| リトル・ミス・サンシャイン (12/28更新) | 人生の勝ち組になり、そこに居続けるためには常にアグレッシブ。しかしこの家族は意味をはきちがえている。他人との競争は努力を促し自分を高める結果を産むことは違いないが、すべてに勝ち続けることなど不可能で無意味だ。 お勧め度=★★★* |
| 大奥 (12/28更新) | 人気女優がきらびやかな衣装に身を包み勢ぞろいするさまはお正月の「時代劇特番」のようで、テレビドラマの演出法を踏襲し観客をあきさせない工夫は随所に見られるものの無駄なエピソードも多く、映画としてのしまりに欠ける。 お勧め度=★★ |
| ファースト・ディセント (12/26更新) | 人跡未踏の雪山に鮮やかなシュプールを残すため、断崖にの頂上から一気に滑り降りる。純白の新雪をジグザグに切り裂きながら滑降するさまは、限界に挑む人間の意志とパイオニアたらんという冒険心、スリルと楽しさが満載だ。 お勧め度=★★* |
| あるいは裏切りという名の犬 (12/23更新) | 警察を舞台にしているのに、まるで裏社会を描いているようなノワールな雰囲気が作品全体を覆う。あらゆるところに綿密に張り巡らされた伏線が効果的に使われ、運命は偶然ではなく必然であるという人間の業の深さを鮮明に描く。 お勧め度=★★★★ |
| 犬神家の一族 (12/21更新) | まっすぐに伸びた背筋、キリッとしたまなざし。冨司純子の凛としたたたずまいが映画を引き締める。同じ原作を同じ監督が同じ主演で新たに撮るという、企画力の貧困さを露呈するような映画の中で彼女の好演が唯一の収穫だ。 お勧め度=★★* |
| エラゴン (12/21更新) | 運命に選ばれし少年が賢者の導きによって目覚め、強大な悪の帝国に立ち向かう。そのまんま「スター・ウォーズ」を神話時代に持ってきたような設定は、最後までオリジナリティを感じさせないまま。個々のキャラクターもそっくりだ。 お勧め度=★* |
| 愛されるために、ここにいる (12/19更新) | 男にとってネクタイとは自分自身を縛り付けるものの象徴なのか。仕事でも私生活でも行動を縛り思考を抑制する。そんな主人公の恋を通じて、人生の新しいステップを踏み出すための小さな勇気ときっかけを抑制の効いたタッチで描く。 お勧め度=★★★* |
| 長い散歩 (12/16更新) | 娘に断絶された記憶に今もさいなまれる男に対して、女の子は唯一楽しかった思い出である天使の羽を決してはずそうとしない。老人と幼女、2人の道行きは決して暗いものではなく、行く先に希望がつながっているところが清清しい。 お勧め度=★★★* |
| 人生は奇跡の詩 (12/16更新) | 愛する歓び、恋のときめき。主人公の講義は、言葉に宿る魂が人の心を動かし感情を刺激するという詩の本質をを分りやすく解説する。しかし、映画自体は、技巧に走りすぎて読者を置き去りにする詩のごとく、観客を混乱させる。 お勧め度=★★* |
| 硫黄島からの手紙 (12/14更新) | 自分より階級の低い将官に対して丁寧語を使い、下士官・兵卒にも決して高圧的な口調で命令を下さない。日本映画では決して見られなかった、強靭な精神を知性でくるんだ大日本帝国軍人の新しいキャラクターを渡辺謙が確立した。 お勧め度=★★★* |
| 敬愛なるベートーヴェン (12/12更新) | 男と女、2人だけでいる時間が圧倒的に長いのに師匠と弟子という以上に発展しない。せっかく「第九」という素材を扱っているのだから、ヒロインを一流の作曲家にするためにもっと喜怒哀楽を音楽で表現する方法を伝授すべきだ。 お勧め度=★★* |
| ダニエラという女 (12/12更新) | 調和の取れた肉体は熟れた豊かさで満たされ、心は奔放に揺らいでいる。彼女に心を奪われた男はするりと身をかわされ、後にはむなしさだけが残る。映画もヒロイン同様、観客の期待を裏切り続け、決して満足を与えてはくれない。 お勧め度=★* |
| 王の男 (12/9更新) | 愛、嫉妬、陰謀、人間の欲と情が支配する宮廷内で、その美しさで王をとりこにした男。女よりも美しく艶やかなその男は王だけでなくすべての男たちを魅了する。にもかかわらず冒頭のワンシーンを除いては性的な匂いがしない。 お勧め度=★★★ |
| 武士の一分 (12/7更新) | 口の端を持ち上げて鼻を鳴らす月9ドラマで見せるようなキムタクの表情は、映画俳優の中にTVタレントがひとり混じっているような違和感。主人公には、心の底から搾り出すような死を覚悟した凄みが最後まで感じられなかった。 お勧め度=★★★ |
| ファミリー (12/7更新) | 父と娘、肉親だからこそその愛憎は深く険しい。他人に対して素直になれず、不器用な生き方ばかりが遺伝しているという皮肉。それでも最後には、父娘そろって自分の守るべき大切なものは何かに気づくところがやっぱり似ている。 お勧め度=★★* |
| カジノ・ロワイヤル (12/5更新) | 傷だらけになって走り、血を流して殴りあう。新しい007は荒唐無稽さを極力排除し、生身の人間が限界に挑む姿を描く。身体能力だけでなく頭脳や心まで含み、明晰な洞察力と暖かい心遣いは007の魅力を一段と引き出している。 お勧め度=★★★★ |
| イカとクジラ (12/5更新) | 両親の離婚を淡々と受け入れるティーンエイジの兄弟。大人になっても悩み、迷い、その弱さをさらけ出すところは子供のときからさほど成長しないことを学ぶ。しかし、こんなありふれたテーマでは古臭さばかりが目立ってしまう。 お勧め度=★★ |
| めぐみ (12/2更新) | 北朝鮮の拉致問題、その運動の最前線レポートは生々しい緊張感で見るものに迫る。しかし、日本に暮らして普通に報道や出版物に触れていれば得られる情報ばかり。映画だけが知りえた真実がなく、関係者への突っ込みも甘い。 お勧め度=★★* |
| ありがとう (11/30更新) | 阪神・淡路大震災で全ての財産を失った男がたった一つ無傷だったゴルフクラブに天啓を受け、プロゴルファーを目指す。しかし、街の復興と、主人公の人生の復興という二つの物語を追ってしまったため、主題がぶれてしまった。 お勧め度=★★* |
| 沈黙の傭兵 (11/30更新) | たるみきったあごのラインに大きくせりでた腹、ヘリコプターに乗り込むときの重量感。でっぷりと太ってしまったスティーブン・セガールに往時の切れ味はない。素手の格闘においても攻撃は単発・単調で、省エネ運転丸出しだ。 お勧め度=★* |
| 暗いところで待ち合わせ (11/28更新) | 光のない世界に生きる女と心に大きな闇を抱える男。特殊なシチュエーションのなかで、女の気持ちは猜疑から信頼に、男の気持ちは怯えから安堵に変わる。しかし、物語のテンポがのろく映像の硬質なテンションを維持できない。 お勧め度=★★ |
| トゥモロー・ワールド (11/28更新) | なぜ人類に子供が生まれなくなったのか。映画は種としての退化現象に答えてくれない。そのかわり、主人公が直面するのは大量の難民問題と市街戦。不妊の原因を詳らかにしないままでは、霧の晴れない海で待たされる気分になる。 お勧め度=★★ |
| 麦の穂をゆらす風 (11/25更新) | 外国の支配からの独立、そして独立後の主導権を争っての内戦。そこには正義などなく、勝った者だけが正義を名乗る資格を持つ。そして正義を達成するには、敵の血だけではなく自分の血を流し、心を鬼にしなければならない。 お勧め度=★★★* |
| ルナシー (11/25更新) | 自分の狂気に気づいている男と、完全に狂気に支配されている男が対峙した場合、もはや何が正しいのかは相対的になり、心の弱いものは飲み込まれてしまう。映画の主張は理解できるが、人間の不快感に訴えるような映像は退屈だ。 お勧め度=★★ |
| プラダを着た悪魔 (11/23更新) | メリル・ストリープが圧倒的な貫禄で演じるカリスマ編集長。尊大さ、傲慢さ、そして時代をリードする抜群のセンス。流行を発信する組織を操るリーダーの資質を、サングラスに白髪・プラダを身につけることで見事に演出している。 お勧め度=★★★* |
| 雨音にきみを想う (11/23更新) | 男は生業ゆえに多くを語らず、女は背負うものの重さに一歩を踏み出せない。お互いに惹かれあいながらも違う世界に生きているふたり。しかし、そこには恋の喜びも情熱の激しさも乏しく、抑制しすぎた感情だけが素通りしていく。 お勧め度=★★ |
| エンロン (11/21更新) | 利益という目標の前には倫理は追いやられ、ただカネを生むことだけがよしとされる恐るべき良心の欠如。映画は米国史上最大の破綻劇といわれたエンロン事件を克明に追い、マネーゲームに洗脳された男たちの仮面を剥いでいく。 お勧め度=★★★ |
