前まで追い詰めるが決して下品にはならなず、非常に洗練されたコメディに昇華されている。笑わせるセンスとスピード感、いつしか作品の迷宮で全力疾走させられている気分になる。 お勧め度=★★★★ |
| 舞妓Haaaan!!! (6/23更新) | 一見さんお断り。その閉鎖的なしきたりに、足を踏み入れることがなかなかかなわない世界をのぞく。しかし、所詮は舞妓遊びを楽しむだけの器量が脚本家になく、阿部サダヲのハイテンションだけでは2時間持たせることは無理だ。 お勧め度=★★ |
| ゾディアック (6/21更新) | 連続殺人、暗号による犯行声明。。。世間を震撼させたその事件は、被害者だけでなく、暗号にとり付かれた者の人生を変えていく。しかし、観客を迷宮に放り出すだけでは、いくら事実を基にしているといっても無責任ではないか。 お勧め度=★★* |
| ブリッジ (6/21更新) | 人は自分の命を絶とうとする瞬間、何を考えるのか。欄干を乗り越えながら躊躇するものもいれば、すばやく空中に身を躍らせるものもいる。橋のたもとに据えられたカメラは、ただ傍観者として彼らの最期の瞬間をフィルムに収める。 お勧め度=★★ |
| アポカリプト (6/19更新) | 平和な日々の営みを突然の暴力が襲い、自由を奪われた男に、愛が勇気を与えエネルギーを供給する。ただ、その物語を通じて描こうとしているテーマの主張が弱く、娯楽性にも乏しいためディテールに至るこだわりが生きてこない。 お勧め度=★★★ |
| ストレンジャー・コール (6/19更新) | 少女の不安を、ひたすら不快感を増幅させるような音楽とショッキングな効果音で表現しようとする試みは、怖がらせるというよりびっくりさせているだけ。何の仕掛けもなく、ここまで単調だと退屈を通り越して見ているのが苦痛だ。 お勧め度=★ |
| ラストラブ (6/16更新) | 不自然な出会いと再会、さらに考えられない場面での再再会、そして主人公の病。リアリティをまったく感じさせない物語と素人が頭の中で考えたようなご都合主義のエピソードの連発で、涙を誘おうという演出はむしろ失笑を誘う。 お勧め度=★* |
| それでも生きる子供たちへ (6/16更新) | 貧困、戦争、エイズ、犯罪、孤児・・・。7人の監督が鋭くえぐり出す現実。悲惨な環境も子供たちには日常、そこで生きるしかない彼らのたくましさがまぶしい。一応どの作品にも未来への希望を残しているので、見た後の気分もいい。 お勧め度=★★★ |
| プレステージ (6/14更新) | 現在、過去、さらに大過去と、時制は頻繁にシャッフルされる。疑問が疑問を呼ぶという構成は、何気ない伏線となって別のシーンで生き、マジシャンとして周囲の人の心を操る主人公同様、映画は巧みに観客の思考を揺さぶる。 お勧め度=★★* |
| あるスキャンダルの覚え書き (6/14更新) | 家族も友人もなく、日々綴る日記帳だけが対話の相手。孤独をかかえたまま、プライドだけは高くなる。そんなベテラン教師の胸に潜む闇と空白をジュディ・デンチが好演。人間の複雑さ、愛に飢えている女の感性がとてもリアルだ。 お勧め度=★★* |
| 選挙 (6/12更新) | 自分の名前を連呼するだけでなく、小学生にまで握手を求める。政策は二の次、名前を覚えこませることだけを念頭に行う街頭演説にはすさまじい迫力、ひとりの熱意と愚直なまでの行動は強烈なリアリティで見るものを圧倒する。 お勧め度=★★★* |
| 300 (6/9更新) | 彩度を極端に落としガンメタリック塗装を施したような映像は金属のような硬質感をもたらし、飛び散る血しぶきの赤を強調するかのようにスローモーションを多用する。俳優の演技やストーリーはもはやVFXの付属物でしかない。 お勧め度=★★★ |
| 大日本人 (6/9更新) | もはやスーパーヒーローを必要としなくなった現代の、時代遅れの正義の味方。理想はすでに燃え尽き、仕事だからやっている。その後戻りできない中年男の冴えない日常を、取材という体裁のなかで松本は絶妙の間で演じている。 お勧め度=★★★ |
| 女帝 エンペラー (6/7更新) | 剣を交えた攻防は舞踏の動きと様式美にこだわり、その美しさと幻惑するようなカメラワークには目を見張はる。しかし、登場人物の深い悲しみや怒りを描いているわけでもなく、ただただ展開のゆるいエピソードが繰り返される。 お勧め度=★★ |
| 鉄板英雄伝説 (6/7更新) | ハリウッドの超大作ばかりではなく、B級映画までパロディにする守備範囲の広さ。元ネタとあまり顔が似ていない俳優が演じていても、しぐさをよく研究したうえでデフォルメし、何とか笑いをとろうという精神があふれている。 お勧め度=★★* |
| 監督・ばんざい! (6/5更新) | 映画の不出来を自嘲的なジョークで覆う手法は一見面白いが、それを踏み台にして新たなイマジネーションにたどり着かず、同じところを回っているだけ。自分の好きな映像を撮れることを自慢しているようないやらしさが全編を覆う。 お勧め度=★ |
| ザ・シューター (6/2更新) | 距離を測り、風を読み、動きを予測する。息を潜めて自然と同化し、正確に相手の頭を撃ち抜くために、あらゆる情報をインプットしてトリガーを引く。プロローグ、狙撃手が敵の小隊を殲滅する場面は息を飲むほどの緊迫感だ。 お勧め度=★★★ |
| ボラット (5/31更新) | 文明から取り残されたような国からきた外国人が見た米国の真実。米国文化を痛烈に皮肉っている一方で、米国の寛容の尺度を測るものさしにもなっており、結果として異文化を受け入れることの米国のおおらかさを証明している。 お勧め度=★★★ |
| コマンダンテ (5/31更新) | 40年以上もキューバに君臨し続けるフィデル・カストロ。老いたりとはいえ、その足取りはなおしっかりと大地を踏みしめ、明瞭に信念を語るエネルギッシュかつ繊細な人柄に、オリバー・ストーンは時に大胆に、時に鋭く突っ込む。 お勧め度=★★★ |
| しゃべれども しゃべれども (5/29更新) | 寂しくて誰かと会話したいのに、いざ話そうとするとぎこちなくなる。自分自身で壁を作ってしまった人々が、その壁をどうやって乗り越えていくか。落語がキャラクターに奥行きを持たせ、下町の古い町並みが人情の味わいを広げる。 お勧め度=★★★* |
| インビジブル・ウェーブ (5/29更新) | ブルーを強調した深く沈んだトーンの映像は、まるで深海を浮遊しているよう。それは主人公の心理状態の象徴で、現実と妄想の狭間のような夢遊感が別世界のような雰囲気をかもし出すが、物語の展開はぬるく、環境映像のようだ。 お勧め度=★★ |
| パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド (5/26更新) | アクションは壮大で目を見張るのだが、見せ場を拡散させすぎて非常に疲れる。また、屋上屋を重ねるように登場人物のエピソードを加えていくために収拾がつかない。結果として、退屈はしないが印象の薄い作品になってしまった。 お勧め度=★★* |
| リーピング (5/26更新) | 神の奇跡といった超常現象を科学で解明しようとする研究者が、初めて目にする人智を超えた災厄。オカルトを否定しているヒロインが最後には奇跡の証人になり、科学がオカルトに敗北したことを認めるという時代錯誤が恐ろしい。 お勧め度=★★ |
| パッチギ! LOVE&PEACE (5/24更新) | 差別に対する怒りを糧に、力強く生きていこうとするヒロインの凛とした美しさ。対照的に男たちの短慮で粗暴なこと。感傷よりも感情の爆発、言葉よりも腕力という、あえて観客の期待を裏切る監督の仕掛けは空回りしている。 お勧め度=★* |
| 主人公は僕だった (5/22更新) | 他人が決めたスケジュールどおりに生きてきたような男が死ぬ予定であることが分かったときに、初めて自分の頭で考え、行動する。しかし、主人公の運命を握っているのが同じ次元に住む人間であるという設定にはやや無理がある。 お勧め度=★★* |
| アパートメント (5/22更新) | 他人の私生活の覗き見、女装の二重人格者、コキコキと首の骨を鳴らしながら迫りくる女の幽霊…。ヒッチコックのスリラーと和製ホラーの話題作のエッセンスを盗んでミステリー仕立てにするという安易な設定は新鮮味に乏しい。 お勧め度=★* |
| 俺は、君のためにこそ死ににいく (5/19更新) | 太平洋戦争末期、お国のためといって短い命を散らしていった英霊の言葉を現在に伝えることは大切だ。しかし、物語がきちんと整理されておらず、散漫なエピソードの連続は有機的にひとつのストーリーとして結実していない。 お勧め度=★★ |
| スモーキン・エース (5/17更新) | スタイリッシュにして乱暴な映像からは繊細かつエネルギッシュなパワーがほとばしり、見るものを圧倒する。ホテルのエレベーターホールという狭い空間で惜しげもなくぶっ放される銃弾が、映画を死の美学にまで昇華させている。 お勧め度=★★★ |
| 眉山 (5/17更新) | 十分に愛されて育ったにもかかわらず私生児という境遇を受け入れられなかった娘が、母の人生の最期にその真実を知るという展開は十分に涙を誘う素材。にもかかわらず、身勝手な娘の行動にはまったくリアリティが感じられない。 お勧め度=★★ |
| 歌謡曲だよ、人生は (5/15更新) | 昭和40年代前後を彩った歌謡曲。懐かしさに口ずさみたくなる歌もあれば、知らない曲もある。若い脚本家や演出家は下手なことはできず、短かい上映時間という制約の中できちんと物語の起承転結が練られていたのは3本だけだった。 お勧め度=★★* |
| ドリーム・クルーズ (5/15更新) | 入れ子の悪夢や腹ばいになって追いかけてくる女の亡霊、おどろおどろしい効果音の多用。すでに使い古されたようなテクニックのオンパレードにはなんら恐怖を喚起するものはなく、作品としてのオリジナリティも感じなかった。 お勧め度=★★ |