| 椿山課長の七日間 (11/21更新) | 伝えられなかった思いが交錯し、かなえられなかった願いがかなえられる。しかし、観客の涙腺を刺激しようとする仕掛けがあざとい上、過剰な演出が輪をかけるという、テレビ出身の監督が陥る悪癖が最後まで修正されなかった。 お勧め度=★★ |
| キング 罪の王 (11/18更新) | 悪魔はおそらくどんなときにも無表情なのだろう。殺人も近親相姦も冷笑ひとつ浮かべることなく淡々と実行に移し、信心深い人間を破滅に導く。平和な日常が少しずつ切り取られていく恐怖が時間が経つほど切実になっていく。 お勧め度=★★★ |
| ラブいぬベンジー はじめての冒険 (11/18更新) | 見つめられたら思わず抱きしめたくなる。そんな気持ちにさせる長い金色の毛と黒いつぶらな瞳。よく調教された犬たちが繰り広げるドタバタ騒動は子供たちには受けるだろう。しかし物語は単調で、大人が鑑賞するレベルには程遠い。 お勧め度=★* |
| unknown (11/16更新) | 誰が悪党で誰が被害者なのか、周りの人間も自分自身も信用できない。誘拐犯と人質、記憶を失ったまま密室に放置された5人の男たちが目覚めたとき、本来の人間性が赤裸々になり、人間のサバイバル本能をむき出しにしていく。 お勧め度=★★★* |
| Sad Movie (11/16更新) | ストーリーや人間の感情よりも、恋愛のスタイルを重視した構成は少し昔のトレンディドラマだ。4つのエピソードに共通して訪れる「別れ」でさえも、どこか甘美な余韻を残す。愛した記憶はあくまでも美しく保存しておくべきなのだ。 お勧め度=★★ |
| テキサス・チェーンソー ビギニング (11/14更新) | 理性や倫理といったものが完全に欠如した男はただ殺すことだけに執念を燃やすし、チェーンソーを振り回し哀れな犠牲者の胴体をぶった切る殺し方は残酷さを通り越してカタルシスさえ覚える。B級ホラーに徹しているところが潔い。 お勧め度=★★* |
| 手紙 (11/14更新) | けんかした記憶、遊んだ記憶、そして何より自分のために働いてくれた記憶。たった二人だけの兄弟だからこそ、憎むことも見捨てることもできない。罪を背負って生きること以上に、罪を背負わされて生きることの厳しさを描く。 お勧め度=★★★★ |
| エコール (11/11更新) | 緑濃い森で戯れる彼女たちはおとぎ話の妖精のようにしっとりとした色調のフィルムに焼き付けられ、その無邪気な嬌声は少女の無垢を証明する。一方で意味不明のメタファーが少女の心の揺れを増幅し、大いなる不安が心をよぎる。 お勧め度=★★* |
| DEATH NOTE the Last name (11/9更新) | 黒い死神の対を成すような白い死神が登場するが、主人公の謀略に嵌り「人間の寿命を伸ばそうとしたら死ぬ」というルールによって灰になる。「死神のくせに人間にだまされるなよ」と思わずツッコミを入れてしまいたくなった。 お勧め度=★* |
| ナチョ・リブレ 覆面の神様 (11/9更新) | 観客を楽しませようとするほどユーモアのセンスは理解を超え、ジャック・ブラックの孤軍奮闘もむなしく空転する。一応コメディという位置づけだが、笑いのツボをことごとくはずし、プロレスシーン以外は見るべきところがない。 お勧め度=★* |
| 虹の女神 (11/7更新) | 届かなかった言葉、伝えられなかった想い。記憶の中では、どんな些細な出来事も美しい輝きを放ち、彼女のすべてが愛しいきらめきとなって胸に突き刺さる。ふたりで見た不思議な虹だけが、その思い出が事実だったことの証人だ。 お勧め度=★★★★ |
| 明日へのチケット (11/7更新) | 列車は、その目的地は変わらなくても、乗り合わせ人々の人生の進路を時に変える。小さな出来事が心の中で波紋のように広がり、やがて行動を促すきっかけとなる。3人の映画監督が乗車券をテーマに描くは「自分を変える決心」だ。 お勧め度=★★★ |
| ユア・マイ・サンシャイン (11/4更新) | 愚直なまでの愛やエイズは明らかに時代遅れの素材。しかし、主人公が妻を思う強烈なエネルギーの前ではベタな古さこそがかえって新鮮。人は人をどれだけ愛せるか。そんな、語りつくされたテーマを敢えて真正面からとらる。 お勧め度=★★* |
| ホステル (11/4更新) | 恐怖、苦痛、絶望、そして死。拷問道具で切られ、えぐられ、焼かれ、殺される過程で泣き叫び、許しを乞い、駆け引きをして何とか助かろうとする犠牲者の表情が恐ろしくリアルで、感情の沸点をはるかに越えた本能をさらけ出す。 お勧め度=★★* |
| 父親たちの星条旗 (11/2更新) | 第二次大戦末期、戦費調達のために米国政府に利用された3人の若き兵士の心の傷と苦悩、そして一枚の写真に狂わされた人生をセンチメンタルに描く。戦争から生還し戦後を生きるのは、時に戦場で命を散らす以上に辛いのだ。 お勧め度=★★★* |
| クリムト (11/2更新) | エピソードは脈絡なく飛躍し、その遠心力に映画の求心力は耐え切れない。梅毒菌に侵された主人公の脳細胞同様に自己崩壊を繰り返す映像は理解不能で、想像力の臨界点をはるかに超えた構成は見るものをカオスに突き落とす。 お勧め度=★* |
| トンマッコルへようこそ (10/31更新) | 人々はみな温厚で礼儀正しく、私有という概念はなく村人たちは助け合って生きている。兵士から憎しみを取り除くのもこのユートピアなら、兵士たちに再び武器を取らせるのもこのユートピアという皮肉に、人間の業の深さを感じる。 お勧め度=★★★* |
| トリスタンとイゾルデ (10/28更新) | 愛に殉ずるべきか忠義を貫くべきか。恋に落ちた女も、仕えている王も、男にとっては命の恩人。燃え上がる気持ちを抑えきれずに、父代わりの男を裏切ってしまう苦悩が、色彩と明度を落とした陰鬱なトーンとなって映像を支配する。 お勧め度=★★★ |
| 地下鉄(メトロ)に乗って (10/28更新) | 地下鉄の出口を出ると過去だったという驚きと、伝えられなかった父の家族に対する思い。よく知っているようで理解しあえていなかった父子の姿から、親子の情愛とは何かを問う。しかし、昭和の町並み同様に物語が薄っぺらだ。 お勧め度=★★ |
| サラバンド (10/26更新) | 親がその子供に抱く愛情は、度がすぎると束縛となり、さらに限界を超えてしまうと憎悪まで発展する。そんな、不毛な愛と憎しみの連鎖。映画は崩壊した家族の再生を試みるが、深い孤独に心を侵された主人公は頑なにそれを拒む。 お勧め度=★★★ |
| 百年恋歌 (10/26更新) | ひとつの恋が生まれて死ぬまでを3つの時代に分けて描く意図はどこにあるのだろう。逆光を多用したしっとりとした映像はゆったりとした時の流れに変わり行く人の心を象徴するが、結果としてヤマ場に乏しく間延びしてしまった。 お勧め度=★★ |
| スネーク・フライト (10/24更新) | 体をくねらせ、鎌首をもたげたかと思うと鋭い牙で襲いかかる。未知の生物や細菌ではなく、習性や毒性が知識としてある程度ありながら実生活ではまず遭遇することのない毒蛇。それらが実態を伴った恐怖として人間達を追いつめる。 お勧め度=★★★ |
| 天使の卵 (10/24更新) | 8歳の年齢差を越えた関係は、いかにも「働く女性に都合のいい」ラブストーリー。社会的地位もあるが恋愛には恵まれない女性医師に十代の若者が恋の体当たりを敢行するというプロットは、女性客の心を十分にくすぐるだろう。 お勧め度=★★ |
| サンキュー・スモーキング (10/22更新) | 主人公は相手に反論の間を与えず持論を展開し、いつの間にか自分の主張を納得させるという詭弁のスペシャリスト。そしてこの映画の最大の詭弁は、登場人物はタバコ業界の人間かどうかにかかわらず誰もタバコを吸わないことだ。 お勧め度=★★★ |
| 16ブロック (10/22更新) | 年齢とともにやる気もうせた刑事をブルース・ウィリスが扮するのがミスマッチ。かつての肉体派俳優が体力も良心も衰弱してしまった男を演じることで、腐敗まみれの組織がいかに個人を殺してしまうかをプロローグで印象付ける。 お勧め度=★★* |
| ブラック・ダリア (10/19更新) | 女の悲鳴と銃撃戦、ワンシーンで混乱と驚きという二つの感情を一気に引き出し、デ・パルマ監督は見るものを映画の中に引きずり込む。しかし、複雑怪奇な構成に表現がついていけず、最後の謎解きは早送りテープのようだった。 お勧め度=★★ |