| The 焼肉ムービー プルコギ (5/12更新) | 映像と音、幸せな表情だけで焼肉の味わいを表現する前半は、スクリーンから煙が漂ってきそうなシーンの連続に思わずよだれが出てくる。だがその驚きは長続きせず、無理やり挿入したようなコミカルなシーンが足を引っ張る。 お勧め度=★★* |
| あしたの私のつくりかた (5/10更新) | しっとりと落ち着いた美しい映像、そこでは湧き水のように透明でゆったりとした時間が流れる。本当の自分はどこにいるのかは自分でもわからないという、少女の繊細で移ろいやすい感情をカメラは真正面から捕らえようとする。 お勧め度=★★* |
| ドレスデン、運命の日 (5/10更新) | 第二次大戦の敗戦国ドイツもまた被害者としての一面を持ち、「ドイツ人の目で見た戦争」を描いている点は新鮮。しかし、そこで展開されるドラマはあまりにも幼稚な上、細かいカットの積み重ねという安っぽい手法を多用する。 お勧め度=★* |
| イノセントワールド (5/8更新) | 人を疑うことを知らない無垢な心に触れたとき、詐欺師でも少しは心を動かすもの。ひたすら善良な青年の姿はもはや菩薩の域に達し、悪人を改心させる。その過程であらゆる小道具で他人の懐を狙うスリのテクニックが楽しめる。 お勧め度=★★★ |
| バベル (5/5更新) | 幼児、ローティーン、ハイティーン、そして成人した子供を持つそれぞれの親が家族の危機に直面したときの対応を突き放したようなトーンで描く。最後には「抱きしめる」という行為で、どんな言葉よりも密接に親子の絆を確かめ合う。 お勧め度=★★★ |
| 北斗の拳 ラオウ伝 激闘の章 (5/5更新) | 微妙に描きなおされたキャラクターの顔や、ラオウの声に覚える違和感。押し出しの強い低音のよく響く声こそ世紀末覇者にふさわしいのに、宇梶剛士の奥行きのない声で「わが生涯に一片の悔いなし!」と叫ばれてもピンとこない。 お勧め度=★★ |
| スパイダーマン3 (5/3更新) | スーパーヒーローであり続けるその前に、自分の中の慢心と戦うことになる主人公。バトルシーンにはめくるめくような爽快感があるが、悩めるヒーローが恋人のために迷いを吹っ切るという前作と同音異曲では先が読めてしまう。 お勧め度=★★* |
| こわれゆく世界の中で (5/3更新) | 戦争や貧困とはおよそ無縁な生活を享受しているのに、心をうまくコントロールにできない自分を責めるかのように自らと周りの人間を傷つける。愛というに冷たく、信頼というにははかない。満足を知らない心が安息を求めて彷徨う。 お勧め度=★★* |
| 恋愛睡眠のすすめ (5/1更新) | ダンボールとセロファンの世界はすばらしい出来事で溢れ、さえない若者が眠っている間だけ人生の主人公になる。豊かなイマジネーションと表現がシンクロした繊細な感性の産物は、やがて主人公の潜在意識に観客を引きずりこむ。 お勧め度=★★★* |
| ラブソングができるまで (4/28更新) | 人生に疲れた中年男と恋に破れた女が出会って、恋も成功も手にするというラブコメの王道。そこに、歌を創作する苦悩と喜びを織り込む。何より言葉そのものを大切にし、登場人物が口にする言葉の一つ一つが生き生きと命を持つ。 お勧め度=★★★ |
| ロストロポーヴィチ 人生の祭典 (4/28更新) | ハイビジョンカメラで撮られたようなしっとりとした色彩の映像は、不思議な奥行きをスクリーンに再現する。普通のフィルムは絶対に出せない質感が、チェロを弾くことで世界中から愛され名声を得た主人公の存在を際立たせる。 お勧め度=★★ |
| ハンニバル・ライジング (4/26更新) | 人肉の味によって超人的な頭脳と体力を身につけたハンニバルは、さらなる人肉の味を求めて殺人を続ける悪魔となる。しかし、なぜ連続殺人が可能なのかは説明されず、周りの環境は常に彼の都合のいいように捻じ曲げられる。 お勧め度=★★ |
| リンガー (4/26更新) | 精神にハンディキャップを持ちながらスポーツに打ち込む姿は美しいといった健常者の思い込みを見事に打ち砕く一方、知的障害者のバカぶりを笑い飛ばすことができないのは心の壁がある証拠、という作者の主張は先進的過ぎる。 お勧め度=★★ |
| 神童 (4/24更新) | 優雅にしてエモーショナル、鍵盤を自在に操る指先には神が宿る。神童と呼ばれた少女が自分の才能を持て余しながらも、選ばれし者の使命を自覚する過程で奏でられるメロディに、温湿地に引きずり込まれるような快感を覚える。 お勧め度=★★★ |
| ボンボン (4/24更新) | 不運に見舞われた孤独な男が再び希望を持てるようになるまでを乾いた筆致で描く。そこで徹底しているのは自分の人生を客観的に見ている主人公の視点。諦観とも遠慮とも取れるその姿勢は、押し付けがましさはない分物足りない。 お勧め度=★★* |