| 幸せのスイッチ (10/17更新) | 父娘の反発と和解を中心に、人と人との濃密な触れあいを軽妙ながら人情味溢れるエピソードで綴る。平凡な家庭に起きた大事件を丁寧に重ねていく脚本と、ヒロインの心境の変化を忠実にトレースする演出がテンポよく小気味よい。 お勧め度=★★★* |
| チャーミング・ガール (10/14更新) | カメラは一人暮らしのヒロインの日常生活のディテールを執拗なまでに丹念に追うが、彼女の表情は硬いまま微笑みすら見せない。あらゆるシーンが無駄に長く、それが彼女の内面に踏み込むために必要な時間とは思えず退屈だ。 お勧め度=★* |
| いちばんきれいな水 (10/12更新) | 昏睡状態から目を覚ますと、赤ちゃんだった妹が自分より成長していた。そんなギャップに戸惑いながらも、失われた時間を取り戻そうとするヒロインを加藤ローサは好演。しかし、物語のテンポが悪いためにアマチュアの作品のようだ。 お勧め度=★* |
| ザ・センチネル (10/12更新) | 陰謀を防ぎ裏切り者を暴くという単純な構造なのに、内部抗争や不倫騒動など話を盛りだくさんにしすぎたせいで、肝心の暗殺計画のほうは極めて杜撰。結果としてぬるいアクションでお茶尾を濁すという悪循環に陥ってしまった。 お勧め度=★* |
| マーダーボール (10/10更新) | 装甲車のような車いすが激突し、あふれ出す感情が咆哮となってこだまする。不自由な身体に対する絶望から這い上がった後に車いすラグビーに身を投じ、自らのアイデンティティを確認するために男たちは涙をこらえ汗を流す。 お勧め度=★★★* |
| 涙そうそう (10/10更新) | 不幸な生い立ちにもかかわらず健気に生き、お互いをかけがえのない存在として思いあっている兄妹に試練を与えることで、観客の涙を誘おうという魂胆がミエミエ。しかし、こんな稚拙な設定では観客は失笑をもらすだけだろう。お勧め度=★ |
| ワールド・トレード・センター (10/7更新) | あえて911のにおいを消して政治的メッセージを排除したが、愛や善意といった普遍的なテーマに落ち着き物足りない。やはりあの日にしか起こり得ないエピソードを盛り込み、事実だけが持つテロ現場のリアリティを再現すべきだ。 お勧め度=★★★ |
| カポーティ (10/7更新) | 独特の話し方と同性愛。鋭く繊細な感性と記憶力。カポーティが文学史上初めて挑んだドキュメンタリーノベルという手法の誕生秘話を通して悪意の根源に迫る。しかし、死刑囚の人生への踏み込みが甘く茫洋とした印象になった。 お勧め度=★★* |
| レディ・イン・ザ・ウォーター (10/5更新) | どんでん返しのないのが最大のどんでん返し。シャマランがテロと戦争に蝕まれた世の中に一石を投じたい気持ちはわかるが、陳腐な童話という形で描いた上に何の教訓も残さない安上がりな映画では、もはや才能の枯渇を疑う。 お勧め度=★ |
| デトネーター (10/5更新) | 銃撃戦、格闘、破壊、爆発、カーチェイス。アクション映画の要素がてんこ盛りなのに、どのシーンをとてもアイデアに乏しく詰めが甘い。主人公にも躍動感や疾走感が乏しく、肉体派なのに肉体を駆使しているという実感に乏しい。 お勧め度=★* |
| スーパークロス (10/3更新) | 冒頭、砂、泥、雑草、デコボコ悪路をオフロードバイクで思い切り駆け抜ける。兄弟の「バイクが大好き」という気持ちはすごく伝わってくるが、その後の物語は陳腐。しかも構成も演出も雑で、レースシーンの臨場感にも乏しい。 お勧め度=★* |
| もしも昨日が選べたら (10/3更新) | 社会的な成功の代わりに家族の愛を失う。古来より何度も物語にされてきて新鮮味はまったくない。最後に人生に必要なもの気づくのもお約束。もう少し毒の効いた展開やオチをつけてくれないと、まともな大人なら気が抜ける。 お勧め度=★★ |
| 夜のピクニック (9/30更新) | 誰にもいえなかった秘密、心の中のわだかまり、友情、そして恋。通過儀礼を通して、不良でもなくエリートでもない高校生の等身大の青春の一コマをさわやかに描き、大人になった観客にも「もう一度あのころに戻りたい」と思わせる。 お勧め度=★★★* |
| ストロベリーショートケイクス (9/30更新) | 恋、仕事、友人。カメラは4人の若い女性の日常を彼女たちと同じ視線で追いかける。しかし、ここで描かれる生活や心情はリアルゆえにあまりにも平凡。日常の描写を登場人物の人生観にまで昇華するくらいの工夫は必要だろう。 お勧め度=★★* |
| サムサッカー (9/28更新) | 17歳という微妙な年齢の少年の心の彷徨を通じて、あるがままの自分を受け入れることを肯定的にとらえる。しかし、「そのままでいいんだよ」という主人公に対する語りかけは、人間的な成長を阻害する甘やかしにしか見えない。 お勧め度=★★* |
| イルマーレ (9/28更新) | ペンをとり、言葉を練り、文字をしたためる手書きの手紙にはやはり特別な感情がこもっている。会ったことのない男と女の心を手紙で結び付けようという発想は21世紀ではかえって新鮮だが、すぐに届いてしまうようでは興ざめだ。 お勧め度=★★ |
| 記憶の棘 (9/26更新) | 再婚に自信が持てない女が見た妄想か、空想壁がある少年の手の込んだいたずらの暴走か、それとも本当の転生か。映画は残された妻の未練なのか死んだ夫が愛なのかテーマをはっきりさせないうえ、謎を謎のまま観客を放置する。 お勧め度=★★★ |
| 天軍 (9/26更新) | タイムスリップでは、ほんのわずかな変化が現在に多大な影響をもたらすのに、この作品では一人の男の人生を変えようと過去に積極的にかかわる。だが、そんな矛盾を感じさせる余裕がないほどのパワーとスピードはここにはない。 お勧め度=★★ |
| フラガール (9/23更新) | 炭鉱の長屋からボタ山、ファッションから自動車まで、当時の風景を細密に再現しているうえに、訛りのきつい東北弁と都落ちダンサーの東京弁とのコントラストが鮮やかで、東京化されていない田舎の美しさがとてもうれしくなる。 お勧め度=★★★★ |
| シュガー&スパイス (9/23更新) | もはや下品を通り越してグロテスクな悪趣味にしか思えない夏木マリ扮する老婆が、見てはいけない物を見てしまったような気分にさせる。老いてなお美しく気品のあるジャンヌ・モローやシャーロット・ランプリングとは大違いだ。 お勧め度=★* |
| バックダンサーズ! (9/21更新) | 才能のない者はすぐに切り捨てられるという芸能界の厳しい掟もきちんと描いていて好感が持てる。売れない芸能人の食いつなぐためのシーンには非常にリアルで、夢だけでは生きていけない現実がスパイスとなって効いている。 お勧め度=★★* |
| 出口のない海 (9/21更新) | 家族、恋人、夢、それらを戦争のために諦めなければならなかった若者は、命と引き替えに一人でも多くの敵を殺すことが目標の特攻に志願する。戦争という大きなうねりの中で、個人の思いは踏みにじられ、命は消費されていく。 お勧め度=★★★* |
| ゆれる (9/19更新) | 与えられた人生を受け入れている兄と、奔放に運命を切り開いていこうとする弟。兄が弟に抱いているコンプレックスと弟が兄に抱いている優越感。血を分けた兄弟だからこそ、心の奥底にくすぶっているお互いへの不信感が爆発する。 お勧め度=★★★★ |
| ワイルド・スピードX3 (9/16更新) | 駐車場で、街中で、ヘアピンカーブが連続する山道でいかに速く自動車を操れるか。めくるめく疾走感にあふれた映像と重低音のサウンドがアドレナリンを分泌させ、ハンドブレーキを使っての横滑りの超技巧が手に汗を握らせる。 お勧め度=★★★ |
| X-MEN ファイナルディシジョン (9/14更新) | この映画の三極構造は、思想信条のリトマス試験紙だ。X-MENは進歩的リベラル、過激派ミュータントは原理主義、人間側はネオコン。シリーズ3作目ともなれば、そろそろ映画もどこを目指しているのかはっきりさせるべきだ。 お勧め度=★★* |
| 弓 (9/12更新) | 時に旋律を奏で、時に武器となる弓という道具は、2人だけで完結した世界の象徴だ。老人と少女の楽園には言葉はなく、ただ見つめあう瞳と瞳で会話する。その静けさは映像に途方もないほどの詩的な奥行きをもたらしている。 お勧め度=★★★* |
| 40歳の童貞男 (9/9更新) | ディテールにこだわっているようで設定はいい加減な上、主人公を取り巻くキャラクターにリアリティがないため笑えない。下ネタをテーマにしたコメディの場合、下品さを払拭しないと作品のクオリティが著しく低下するという見本だ。 お勧め度=★★ |
| グエムル 漢江の怪物 (9/7更新) | 突如として現れた怪物は、人々を喰らい連れ去る。映画は怪物の正体に関する答えをあいまいにしたまま娘をさらわれた家族の戦う姿を通じて、愛と勇気を描こうとする。しかし、余計なエピソードが映画のスピードを殺いでいる。 お勧め度=★★* |
| トリノ、24時からの恋人たち (9/5更新) | 映画という数多の愛や喜怒哀楽に囲まれていても、真実にはたどり着けない。なのに引用でお茶を濁す。せっかく主人公が映画博物館で暮らす映画オタクという設定なのに「物語のある映画には興味がない」といわれると興味半減だ。 お勧め度=★★* |
| マイアミ・バイス (9/2更新) | 手持ちカメラの不安定な映像は臨場感に溢れ、銃撃戦シーン臨場感抜群。反面、物語の構成は単純な上、説得力に乏しく、主人公たちのキャラにも人間的な奥行きがない。撮影技術には凝っているのに、脚本に力が足りなかった。 お勧め度=★★* |
| 幻遊伝 (9/2更新) | 人は最後には生まれた場所に帰る。しかし、この作品は物語の成り行き上そういうテーマを設定したくらいの軽さしかない。「キョンシー」、「カンフーアクション」、「時空を超えた恋」の三題話で無理矢理構成した展開は子供だましだ。 お勧め度=★* |
| キンキーブーツ (8/31更新) | 人生のどん底から自信を取り戻すというありふれた展開ながら、おかまの女神というアイデアが最後まで飽きさせない。経営者の苦悩だけではなく、性的倒錯者と偏見を持つ周りの人々の心の変遷まで丁寧に描き、後味も心地よい。 お勧め度=★★★* |
| 僕の、世界の中心は、君だ。 (8/31更新) | 恋人が不治の病で若い命を落とすという一番安易な設定だけを抽出した失敗作。そこには青春のきらめきやとまどい、ひたむきさといったものはほとんどなく、高校生には見えない老けた男女が制服を着てコスプレをしいるだけだ。 お勧め度=★ |
| 親指さがし (8/29更新) | 「親指さがし」などという心霊遊びはリアリティに欠ける上、根本的な設定が稚拙、恐怖感の演出も新鮮味がなくインパクトに乏しい。夏休みの小学生向けのコワ〜イ話なのだろう、まともな大人が見るにはいささか辛抱が必要だ。 お勧め度=★* |
| マッチポイント (8/26更新) | 寸暇を惜しんで愛人のアパートに赴く狂おしいまでの気持ち、嘘を重ねて嫉妬をやり過ごそうとする愚かさ、そして犯行に及ぶときの動揺。男の行為の裏側から、出世欲、愛欲、面子といった人間の真実が見事にあぶりだされる。 お勧め度=★★★★ |
| 青春漫画 (8/24更新) | 幼なじみは恋愛の対象としては見られず、お互いが別に恋人を作っても嫉妬することはない。しかし、それでも気になって仕方がないという微妙な距離感がコミカルに描かれているが、散文的なエピソードの連続でまとまりに欠ける。 お勧め度=★★* |
| 花田少年史 (8/22更新) | ワンパク少年が巻き起こすドタバタとしみじみとした親子の愛をからませた「笑いと涙の人情劇」というコンセプトは明快だが、幽霊の超能力に頼りすぎたため物語が後半破綻をきたしている。主人公役の須賀健太の熱演が救いだ。 お勧め度=★★ |
| スーパーマン リターンズ (8/19更新) | 悪と闘うことよりも、元恋人との微妙な関係に心を痛める。ヒーローもストイックすぎると、他人が求める「正義の味方」像を演じなければならないと思うあまり、いくら超人的能力があっても自分の気持ちを表現することもままならない。 お勧め度=★★★ |
| 紙屋悦子の青春 (8/17更新) | 特攻で命を散らす運命である男は、女への思いを口にできない。女もまた彼への思いを胸に秘めながら、本心を隠している。愛する人とただ平和に暮らしたい、そんな小さな願いさえ引き裂いてしまう戦争の残酷さを鮮明にあぶりだす。 お勧め度=★★★★* |
| ハッスル&フロウ (8/17更新) | ノリのいいリズムに合わせて心の叫びを韻を踏んだ言葉で表現する。怒りや不満といった暴力的衝動こそが創作のエネルギーになり、ヒップホップが大きなうねりとなってやがて社会を変革していくのではないかという予感すらする。 お勧め度=★★★ |
| 愛と死の間で (8/15更新) | 死んだ者への一途な思い、それは決して途絶えることなく胸に重くのしかかる。そんな喪失感にさいなまれながら生きる男をアンディ・ラウ情感豊かに演じる。しかし、ミステリー仕立てにしたせいで、内容と表現が乖離してしまった。 お勧め度=★★ |
| ユナイテッド93 (8/12更新) | まるで潜入取材班による実況中継を見ているような緊迫感に、一瞬たりともスクリーンから目が離せない。リアリズムに徹した手法は安易なヒロイズムとは一線を画し、普通の人たちの心にある「敢然たる決意」をクールな視点で描く。 お勧め度=★★★★* |
| 太陽 (8/10更新) | 国権の最高位にありながら何の決定権もない。自分自身の苦悩や感情すら客体としてしか見ることができない男の現実逃避。言葉も表情も極端に少ない映像は、天皇というシステムの犠牲になった男の心の軌跡を鮮明に切り取る。 お勧め度=★★* |
| ハードキャンディ (8/5更新) | 天使の顔をした悪魔か、神が遣わした復讐の鉄槌か。少女は時にあどけなく、時に残忍な横顔を見せる。男と少女、ほとんど2人の会話だけの室内劇で、彼女が放つ恐怖のオーラは徐々に男=観客を底なしの絶望に追い込んでいく。 お勧め度=★★★* |
| ゲド戦記 (8/3更新) | 命の限り精一杯生きる。映画が訴えたいことはその一言に尽きる。しかし、それを何度も登場人物の口から聞かされては、陳腐な人生訓。説教くさい内容ほど言葉ではなく登場人物の行動で表現すべきなのに、これでは逆効果だ。 お勧め度=★★ |
| トランスアメリカ (8/3更新) | 自分の性別に対する違和感はどこから生まれてくるのだろうか。かつて一度だけ男性機能を使ったときの子供とのロードムービーにしたことで、性の問題より親子の間の溝を乗り越えた心の交流という設定にしたところが心地よい。 お勧め度=★★★ |
| 蟻の兵隊 (8/1更新) | 真実を知らなければならない、その思いだけが年老いた男を突き動かし、国家の裏切りを白日の下に晒していく。司令官から見捨てられ、中国内戦を戦った元日本兵の執念を通して、あの戦争はなんだったのかを鋭く問いかける。 お勧め度=★★★★ |
| ジャンプ!ボーイズ (8/1更新) | コーチに怒られたことも、練習での筋肉痛も、一晩寝たらきれいに忘れてフレッシュな心身に戻ってしまう子供たちの姿がまぶしい。しかし、少年たちに屈託がなさ過ぎる上、ドラマの山となるようなエピソードがないのが寂しい。 お勧め度=★★* |
| ハチミツとクローバー (7/29更新) | 天才と凡庸。決定的な才能の違いは大きな壁となって凡人を圧倒し、天才の運命を翻弄する。自分の限界を知りつつ、それでもまだアートの世界で生きていこうとする美大生たちの心の彷徨を、恋愛に絡めてさわやかに描いている。 お勧め度=★★★ |
| アルティメット (7/27更新) | 壁を伝い、屋根を跳び、自動車と競走し、そして闘う。スピードと高さと力強さとしなやかさを備えた俳優によるパフォーマンスは潔さを感じさせ、筋肉の躍動と心臓の鼓動がスクリーンで熱い想いとなってストレートに弾ける。 お勧め度=★★★ |
| 幸せのポートレート (7/27更新) | 結婚相手の家族とうまくやっていけるか、そんな結婚を間近に控えた女性の身近な悩みを丁寧に掬い取っていく。価値観が違っても心を割って話せば理解しあえると分っていても、なかなか警戒心を解けないもどかしさが共感を得る。 お勧め度=★★* |
| パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト (7/25更新) | スクリーンからほとばしる疾走感に時間がたつのを忘れてしまうが、映像は薄っぺらで物語に奥行きをまったく感じさせない。新鮮味のなくなったスパロウ船長の個性を殺している上、怪物が跳梁跋扈する悪趣味な奇伝になっている。 お勧め度=★★* |
| 日本沈没 (7/22更新) | 日本のVFX技術の粋を集めた火山の噴火、津波、そして日本列島の沈没。鳥瞰図だけではなく、地割れや土砂崩れのシーンなど思わず身を乗り出してしまう。それに引き換え、俳優陣はどうしようもなく手薄でリアリティに欠ける。 お勧め度=★★ |