| ロッキー・ザ・ファイナル (4/21更新) | 60歳にしてなお揺るぎない肉体への信仰、ロッキーに託した物語はもはやスタローンの生き方そのものだ。不器用だがまっすぐに己の信じる道を進むのみ。衰えを知らない熱い想いは大きなうねりとなってスクリーンからほとばしる。 お勧め度=★★★★ |
| 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン (4/19更新) | 思い出の中のオカンはまだ若くて美しく、今はガンに体を冒され余命幾ばくもない。幸せだった記憶を与えてくれたオカンが死ぬ。わかっていても、できることなら先に延ばしたい。そんな主人公の気持ちが痛いほど浮き彫りにされる。 お勧め度=★★★ |
| ツォツィ (4/19更新) | 世間に対する怒りと憎しみが生きるエネルギーとなり、カネを持っているものには激しい敵意を抱く。愛を知らず育った彼の前に無防備な赤ちゃんが現れたときに、ふと取り戻したやさしい気持ちが殺伐とした映画に潤いを与えている。 お勧め度=★★★★ |
| 恋しくて (4/17更新) | 食後のギャグの応酬やおならの音の競い合い。石垣島に生まれ育った高校生たちの青春は決して目新しいものではないが、この風土が育んだおおらかな人間性が時間の尺度の違いを際立たせ、ゆったりとした気持ちにさせてくれる。 お勧め度=★★* |
| 黄色い涙 (4/17更新) | 芸術家としての成功を夢見ながらも、夢は夢でしかないことを薄々気づいている。いつの時代にもある若者たちの祭りのような日々とその終焉。犬童監督は若さと友情だけが財産だった時代をひたすらリアルに感情と背景を再現する。 お勧め度=★★★ |
| クィーン (4/14更新) | 伝統に反旗を翻して自由に振舞ったダイアナ元妃を毛嫌いする女王。その場を見聞きしてきたようなリアリティを再現した脚本は見事だ。事実と創作を巧みに織り交ぜ、上質のルポのような臨場感と緊張感が最後まで途切れない。 お勧め度=★★★★* |
| ママの遺したラヴソング (4/12更新) | 失われた親子の絆、そしてその絆を取り戻すかのような擬似家族。2人の男と1人の少女、愛と友情と孤独がひとつ屋根の下に同居する。しかし、亡くなった母親の影が色濃く反映されている割には、少女は母親に興味を示さない。 お勧め度=★★ |
| プロジェクトBB (4/12更新) | 飛ぶ、跳ねる、走る、闘う、そしてカーアクション。常に観客をハラハラドキドキさせようとするジャッキーらしいサービス精神があふれているが、赤ちゃんをめぐる父性愛や人情を無理やり描くためにストーリーが強引で鼻白む。 お勧め度=★★ |
| オール・ザ・キングスメン (4/10更新) | 権力が人を腐敗させるのか、人が権力を堕落させるのか。潔癖な男が高邁な理想と輝かしい未来を武器に権力を握ると裏の顔を見せ始めるという、巨大な権力の魅力に飲み込まれた主人公をショーン・ペンはエネルギッシュに演じる。 お勧め度=★★* |
| 大帝の剣 (4/10更新) | 幕府転覆の陰謀に剣士、宇宙人までが登場する壮大稀有な物語は、派手なアクションと大掛かりな特撮・CGを駆使して描かれる。しかし、テーマが薄っぺらな上、中途半端にコミカルな味付けとナレーションが作品を陳腐に貶める。 お勧め度=★* |
| ブラッド・ダイヤモンド (4/7更新) | 先進国の欲望の行き着く先は20世紀末の出来事とは思えない。黒人はダイヤで武器を買い、白人はダイヤを差し出せば敵味方関係なく武器を売る。映画はこの悪の連鎖に鋭いメスを入れ、本当に責任を感じるべきは消費者と断罪する。 お勧め度=★★★★* |
| 情痴アヴァンチュール (4/5更新) | 夢遊病の女と夜勤の男は必然的に出会い、惹かれ、そして精神の沸点に向かう。しかし、映像はふたりの心理状態を終始不機嫌で疲れた表情で見せるだけ。お互い恋人がいながらも相手に心を奪われていくという苦悩はそこにはない。 お勧め度=★★ |
| 鉄人28号 白昼の残月 (4/5更新) | ストーリーには分厚いホコリが積もり、登場人物のリアクションも時代がかっている。何ゆえ40年前と同じテイストで作ったのだろうか。鹿爪らしいナレーションで「大人向け」を装うが、21世紀の新しい鉄人像は見えてこない。 お勧め度=★★ |
| あかね空 (4/3更新) | CGで再現されたパニマラのような江戸の町並みとあかね色に染まる夕焼け空。人工着色料を使ったような色合いはいかにもデジタルといった風合だ。そこで繰り広げられる人情悲喜劇も感情に対する踏み込みが甘くぎこちない。 お勧め度=★★ |
| 黒い眼のオペラ (4/3更新) | 寡黙な物語は退屈極まりなく、しっとりと落ち着いた長まわしのショットは強烈な眠気を誘う。孤独になることを恐れるあまり人肌のぬくもりを求める人々の姿を描こうという試みは、あまりにも映画としての装飾を抑えすぎたために、不器用な表現主義だけが先走る。 お勧め度=★* |