| ディセント (7/20更新) | あっと驚く展開には違いないが、「こんなんアリ!?」と思える誰も考え付かないようなばかばかしいプロット。これを大真面目に撮られると、もはや怖さよりも失笑を漏らしてしまう。それでも最後までテンションを落とさなかったのは見事。 お勧め度=★★* |
| 時をかける少女 (7/20更新) | ヒロインの微妙な心の綾を丹念に描こうとするあまり、映画自体が物語の隘路に迷い込み、もがけばもがくほど身動きが取れなくなっている。いくらいまどきの女子高生でも、過去を変えることにもう少し悩み、もう少し考えるはずだ。 お勧め度=★★ |
| 胡堂のひまわり (7/18更新) | 主人公と父親の関係は、ものごころついた時には資本主義経済が機能していた世代の、旧世代への反抗。それは、長所短所を含めたすべての封建道徳からの卒業と、先進国に返り咲くことを21世紀の目標とした中国人の決意表明だ。 お勧め度=★★★ |
| ブレイブストーリー (7/18更新) | マトリックスをヴィジョンに、ネオをワタルに置き換えただけの子供向け「マトリックス」だ。しかし、めくるめくような映像の斬新さも目を見張るような美しさもなく、アニメならではのアイデアも希薄な煮え切らない作品になってしまった。 お勧め度=★* |
| 2番目のキス (7/15更新) | 仕事も恋もという30女をドリュー・バリモアはコミカルに演じ、腹をくすぐる演出も匙加減がよい。男の「趣味に命をかける気持ちは女には絶対分らない」、女の「私の気持ちをもう少し理解して」という主張は恋人たちの心に共鳴する。 お勧め度=★★★* |
| サイレントヒル (7/13更新) | 孤独と恐怖、そして圧倒的な悪意の中で娘を探さなければならないという思いだけが母親を衝き動かす。ヒロインの五感を体感させるようなシャープな映像はキレがあり、リアルな悪夢を見ているような感覚は最後まで疾走する。 お勧め度=★★★ |
| 美しい人 (7/11更新) | 10分前後の短いエピソードを9回重ねるオムニバスは、玉石混交。綿密に練られた会話劇に凝縮された喜怒哀楽は圧倒的だが、説明的になっているものもある。作品が発する人生に対する冷徹な視線が、愛を語るにはやや重過ぎる。 お勧め度=★★* |
| レイヤー・ケーキ (7/8更新) | 裏切りと欺瞞、絶体絶命の危機。そんな状況から知恵と行動で一発逆転を狙う主人公はクールで小気味よい上、行使される暴力も限定的で必要以上の血は流さない。だが、登場人物が多すぎ、映画のストーリーとしては複雑すぎる。 お勧め度=★★★ |
| カーズ (7/6更新) | 自動車まで擬人化する力技には恐れ入るが、本来人間のキャラクターを車に置き換えているだけ。人間が一切登場せず、「人間からこういう扱いを受けたら機械はこう思う」という機械の人間に対する視点が決定的に欠けている。 お勧め度=★★ |
| DEATH NOTE [前編] (7/4更新) | 自分の器以上の能力を手に入れたら、人はどうなるのか。罠に落ちると見せて新たなトラップを仕掛けるという駆け引きがスリリングだが、頭がいいつもりの主人公が追い詰められていく過程で、人間の弱さを描ききれていなかった。 お勧め度=★★* |
| カサノバ (7/4更新) | 打ち上げられた花火を間近にながらゆったりと夜空を舞う気球で、ワイングラスを傾けながら愛を語る男と女。しかし、本来コメディにするべき素材をまじめに描きすぎたせいで、気球と同様この映画も高みに昇ることなく失速する。 お勧め度=★★ |
| M:i:V (7/1更新) | 上体をそらし足を高く上げ両手を大きく振る。疾走するトム・クルーズのランニングフォームはまるで陸上競技者のよう。「走る」という基本動作にこだわり、美しく描くことで、主人公が血の通った生身の人間であることを強調する。 お勧め度=★★★ |
| ホワイト・プラネット (6/29更新) | 闇に閉ざされた冬、動物が活動を始める春、白夜の夏、冬の準備に忙しい秋。過酷な自然条件の中で北極圏の動物たちの1年をフィルムに収めた根気と労力は感じられるが、登場する動物が多岐にわたるため感情移入が難しい。 お勧め度=★★* |
| ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン (6/27更新) | 貧困と暴力が横溢する街で成り上がるには犯罪に手を染めるしかないという主張は、チンピラの自己弁護。生き残るために仕方なく銃を放ったのではなく、単なるチンピラ同士のいざこざで発砲するような男の作品に共感はしない。 お勧め度=★* |
| 不撓不屈 (6/24更新) | 権力を当然と思っている国税庁と、弱者の痛みを知る税理士。「決して強い人間ではない」という主人公を陰で支える家族の信頼もぶれない。役人のメンタリティと家族の絆を通して、信念を貫くとはどういうことかを力強く描く。 お勧め度=★★★★ |
| バルトの楽園 (6/22更新) | 戦場で蛮勇をふるうのではなく、戦って敗れたものに対する敬意を忘れない軍人の実話を基にしたエピソードの数々は時に涙腺を刺激し、頬を弛ませる。マツケンの阿波踊りステップはサンバ以上に様になっていて思わずひざを打つ。 お勧め度=★★★ |
| さよなら、僕らの夏 (6/22更新) | 取り返しのつかない過ちを犯してしまったとき、人はどういう行動を取るか。心によぎる思いは大人と変わらない。映像は一線を越えたあとは世界はこんなにも変わることを、少年たちの微妙な心理を踏まえて鋭く切り取っていく。 お勧め度=★★* |
| タイヨウのうた (6/20更新) | 限られた命しかないヒロインの強烈な生へのメッセージを歌や映像に込めていれば、もう少し感情的な盛り上がりがあったはず。本人のより周りの人間の「生かしてあげたい」という気持ちのほうが強いというぬるいストーリーだ。 お勧め度=★★* |
| プルートで朝食を (6/20更新) | 普通の女性ならまずしないような、女っぽさを強調したオカマ特有のしなの作り方が不快感を誘う。自分を曲げないことが彼が取りうる最大の戦闘態勢なのだが、統一性のない散漫なエピソードの連続からは信念は見えてこない。 お勧め度=★* |
| 親密すぎるうちあけ話 (6/17更新) | 女の気持ちは分らないことばかり、それ自体が男を狂わせる犯罪、とでも言いたいのだろうか。本来コメディにする題材なのに、パトリス・ルコントは犯罪映画風のミステリータッチにこだわるあまり自縄自縛の陥穽に落ちてしまった。 お勧め度=★★* |
| ココシリ (6/15更新) | 空気すら希薄な山岳地帯で繰り広げられる滅び行く命を保護するための戦いは、人間の限界線を時に越える過酷さを見せる。山岳パトロール隊の姿を通じて、この地球上で失ってはいけないものは何かという問いを強烈に発する。 お勧め度=★★★ |
| インサイド・マン (6/15更新) | 抜群の知能を持つ犯罪者はあらゆる場面で先手を打ってくる。虚々実々の駆け引き、洗練された手口には警察だけでなく観客まで手玉に取られる。一方で、歯切れよい展開とは裏腹に、消化不良の後日談は不快な残尿感のようだ。 お勧め度=★★* |
| 嫌われ松子の一生 (6/13更新) | 悲惨な女の人生を極彩色で彩る豊穣な映像。悲劇をポップな歌声で夢追い物語に変換する逆転の発想。毒々しいまでに過剰なカラーとサウンドは強烈な拒否反応を引き起こすが、いつしか感覚が麻痺しいびつな充足感に満たされる。 お勧め度=★★★* |
| トランスポーター2 (6/10更新) | 上質なスーツとピカピカの高級車。目にもとまらぬ速さの身のこなしと卓越した体術。その語り口はあくまで軽妙でスピーディ。カーチェイスと銃撃戦、生身の格闘を絶妙にブレンドして、切れ味鋭いアクションの香りを漂わせる。 お勧め度=★★★ |
| 花よりもなほ (6/8更新) | 少しだけ残った侍のプライドが二本差しと衣服に出ているものの、そのメンタリティは限りなく貧乏長屋に染まっている。主人公は非常に現代風で、大学を出ながらやりたいことが見つからず就職を先延ばししている大卒フリーターに近い。 お勧め度=★★* |
| DEATH TRANCE (6/6更新) | 彩度を落としたスタイリッシュな映像とカメラワークは斬新でスピード感にあふれるが、そこで描かれている物語は薄っぺら。映画の精神性を仏典に求めるなど、もう少し知識を求める姿勢があれば作品に東洋的な奥行きが出たはずだ。 お勧め度=★★ |
| 13歳の夏に僕は生まれた (6/6更新) | 少年が大人になる瞬間、それは知らなかったことを目の当たりにし、世界には厳しい現実があることを理解する時だ。そして乗り越えられない壁があり、自分の無力を自覚し、それに目を瞑って生きていくすべを覚えていく過程なのだ。 お勧め度=★★★ |
| ポセイドン (6/3更新) | 押し寄せる海水と迫り来る炎。時間との闘いの中で迷路のような巨大客船内を出口を求めてさまよう乗客たち。愛や人生といったお涙頂戴的な要素を一切排して、脱出劇だけに焦点を絞ったところが潔く、物語のテンポを加速させる。 お勧め度=★★★* |
| 水霊(ミズチ) (6/1更新) | 恐怖の根源に明確な実体がないという致命的欠陥のため、まったく怖さを感じない。汚染された地下水を飲んだ人間が次々に見る幻覚をただ単に映像化しているだけだ。もう少し原案の段階からストーリーに工夫を凝らすべきだろう。 お勧め度=★* |
| インプリント(6/1更新) | 不愉快極まりない拷問の後に繰り広げられる女郎の問わず語りは、山深い寒村の風景と呪われた血に彩られた物語がしっとりとした質感のフィルムに収められ、残酷と恐怖が耽美主義の元で見事なまでの相乗効果を生んでいる。 お勧め度=★★★ |
| デイジー (5/30更新) | 一途な想いに生きる女と、自分を偽って生きる2人の男の愛が交錯する。男女の間に芽生える愛は韓国風、男同士の思いの熱さは香港風、人間関係の伏線の張り方などミステリアスな映像に緩急を使い分け、最後まで気が抜けない。 お勧め度=★★★ |
| ロシアン・ドールズ (5/27更新) | 人生は永遠に輝き未来は自分を祝福してくれると無条件に信じていた留学生時代から5年、世間は厳しく現実は思うようにいかない。だが、生きていく上の諸問題に対して真剣に取り組まない主人公は薄っぺらな人間としか映らない。 お勧め度=★★ |
| ピンクパンサー (5/25更新) | H・マンシーニの有名なテーマ曲と共に、ピンクの豹がいたずらをして回るおなじみのアニメが懐かしい。そして映画はオリジナルを髣髴させるベタなドタバタぶり。しかし、それは洗練された笑いとは程遠く、古臭さしか感じさせない。 お勧め度=★* |
| ヨコハマメリー (5/25更新) | 知らない人はいないけれど詳しいことは誰も知らない、そんな題材に選んだ嗅覚は鋭い。しかし、表層的なインタビューからは、メリーがどういう気持ちで老いさらばえた後も伊勢崎町に立ち続けたかをうかがい知ることはできない。 お勧め度=★★* |
| ダ・ヴィンチ・コード (5/23更新) | 原作を堪能した人間には「聖杯」や「イエスの子孫」が陳腐なものに見えただろう。カトリックを告発する内容は簡単に処理し、かといって冒険活劇ではない。結末を知っているミステリーはつまらないということをあらためて認識した。 お勧め度=★★* |
| 雪に願うこと (5/23更新) | 堂々とした巨体でそりを牽くばん馬たちの気高いまでの太くたくましい筋肉。しかし、肝心の主人公に人間としての奥行きがないため、動物の再生を通じて人間もまたやり直すというストーリーがさらに陳腐な印象となってしまった。 お勧め度=★★* |
| ナイロビの蜂 (5/20更新) | 彩度を落としたフィルムに手持ちカメラの不安定な映像を焼き付ける。それは主人公の不安と恐怖、真実を知るという強烈な意図。妻の秘密と陰謀を調査するうちに、妻が自分をどれほど愛していたかを知る過程は悲しみ以上に切ない。 お勧め度=★★★* |
| アンジェラ (5/18更新) | セーヌ川、エッフェル塔、コンコルド広場・・・パリはしっとりとしたモノクロ映像がよく似合う。手持ちカメラで登場人物の行動を丹念に追うが、そこで描かれる物語は他者によって自分の人生を見つめなおすという陳腐なものだった。 お勧め度=★★ |
| グッドナイト&グッドラック (5/16更新) | モノクロの陰影に浮かび上がるタバコの煙。本番中のニュースキャスターまでが紫煙をくゆらせている。不愉快極まりない映像なのだが、50数年前はタバコがいかに社会を汚染していたかが、リアルな皮膚感覚として伝わってくる。 お勧め度=★★* |
| LIMIT OF LOVE 海猿 (5/13更新) | 波乱に満ちた人生の新たな始まりを告げるのか、世界崩壊の始まりを予告しているのか。ヒロインのライトモチーフとして用いられる「ラインの黄金」前奏曲は、その美しく優雅な旋律のなかに彼女の急激な運命の変転を内包する。 お勧め度=★★★ |
| RENT レント (5/11更新) | 激動した世界動静よりも「将来の夢はあるけれど、その日をどう暮らすか」という切実な問題を抱えた原作ミュージカルはそれなりにインパクトはあったのだろう。しかしこの作品で描かれている諸問題は今となっては時代遅れだ。 お勧め度=★★ |
| 僕の大事なコレクション (5/9更新) | シリアスなテーマをコミカルに描くことでよりその問題点を明確に浮き彫りにする手法は悪くないのだが、視点が絞り込まれず散漫な印象。映像の主観の転変が必要以上に混乱を招き、とらえどころのない作品になってしまった。 お勧め度=★★ |
| the EYE 3 (5/9更新) | おどろおどろしい効果音や黒ずんだ肌の幽霊が突然現れて怖さを演出しているが、それは単にびっくりさせているだけで恐怖感とはまったく無縁。もし監督が本気で怖い映画を作っているつもりならば、その意図はまったく的外れだ。 お勧め度=★* |
| ブロークン・フラワーズ (5/6更新) | 主人公が過去に交際した女性たちを突然訪ねていく過程は程よいペーソスがまぶされ、心という迷宮に観客をいざなう。しかし、まったりと身を浸しているだけで倦怠感が蓄積し、物語自体が「やおい」レベルに堕ちてしまっている。 お勧め度=★★ |
| ぼくを葬る (5/4更新) | 仕事も私生活も比較的順調な人生半ばの男が、突然命の期限を突きつけられたとき、どういう行動を取るか。死は誰にでも平等に訪れる。それをどのように受け入れるか、主人公の行動を通して普遍的な真理に到達する過程が美しい。 お勧め度=★★★ |
| ニュー・ワールド (5/2更新) | 波乱に満ちた人生の新たな始まりを告げるのか、世界崩壊の始まりを予告しているのか。ヒロインのライトモチーフとして用いられる「ラインの黄金」前奏曲は、その美しく優雅な旋律のなかに彼女の急激な運命の変転を内包する。 お勧め度=★★★★ |
| 戦場のアリア (4/29更新) | 子供のころからの徹底的な愛国教育で憎むべき敵を殲滅すべしと叩き込まれて戦場に出た兵士も、人間の心まで捨てることはできない。早く故郷に帰りたい、戦うよりも友達になりたい。そんな兵士たちの本音がもたらす奇跡が心地よい。 お勧め度=★★★★ |
| V フォー・ヴェンデッタ (4/27更新) | 仮面の男の理念は崇高で行動は迅速、そして正体は不明。表情を見せられないから能弁になり、言葉にできない感情は指先と背中で表現する。しかし、現れたと思えば消える神出鬼没さにリアリティが伴わず、存在は幽霊のようだ。 お勧め度=★★* |
| 風のファイター (4/27更新) | 拳に宿る力は石を砕き、瞳に宿る強靭な意志は荒行に耐える。武道家というより求道者として生きた男・大山倍達の壮絶な前半生が描かれる。格闘シーンはリアルを追求し、肉体を鍛錬するシーンはすさまじいまでの執念を描き出す。 お勧め度=★★* |
| 家の鍵 (4/25更新) | 自分の子供は愛おしい。だが時としてふと魔が差したようにその子の死を願う。重度障害を持つ娘を産んでしまった母親の強さにふと差し込む壊れそうなほど繊細な心情を、シャーロット・ランプリングが圧倒的な貫禄で演じている。 お勧め度=★★★ |
| 寝ずの番 (4/22更新) | 人生を目いっぱい楽しんで生きた人間は、死んでも腹を抱えて笑うような思い出話ばかり残す。人間的な部分を包み隠さずさらして笑いを取る、そんな生き方を全うした人々の通夜の席では、局部の名前を連呼しても粋に聞こえる。 お勧め度=★★★* |
| 連理の枝 (4/20更新) | 運命的な出会いをした男と女が愛を深めるうちに、残された命はわずかだということを知る。そんな、手垢のついたような設定のラブストーリーをコメディタッチで描いてしまったために、まったくピントのずれた作品になってしまった。 お勧め度=★* |
| the EYE 2 (4/20更新) | おどろおどろしい効果音とともに現れる生気のない幽霊。妊娠中で情緒不安定のヒロインの心を象徴するように脈絡もないため、怖さより不快感が募る。清水崇のホラーを安っぽくしたような、アイデアに乏しい作品となってしまった。 お勧め度=★* |
| クライング・フィスト (4/18更新) | 空っぽの心に芽生えた夢や希望が膨らんでいく。人生を諦めていた中年男が再び人生に希望を見出し、人生をなめていた少年が初めて真剣に人生に立ち向かう。「ボクシングは人生の縮図」という言葉をクリアに実感させてくれた。 お勧め度=★★★★ |