| 素粒子 (3/31更新) | 性に奔放な母親のせいで抑圧された少年時代を送った男は、恋のときめきや愛の温もりではなく、もっと根源的な性欲に忠実に生きようとする。しかし、そんな主人公の精神につかの間の休息を与えても、決して解放しようとはしない。 お勧め度=★★★ |
| アンフェア the movie (3/31更新) | 「ダイ・ハード」シリーズや「亡国のイージス」を臆面もなくまねる厚顔さにはあきれ果てる。そんな剽窃の上にドンパチシーンを適当に混ぜておけば一般大衆は満足するだろうという、制作サイドの観客をバカにした態度が明らかだ。 お勧め度=★ |
| ブラックブック (3/29更新) | 誰もが死と背中合わせで生きていた時代、生き残るためにぎりぎりのところで選択を迫られる人々の姿を緊張感たっぷりに描く。抵抗活動だけでなく愛やスリル、裏切り者探しのミステリーまで盛りだくさんな内容で気が抜けない。 お勧め度=★★★★ |
| 約束の旅路 (3/29更新) | 家族も故郷も失い、名前すら奪われた孤児が自己のアイデンティティを回復させるまでの長い道のりを故郷にいたときと同様、裸足で歩もうとする。与えられた靴は足枷、裸足になることが故郷と自由への渇望を癒す方法なのだ。 お勧め度=★★★ |
| ホリデイ (3/27更新) | キャリアは順調でも恋愛は不調、気がつけば30過ぎ。そんな女性がバカンスで新たな出会いを手に入れるという、マーケティングのような構成だが、語り口はあくまで軽く、コミカルな要素も踏まえて肩の力を抜いて見ていられる。 お勧め度=★★★ |
| ハッピーフィート (3/27更新) | 細密に表現された、南極の氷の大地と大空と海。そこで生きるペンギンやアザラシといった動物の表情や動きだけでなく、背景となる大自然の描写はフィルムの精度をしのぎ、もはや知覚できるリアルという域を超越している。 お勧め度=★★★* |
| フランシスコの2人の息子 (3/24更新) | 大家族主義が色濃く残るブラジルの農村、父親は息子たちを貧困から脱出させようと、楽器を与え教育を施そうとする。そこに描かれる家族愛は深く強く、ここまで濃い関係を続けられるブラジル人のメンタリティには暑苦しく感じる。 お勧め度=★★* |
| デジャヴ (3/22更新) | 他人の私生活を覗き見るという悪趣味な行為が生む不快感、過去をいじって現在を変えるというパラドックス。もはやファンタジーやコメディでしか通用しないようなプロットを真面目なサスペンスドラマにしたのが最大の失敗だ。 お勧め度=★* |
| ナイトミュージアム (3/20更新) | 恐竜の骨格や野生動物が走り回り、歴史上の人物が語り合う世界。命を得た展示物が朝までの間だけ本来の姿に戻るというファンタジックな夜の博物館はディテールにまで描写が徹底され、スリリングで楽しい世界にいざなってくれる。 お勧め度=★★★* |
| 口裂け女 (3/20更新) | 都市伝説に児童虐待を絡ませ現代風な味付けをしているのだが、口裂け女の行動パターンが場当たり的で、ミステリーの要素が少なすぎる。表現上の怖さだけでなく、なぜ暴走を始めたかをきちんと説明しないと、興味は半減する。 お勧め度=★★ |
| ラストキング・オブ・スコットランド (3/17更新) | 暴力と血にまみれた疑心暗鬼の塊のような独裁者を、フォレスト・ウィテカーがスクリーンからはみでるような迫力と左右大きさの違う目の繊細な動きで鬼気迫る演技で演じ、他の出演者がかすんでしまう圧倒的な存在感を示している。 お勧め度=★★★★ |
| バッテリー (3/15更新) | 自己の才能を自覚し誰にも理解されないと思い込み、打ち解けた態度を取れない。能力は超一流でも心は未熟。野球が好きでたまらないのにその気持ちをチームメイトと共有できない、孤高という天才の宿命を繊細なタッチで描く。 お勧め度=★★★* |
| サン・ジャックへの道 (3/13更新) | 1500キロ離れた目的地に向かってただひたすら山道を歩く。頼りになるのは自分の体力のみ。必要最低限の荷物以外は旅路の足を引っ張るだけ。重荷を捨てて旅を続けることで、人生に本当に必要なものは何かということに気づく。 お勧め度=★★★* |
| 今宵、フィッツジェラルド劇場で (3/10更新) | 何事にも終わりがある。時は流れ、人は入れ替わっていく瞬間を、あるものは淡々と受け入れ、あるものは感傷に浸る。もはや変えようのない運命ならば、プロとして生きようとする歌手や演奏家たちの誇りが最後の輝きを見せる。 お勧め度=★★★ |
| ゴーストライダー (3/8更新) | 髪の毛を増やし顔の肌理を整えた、ニコラス・ケイジの不自然なまでに若作りがアメリカンコミックの世界に誘う。悪魔に魂を売った主人公の、不安と苦悩にさいなまれ何をしても満たされぬ心を抱きながら生き続ける姿が痛ましい。 お勧め度=★★★ |