| タイフーン (4/18更新) | タイからウラジオストックまで、東アジアをまたにかけたアクションはスケールは大きいが中身は大味。10人程度の海賊が国家権力を相手にすること自体噴飯モノなのに、チャン・ドンゴン扮する主人公のメンタリティも幼稚そのものだ。 お勧め度=★* |
| リバティーン (4/15更新) | 粗野にして奔放、下品ながら機知に富む。権威を嫌い常識と礼儀を笑い飛ばす。だが、この役にぴったりのはずのジョニー・デップに精彩がなく、心地よいカタルシスを生むはずなのに抑え気味の演技が負のオーラをまとってしまった。 お勧め度=★★ |
| プロデューサーズ (4/13更新) | ギョーカイ内幕モノは時として劇中劇のほうがおもしろい。「春の日のヒトラー」、全体主義を賞賛するいかにもナチ信奉者が作ったヒトラー賛歌なのに、ヒトラー役をオカマに演じさせるだけで強烈な風刺とエスプリの効かせている。 お勧め度=★★★ |
| 美しき運命の傷痕 (4/11更新) | 計算された構図とセリフ、心の闇を表現する俳優のリアルな演技、あらゆるシーンに仕掛けられた暗喩と伏線、そして感覚を鋭利にを刺激する研ぎ澄まされた音楽。それらが相乗効果を呼び、一瞬たりとも気を緩めることができない。 お勧め度=★★★★ |
| ファイヤーウォール (4/8更新) | 絶対的な危機に陥っても決して屈せず、最後には体を張って家族を守る。そんな「強くて頼れる理想の父親」というはまり役をハリソン・フォードは熱演。しかし、どう見ても孫がいそうな容貌のうえ、IT技術者という感じでもなかった。 お勧め度=★★★ |
| 大統領のカウントダウン (4/8更新) | 圧倒的な人数と銃器をもつ敵に対し、神出鬼没、孤独な戦いを挑む不屈の魂を持った男。家族を人質にとられながらも、相手の裏をかき一人また一人とテロリストたちを倒していく主人公の姿は、「ダイ・ハード」を髣髴させる。 お勧め度=★★★* |
| かもめ食堂 (4/6更新) | 一歩を踏み出す勇気。そして自分の足で歩けるなら、自分のペースでいいからできる限り自分の足で歩きなさい。そんなヒロインのメッセージがさりげなくちりばめられた小さな食堂の心地よい空気は、清冽なのにやわらかくあたたかい。 お勧め度=★★★★ |
| レアル ザ・ムービー (4/6更新) | 人々はなぜサッカーに熱狂するのか。マドリッドの教師や東京の高校生が発するその問いに、レアルのスーパースターたちはプレーで答えを出そうとするが、ドキュメンタリー部分もドラマ部分も煮え切らない作品になってしまった。 お勧め度=★★ |
| リトル・イタリーの恋 (4/4更新) | 通信は手紙、渡航は客船という時代だからこそありえたすれ違いから生まれた物語、ヒロインの悲しい思いがコメディタッチで描かれる。しかし、ミスマッチといえるほどの効果をあげるには至らず、ご都合主義的な結末にも喜べない。 お勧め度=★★* |
| 春が来れば (4/1更新) | 中年音楽家が中学校の廃部寸前の吹奏楽部を立て直す過程で、自らもまた人生に立ち向かう気力を取り戻すというストーリーには新鮮味はない。劇的な展開よりはリアリティにこだわる姿勢も、感情の起伏に乏しくメリハリがない。 お勧め度=★★* |
| サウンド・オブ・サンダー (3/30更新) | ツッコミどころ満載の理論的にもヘナチョコ映画なのだが、そもそも過去に行って戻ってくるということ自体が壮大な矛盾なのだし、そこに変に時空を超えた愛とか友情などという陳腐なものを挟み込まなかっただけでもマシと思える。 お勧め度=★★ |
| ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! (3/28更新) | 粘土を使ったアニメは手作りの温かい味わいがあり、人形たちの動きもユーモラスでユニーク。それでもこの「劇場版」にしかないようなプラスアルファの要素が希薄。だからこそCGを一切使わずに粘土だけで作るべきっだたはず。 お勧め度=★* |
| THE MYTH/神話 (3/28更新) | 絶え間ないアクションと壮大なスケールの合戦シーンで息もつかせぬ展開を観客に提供するジャッキー・チェンのサービス精神はこの作品でも健在。しかし、十年一日のごときキャラクターと新味のないVFXにはもはや刺激を感じない。 お勧め度=★★ |
| SPIRIT (3/25更新) | 抜群の体術がありながら、どうしてジェット・リーはワイヤーアクションを使うのだろう。鍛え上げた肉体と抜群のスピード、武術の技量があればそれだけで十分な説得力があるはず。ワイヤーが映画を安っぽいものに貶めている。 お勧め度=★★* |
| メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 (3/23更新) | 頑固に自分の流儀を押し通しつつ友の遺体を運ぶ姿は崇高な使命感をまとい、荒涼とした砂漠の風景すら美しく見せる。軟弱な人間を寄せ付けない孤高の空間を、トミー・リー・ジョーンズは抑制の効いた演出で見事に表現している。 お勧め度=★★★ |
| 南極物語 (3/21更新) | 調教された犬たちが視線で問いかける、悲しみ、恐怖、絶望、歓喜。それらの感情が時に激しく、時に静かにスクリーンを覆う。もはや、人間サイドのストーリーは犬たちを見捨てなければならなかった陳腐な言い訳にしか過ぎない。 お勧め度=★★★ |
| ヒストリー・オブ・バイオレンス (3/18更新) | 緊張感あふれる濃密な映像は暴力や心理描写もリアルで、飛び散る血と血塗られた現実におびえる登場人物の姿は固唾を飲まずにはいられない。しかし、暗くて絶望的な色調が、暴力の先に明るい未来がないことを強烈に示唆している。 お勧め度=★★★* |
| イーオン・フラックス (3/16更新) | シャーリーズ・セロンが鍛え上げた肉体を駆使する女戦士を演じているのだが、アクションは陳腐。特に格闘シーンは細かいカットをつなぐことで格闘技のトレーニングを積んでいないことを隠そうとする安易な発想に陥っている。 お勧め度=★★ |
| エミリー・ローズ (3/14更新) | おどろおどろしい効果音のホラーと、緊張感あふれる法廷劇が見事に融合している。少女の死を悪魔のせいにするか人間の過失に帰するか。信仰上、神や悪魔は存在しても、法廷では存在しないという事実をこの作品は鋭く切り取る。 お勧め度=★★★* |
| ブロークバック・マウンテン (3/11更新) | 現在にも未来にも夢を見出せない少女が自分の意志で立ち上がり、走り出す姿はすがすがしい。そう、人生は自分から行動しないと変わらない。そして何かを始めるにはまず仲間を集めなければならないということを教えてくれる。 お勧め度=★★★ |
| SPL 狼よ静かに死ね (3/11更新) | 齢を重ね体重もかなり増えたが長髪にヒゲを蓄えたサモ・ハンが圧倒的な存在感をかもし出す。平気で人殺しもするが、家族を思いの人間的な一面も見せ、クライマックスではその巨体に似合わぬ体のキレで格闘シーンをこなす。 お勧め度=★★* |
| シリアナ (3/9更新) | 世界は自由主義経の名の下に搾取が幅を利かせ、多くの貧困の上に一部の金持ちが君臨するという図式がまかり通っている。そして米国の唱える正義と秩序とは、その図式を守るための方便に過ぎないことをこの作品は鋭く抉り出す。 お勧め度=★★★ |
| うつせみ (3/7更新) | 見つめ合うだけで言葉は交わさない。そんな男と女の不思議な関係に、奇妙なバランスの上に成り立つ心理的リアリティ。キム・ギドク監督の描く空間は無限の広がりを持つようでいて、実ははかないほどの閉塞間にとらわれている。 お勧め度=★★★* |
| ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女 (3/4更新) | 剣が舞い、矢が乱れ飛ぶ合戦シーンが最大の見せ場なのに1滴の血も流れない。いくら空想の世界とはいえ、生の苦しみと死の痛みへのリアリティが薄すぎる。死の概念すら理解できない子供に向けて作られた作品なのだろうか。 お勧め度=★★* |
| 県庁の星 (3/2更新) | 県庁の常識はスーパーの非常識でスーパーの常識は県庁の非常識。まったく価値観が違うものを融合させるには、まず行動すること。自分は頭脳でスーパーの店員など手足と思っているエリート官僚の鼻がくじかれる過程が心地よい。 お勧め度=★★* |