| 蒼き狼 地果て海尽きるまで (3/8更新) | どこまでも広がる草原と戦場を埋め尽くすおびただしい騎馬兵。その一方で、薄っぺらな俳優の演技で綴られる英雄の早送りの人生。壮大なスケールの映像と空疎な中身が一本の映画の中に同居する、いかにも角川春樹の映画だ。 お勧め度=★* |
| パフューム (3/6更新) | その芳香の前にあらゆるものはひれ伏し、憎悪すら愛に変わる。草木や水・果実や花といった自然、この世に充満するあらゆる匂いを男は記憶し、嗅覚を映像で表現するカメラの素晴らしさは、まるでスクリーンが香り立つようだ。 お勧め度=★★★ |
| 叫 (3/3更新) | 赤い服を着た幽霊は失われた街の記憶、地震によって埋立地に染み出す海水の水溜りは失われた街の涙。しかし、幽霊の憎悪の根源が非常にあいまいなうえ主人公の記憶まで錯綜してしまい、最後には支離滅裂な結末が待っている。 お勧め度=★* |
| さくらん (3/1更新) | 金魚、着物、ちょうちん、口紅そして血。人工着色料のようなどぎついまでの赤のイメージは、この物語が作り物の世界の出来事であることを強調する。しかし、そこで語られるエピソードは脈絡に乏しく人間ドラマとしては稚拙だ。 お勧め度=★★ |
| 松ヶ根乱射事件 (2/27更新) | こたつとみかんに象徴される退屈で怠惰な日常に起きたちょっとした事件から男たちの歯車が狂い始める。シニカルな視点の奥に秘められた人間を観察する温かな目が、時にコミカルな効果を醸し出し、ダメ人間ですら愛らしく映る。 お勧め度=★★★* |
| ボビー (2/24更新) | 今、米国民の何割かはボビーのような力強い言葉と行動力を持った勇気ある若い大統領を切望しているのだろう。しかし、ボビー自身はニュース映像の演説だけで、何の思い入れもない外国人がどれだけ感情移入できるだろうか。 お勧め度=★★★ |
| 孔雀 (2/22更新) | 地方都市に生きる5人家族の日常を描くが、登場人物の心情にしては踏み込みが足らず、変わらない営みを追うわけでもない。生活の匂いが漂うような細密な映像には目を見張るが、いったい何を主張したかったのかよく分らなかった。 お勧め度=★★ |
| モーツァルトとクジラ (2/22更新) | 自分の頭の中のことに夢中になると他のものが一切目に入らなくなる男と、自分の気持ちにうそをつけず他人の言葉もそのまま受け取ってしまう女。彼らの主観でストーリーを語るという設定に飛躍があり、アイデアが空回りしている。 お勧め度=★★ |
| ドリームガールズ (2/20更新) | ゴージャスでファンタスティック! 圧倒的な歌唱力と激しいダンス、そしてきらびやかなステージがスクリーンに再現される。緻密なカメラワークはめくるめくような躍動感を、細やかな人間の喜怒哀楽を織るような歌は心を直撃する。 お勧め度=★★★★ |
| となり町戦争 (2/20更新) | 何気ない日常の延長で戦争が起きている。しかし、町の生活にはまったく緊張感はない。映画は、非常事態なのに直接交戦地域に住んでいない住人の無関心、戦争なんか遠い国の話と決め込んでいる人々の無責任に鋭く切り込む。 お勧め度=★★* |
| 善き人のためのソナタ (2/17更新) | 自由な思想や良心を規制してまで守るべき体制とは何か。秘密警察の男が理性や感情という根本的な人間性に目覚め小さな一歩を踏み出す。旧東側が崩壊したのは、体制側の人々が自分の仕事に誇りをもてなくなったからだろう。 お勧め度=★★★* |
| DOA (2/17更新) | 格闘ゲームのキャラを実写化したヴィジュアルは、ゲームセンターにいるような錯覚に陥る。しかし、派手さを追求するあまり打撃系格闘技に偏り、主人公がセクシーな美女という以外、スクリーンでは単調な闘いが繰り広げられる。 お勧め度=★* |
| 守護神 (2/15更新) | ヒーローであり続けたいという願いは時に老醜をさらし、滑稽。いかに優れた人間でも潮時は必ず訪れ後進に道を譲らなければならないのに、現役にこだわるあまり引き際を読み誤る。年齢を重ねたら重ねたなりの人生があるはずだ。 お勧め度=★* |
| バブルへGO!! (2/15更新) | ボディコン、オープンハート、乱れ飛ぶ万札とタクシーチケット、六本木交差点…。まだまだ記憶に新しいバブル時代のディテールを忠実に再現し、年配の観客には懐かしさを、若い観客には異界に迷い込んだような錯覚を起こさせる。 お勧め度=★★* |
| 華麗なる恋の舞台で (2/13更新) | 少女のように恋に胸をときめかせる一方で、ライバルは叩き潰す。アネット・ベニングが時にチャーミングに、時に凛とした姿を演じ分け「俳優にとって舞台の上こそがリアル」と言った演出家の言葉を実行するヒロインを熱演する。 お勧め度=★★★ |