| シムソンズ (2/28更新) | 現在にも未来にも夢を見出せない少女が自分の意志で立ち上がり、走り出す姿はすがすがしい。そう、人生は自分から行動しないと変わらない。そして何かを始めるにはまず仲間を集めなければならないということを教えてくれる。 お勧め度=★★★* |
| アメリカ、家族のいる風景 (2/25更新) | 人生の晩年にふと心に浮かんだ家族への郷愁。今の仕事や生活をすべてなげうって、思い残してきたことへの決着をつけようとしているわりにはどこか覚悟が足りないという、主人公のウジウジした人間的な心情が丁寧に描かれている。 お勧め度=★★★ |
| ウォーク・ザ・ライン (2/23更新) | 夢と愛、成功の果ての挫折とドラッグ。現代大衆音楽のスターがたどるステレオタイプをこの映画の主人公も忠実になぞる。しかし、主演の2人が吹き替えなしということ以外に、主人公をよく知らない者への訴求力には欠ける。 お勧め度=★★★ |
| ナイト・オブ・ザ・スカイ (2/21更新) | 科学の粋を集めたジェット戦闘機が超音速で青空を切り裂く姿は、その轟音をのぞけば優美で艶かしい。しかし、最新戦闘機をめぐって繰り広げられる人間たちのドラマは直線的で広がりはなく、見せ場に乏しいまま終わってしまった。 お勧め度=★★ |
| ジャーヘッド (2/18更新) | 戦場を舞台にしながら、これほどまで山場のない物語をわざわざ映画化する必要があったのだろうか。戦場においてなすべきことが見つからなかった中途半端な主人公の思想同様、何を訴えたかったのか最後まではっきりしなかった。 お勧め度=★★* |
| PROMISE (2/16更新) | 目もくらむような鮮やかな色彩、ワイヤーを使った超重力格闘シーンと変幻自在のカメラワーク。しかし、それらほとんどのシーンがチェン・カイコー監督の自己満足に終わっている。特にCGのできばえが恐ろしく古臭くて安っぽい。 お勧め度=★* |
| クラッシュ (2/14更新) | 差別が偏見を生み、敵意にまで成長する。本当は他人とふれあいたいのに人種という壁を自らの心の中に作ってしまう人間の弱さ。意識していないところにある壁の、どうしようもないもどかしさがスクリーンを通じて伝わってくる。 お勧め度=★★★★ |
| 白バラの祈り (2/11更新) | 戦後のドイツ人自身がはっきりとナチズムを否定すると同時に、ナチズムとはいったいなんだったのかを問いかける。その一見高邁な理想も偏狭なナショナリズムにしかすぎないことを、ヒロインは法廷でのやりとりのなかで喝破する。 お勧め度=★★★* |
| 僕が9歳だったころ (2/9更新) | 懐かしさとやさしさが詰まった少年時代なのにあまり共感できないのは、いかにも「大人が考えたセリフを子役が暗記してしゃべっている」という不自然さがあるから。演じる子供が、9歳というよりは12歳ぐらいに見えてしまう。 お勧め度=★★ |
| ミュンヘン (2/7更新) | 彩度を落とし、緊迫感に満ち溢れた映像は、記憶という過去にさいなまれる主人公の心情を雄弁に物語る。スピルバーグは普通の若者が殺人兵器に変貌する過程を描きながら、それでも良心を捨てきれない人間の弱さを丹念に描ききる。 お勧め度=★★★ |
| 単騎、千里を走る。 (2/4更新) | 人と人のつながりとは何か。実の父子でも、相手の気持ちをわかったつもりになって自分の気持ちを押し付けてはいけない。そんな簡単なようで複雑な人間の心理の綾を、細い糸を縒り合わせるように紡いでいく映像は深い余韻を残す。 お勧め度=★★★ |
| オリバー・ツイスト (2/2更新) | 細密に再現された19世紀のロンドンを舞台に繰り広げられる波乱万丈のストーリーは、一時も飽きさせない。劣悪な環境の中でも決して自分を失うことなく力強く生きる9歳の少年を主人公に、人間の善意を高らかに謳いあげる。 お勧め度=★★★* |
| フライトプラン (1/31更新) | 圧倒的に不利な状況の中で自分を信じ、考えたことを行動に移すヒロインの姿は迷惑オバサンそのもの。主人公の不安定な心理状態を丁寧に描くことでサスペンスを盛り上げることには成功しているが、結末には徒労感しか残らない。 お勧め度=★★ |
| 僕のニューヨークライフ (1/28更新) | 女の口から絶え間なく飛び出す自己中心的な言い訳と、振り回される男の愚痴。無意味な会話の洪水は、聞くに堪えない幼稚な言葉のキャッチボールに過ぎない。そこにはユーモアもウイットもなくただ退屈な時間がうんざりと横たわる。 お勧め度=★* |
| 天使 (1/28更新) | 天使が現れるときの視覚・音響効果が子供向けアニメのよう。メルヘンを演出しようという意図は理解できるが、見ているほうが気恥ずかしくなる。教訓めいたところがないのは好感が持てるが、物語も天使の性格同様、脈絡がない。 お勧め度=★★ |
| グレート・ビギン (1/28更新) | 宇宙の歴史・生命の進化というあまりにも大きなスパンを80分ほどのフィルムにまとめようとし、ひとつひとつの現象に長く時間を割けない。結果的に対象を深く掘り下げず、文部科学省推薦「中学生のための自然科学入門」という体裁だ。 お勧め度=★★ |
| 博士の愛した数式 (1/26更新) | どんな数字にも意味を見出し、「存在する価値のないものなどない」ことを伝えようとする博士の姿が人間の真理を物語る。閉じられた世界に生きる博士にとって、他人に真理の扉を開けさせることが自らの世界を開放させるのだ。 お勧め度=★★★* |
| プルーフ・オブ・マイ・ライフ (1/24更新) | 天才と狂人は紙一重というが、その共通点は何を考えているかさっぱりわからん、ということだ。映画は正気と狂気の微妙なバランスの上にかろうじて成り立っているが、あまりにも繊細なヒロインの心に似て手に負えなくなった。 お勧め度=★★ |
| THE有頂天ホテル (1/21更新) | アクの強い俳優を使っているせいで、これだけの大人数が出演する群像ドラマなのに人物の交通整理がよくできている。わざとらしくなりすぎて笑えないシーンも多いが、役所広司扮するホテルマンを中心に話がよくまとまっている。 お勧め度=★★★ |
| プライドと偏見 (1/19更新) | 自分の気持ちに気づいていながら正直になれない男と女の流転は、結婚は財産があれば成り立つが愛は相互理解のうえにしか成り立たないことを証明し、愛は言葉で伝えなければならず沈黙は何も生み出さないことも教えてくれる。 お勧め度=★★★ |
| ホテル・ルワンダ (1/17更新) | ギリギリの選択を迫られたときにどういう行動をとるか。人の上に立つ主人公は命の危険をかえりみず、自分を頼る人間のために奔走する。虐殺が横行する無法地帯で自分の命よりも大切な「善意」のために行動した彼の姿は感動的だ。 お勧め度=★★★★* |
| 歓びを歌にのせて (1/14更新) | 再生というテーマ、音楽という題材はありふれているが、ユニークな練習法と声帯から発せられる繊細な旋律とハーモニーが馥郁たる時間を演出する。それはまるでこの作品のヒロインの豊満な肉体のようにエロチックでおおらかだ。 お勧め度=★★★ |
| 天空の草原ナンサ (1/12更新) | 地平線のかなたまで続く草原、どこまでも高い青空。清明な空気をフィルムに焼き付けた映像は心地よい冷たさを感じさせ、競争や発展とは無縁な人々の生活を通して、生きるということはもっと素朴で単純なものだと教えてくれる。 お勧め度=★★★ |
| 輪廻 (1/10更新) | 冷気を帯びた映像のなかで展開する恐怖のディテールと、観客の緊張を頂点にまで高めておいて霊気を爆発させるタイミングはこの作品でも健在。しかし、ストーリーは相変わらずお粗末で説得力に乏しく、終盤は苦笑をもらしてしまう。 お勧め度=★★ |
| ディック&ジェーン 復讐は最高! (1/7更新) | 一瞬にして人生が暗転する、その落下スピードと、身の回りから次々とカネ目のものがなくなっていく寂しさをリアルに描いてこそ観客の共感を得られるのに、コメディタッチにこだわってしまったために消化不良を起こしてしまった。 お勧め度=★* |
| ダウン・イン・ザ・バレー (1/5更新) | 退屈な日常に消費され、閉塞感と夢をもてない生活を送っている少女には、流れ者が自分の人生を変えてくれる存在に見えるのは仕方がない。ただ、この流れ者が最後までミステリアスで、映画自体も消化不良になってしまった。 お勧め度=★★* |
| 秘密のかけら (1/3更新) | 闇に葬られたままの変死事件の真実自体が、今更暴いたところで「不正を正す」というものではなく、上昇志向の強い記者の自尊心を満たすレベル。スキャンダルではあるが陰謀というほどのものではなく映画の題材としては地味だ。 お勧め度=★★* |