| カンバセーションズ (2/10更新) | 男は女との思い出を大切にし、女は男が自分に何をもたらしてくれるか計算している。男と女、何とか主導権を握ろうと駆け引きをするうちに昔の甘い記憶がよみがり、ほとんど会話だけで構成された一夜限りの恋に人生を凝縮する。 お勧め度=★★★ |
| ユメ十夜 (2/10更新) | 夢という潜在意識下に潜む不条理なものを映像にする試みは、おのずと作家の想像力を量るものさしとなる。何とか夏目漱石の世界を再現しよううともがくが、解釈があまりにもストレートで観客は退屈な悪夢を見せられている気分だ。 お勧め度=★★ |
| 世界最速のインディアン (2/8更新) | シワだらけの見かけでも心は18歳と言い切る冒険心に満ちた老ライダーをアンソニー・ホプキンスが好演。行く先々で見知らぬ人々の心に入り込み、いつしか自分の味方にする主人公の瞳は、人懐こさと底知れぬ魅力を湛えている。 お勧め度=★★★* |
| 墨攻 (2/8更新) | 裏切りと疑心暗鬼、そして保身。ひとりの英雄が生まれる裏側で、味方の足を引っ張るという卑劣な手段で自らの生き残りを図る王と重臣。戦闘を主題にしたスペクタルと人間模様を描き分けようとするが、結局どちらも中途半端だ。 お勧め度=★★ |
| ルワンダの涙 (2/6更新) | 圧倒的な暴力の前ではなすすべもないという現実。ルワンダ大虐殺で、白人青年は傍観者という立場を選び、白人神父は当事者の立場を選ぶ。真の勇気とは良心に従って命の犠牲を恐れないということをこの映画は教えてくれる。 お勧め度=★★★★ |
| 魂萌え! (2/3更新) | 専業主婦として家族に尽くしてきた女性が、初めて自分の足で立ち自分の頭で考えなければならなくなったときどのように変化するか。決してか弱いものでも守られるべきものでもなく、腹をくくった女の精神力が作品を力強くする。 お勧め度=★★★ |
| フリーダムランド (2/3更新) | 日常で白人の身に何か異常が起きると、まず最初に疑われるのが黒人という現実。共存はできても決して融和できない人種間の不信と軋轢を煽ったのに、反省の色のないノーテンキぶりの白人女性をかばおうとする姿勢は納得できない。 お勧め度=★★ |
| 輝く夜明けに向かって (2/1更新) | 南アフリカでかつて行われていたアパルトヘイトは分りやすい絶対悪。テロに訴えても白人優位社会を変えようとする黒人闘士の苛烈な戦いを描くが、物語のヤマに乏しく、もう少しスリリングな展開がないと映画としては物足りない。 お勧め度=★★* |
| どろろ (2/1更新) | コントラストを強調した映像が魑魅魍魎が跳梁跋扈する作品世界を見事に表現し、まがまがしい原色が登場人物のキャラクターを際立たせる。魔物として生きながらえるより、人間として短い人生を全うしたいという心の叫びが痛切だ。 お勧め度=★★★ |
| 幸せのちから (1/30更新) | 努力と才覚しだいで成功できるというアメリカンドリームと、息子をきちんと育てようという決意。不幸のスパイラルのような逆境に立ち向かい、乗り越え、そして何よりも夢をあきらめない。主人公は米国人の好むヒーローそのもの。 お勧め度=★★★* |
| 幸福な食卓 (1/30更新) | 楽しい学校生活と壊れてしまった家庭生活、生真面目ながらも物分りのよい性格のヒロインにとって、心を正常に保つのは相当の努力が必要だろう。泣きたいのに涙を流せない、そんな自分に厳しい女子高生をついつい見守りたくなる。 お勧め度=★★★ |
| グアンタナモ、僕達が見た真実 (1/27更新) | 地面に金網を張って屋根をつけただけの家畜の檻に捕虜を監禁し、会話も立ち上がることも許さない。映画は「テロリスト収容所」の実態を忠実に再現し、ブッシュ政権がアルカイダ殲滅のために行った人道的犯罪を浮き彫りにする。 お勧め度=★★★ |
| あなたを忘れない (1/27更新) | ホームから線路に落ちた酔っ払いを助けようとして電車にはねられた韓国人留学生を、特別なヒーローとして描くのではなく、普通に礼儀正しく育てられた人間として温かな目で見つめるのはよいが、エピソードの語り口が幼稚だ。 お勧め度=★★* |
| それでもボクはやってない (1/25更新) | 被害者の申し立てだけで犯人にされてしまうという魔女狩りのような現実。痴漢事件においては被害者の言い分がすべてで被疑者の言い分は一切拒絶されるという恐るべき現実が、緊張感あふれる映像からひしひしと伝わってくる。 お勧め度=★★★★ |
| エレクション (1/25更新) | 香港の裏社会を舞台に組織を束ねる会長の座をめぐる穏健派と武闘派の争い。ここで繰り広げられる抗争は銃弾が飛ぶわけでも血しぶきが舞うわけでもない。なのにその暴力がより痛みを伴うのは、男たちの心の叫びが痛切だからだ。 お勧め度=★★★ |
| ディパーテッド (1/23更新) | 欺瞞と裏切りの中で精神のバランスを崩しそうになりながらも自らの使命を全うしようとする男たちの姿を原作にほぼ忠実に再生する。しかし、信頼を食い物にする生き方を選んだ者が堕ちる無間地獄という東洋哲学的な発想はない。 お勧め度=★★★* |
| 僕は妹に恋をする (1/23更新) | 人物の配置や構図、セリフの薄さ、間の長さ、どれをとっても少女マンガのよう。原作の世界をそのまま映像にしようという試みなのだろうが、マンガなら30分で読み終わるようなストーリーを2時間以上に薄めては退屈極まりない。 お勧め度=★ |
| マリー・アントワネット (1/20更新) | 贅を尽くした調度品、最新モードとアートのようなスイーツ。身の回りの世話は侍女に任せ、言い寄る男と恋の駆け引きに身をやつす。世界中の女子が夢見るようなプリンセスの生活は、現代の若い女性のセレブ願望を体現する。 お勧め度=★★ |
| 不都合な真実 (1/18更新) | 地球温暖化が極地や高地の氷河を融かし、それに気づきながらも問題を先送りにするアメリカ人。2000年の米大統領選に敗れた男が自分の本来の生きる道に目覚め、米国と米国民のためだけではなく地球と人類のために立ち上がる。 お勧め度=★★★★ |
| 愛の流刑地 (1/18更新) | 寺島しのぶ扮するヒロインは自らの欲望に貪欲で、男を破滅させていく。そんな、オッサンの頭の中にある「チョイもて願望」を性交シーンをふんだんに交えて巧みに映像化しているようで、女性の心理はほとんど描けていなかった。 お勧め度=★★ |
| ラッキーナンバー7 (1/16更新) | テンポが速く予想のつかない展開、張り巡らされた伏線、できすぎた話を観客に気づかせずに一気に持っていく力技。複雑な構成にだまされまいと意識を集中するが、その上を行く緻密でアイデアあふれる脚本は気持ちよく欺いてくれる。 お勧め度=★★★★ |
| 子宮の記憶 (1/16更新) | 母親に愛されたという記憶、それは生まれたての赤ちゃんの脳にも刻み込まれている。映画は、高校3年と中年女性の血のつながらない母子の、愛という真実を求めさまよう心の揺れを描くのだが、感情の起伏に乏しく物語が平板だ。 お勧め度=★★ |
| jackass number two (1/13更新) | 下品でバカげたことも、とことん突き詰めればエンタテインメントとして成立する。そこに描かれている姿はもはやおバカドキュメンタリー映画の域を越えて、スタントに賭ける男たちの生き様を描くという高みにまで昇華している。 お勧め度=★★★ |
| 恋人たちの失われた革命 (1/13更新) | しっとりと落ち着いた夜と陰影が際立つ昼。パリの石畳や古い建物はモノクロームのフィルムに成熟した印象を残し、街の息遣いを伝える。しかし、この映画の若者たちが体験する革命と現実の落差は映像ほどのコントラストはない。 お勧め度=★* |
| 合唱ができるまで (1/11更新) | カメラはただ淡々と指揮者とコーラス隊のリハーサル風景を見守るだけで、そこにはどんな作為や感情も入り込む余地はない。状況を説明するようなナレーションもなく、この合唱に参加する意思のないものは徹底的に排除される。 お勧め度=★★ |
| 鉄コン筋クリート (1/11更新) | なにゆえこれほどまでにわかりづらくするのだろう。物語も人間関係も単純なのに、登場人物の口から出る言葉は虚飾に満ちた哲学問答のよう。普通の言葉で話せばすんなりと咀嚼できるのに、いちいち回りくどく説明が加えられる。 お勧め度=★* |
| ヘンダーソン夫人の贈り物 (1/9更新) | 裸の舞台女優たちの、健康的なボリュームは若さがはちきれんばかり。性のモラルが厳しかった時代に、舞台の自由と斬新さを求めて権力と対峙した老婦人の勇気と行動力を、上品なエスプリをまぶして描く筆致はあくまで軽い。 お勧め度=★★★* |
| オーロラ (1/9更新) | 生きる喜び、恋のときめき、そして身分違いの愛の苦悩。揺れ動く乙女の感情を、優雅でしなやかに伸びた手足と柔らかい身のこなしで表現するヒロインの美しさ。しかし、ソフトフォーカスの上に暗く沈んだ映像が台無しにしている。 お勧め度=★ |
| 酒井家のしあわせ (1/4更新) | 思春期の息子が親に対して持つ複雑な感情や、友人・異性に対する不器用な付き合い方が、取れたての野菜のようなみずみずしさで再現される中学生のリアルな現在。そして、適度なユーモアが、映画にあたたかさを持たせてくれる。 お勧め度=★★★* |
| シャーロットのおくりもの (1/6更新) | まず自分が相手を信じる。友達がほしいときの鉄則を主人公の子ブタは忠実に実践する。映画は動物たちとクモの姿を通じて、生きることの意味と命をつなぐことの大切さを訴える。しかし、子供の心を失った大人には少し辛い内容だ。 お勧め度=★★ |
| 百万長者の初恋 (1/6更新) | 大金持ちのドラ息子と孤児院育ちの娘、出生の秘密と封印された記憶、不治の病と悲しい恋。安手のメロドラマの要素を何の臆面もなく羅列した上に予想通りの展開を見せる。ここまで何の仕掛けも新鮮味もなければあくびが出る。 お勧め度=★* |