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2004年12月
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恍惚 (12/28更新)  倦怠、沈黙、馴れ合い。数十年も一緒に暮らした夫婦にはもはやときめきなどなく、あるのは漫然と続く日常生活。夫なのに年月を経るほど知らないことのほうが多くなっていく、そんな妻の嫉妬と好奇心が抑制の効いたタッチで描かれる。 お勧め度=★★★ 
ターミナル  (12/25更新)  誰かを待つ。何かを待つ。待ち望んだものがいつやってくるのかはわからない。だからこそ期待に胸が膨らみ、希望に心が弾む。決してあきらめないで自分の夢を叶えようとする主人公の姿を通して、効率だけでは得られない人生の意味を問う。 お勧め度=★★★ 
エイリアン VS.プレデター (12/23更新)  見る前から勝負の結果はわかっている。人間のうち誰が生き残るかもおのずと予想できる。楽しめなかったのは怪物たちの思考や心理描写がないからだ。結局、人間がでしゃばりすぎて「どちらが強いか」という興味に水を差している。 お勧め度=★★ 
アンナとロッテ (12/21更新)  引き裂かれた双子が憎しみ合うようになるまでを、計算された理知的なプロットとディテールまで神経が行き届いたクールな映像で容赦なく描く。戦争で愛するものを失う以上の憎しみと悲しみを双子にもたらす語り口は圧倒的だ。 お勧め度=★★★* 
レディ・ジョーカー (12/18更新)  長大な原作をつまみ食いしただけの脚本のせいですべてのエピソードが中途半端。原作には映画的興奮をもたらす場面がいくつもあったのに映画化ですべて捨て去るとは何たる失態か。原作の知名度だけに頼った典型的な失敗作だ。  お勧め度=★* 
僕の彼女を紹介します (12/16更新)  「痩せろ!」 思わずスクリーンのチョン・ジョヒョンに叫びそうになった。この作品のチョン、目元はむくみアゴはたるんでいる。しかも残酷なほどアップのシーンが多く、そのたびに彼女の二重アゴが気になって映画に集中できなかった。 お勧め度=★★* 
ゴジラFINAL WARS (12/14更新)  リアルさを追い求めるのではなく、絵空事としての映画。怪獣たちだけでなく俳優たちも絵空事のルールに従って大げさな演技をする。全体的に安っぽい雰囲気がぷんぷん匂ってくるのだが、その時代がかった空気がとても楽しくい。 お勧め度=★★★  
犬猫 (12/11更新)  男受けする「犬」と、無愛想な「猫」。そんな2人の女を同居させ、男を巡って駆け引きをさせる脚本が秀逸。嫌いなのに同居しなければならない複雑で濃密な心理描写が凝縮され、奇妙なバランスをとりながら時間がゆったりと流れていく。 お勧め度=★★★* 
Mr.インクレディブル (12/9更新)  父と息子にはパワーやスピード、母と娘にはしなやかさや防御的なパワーを与え、家族が協力して長所を活かすという理想の家族構成。洗練され時にユーモアも交えながら敵と闘う展開は、ひと時も退屈させず一気に最後まで見せる。 お勧め度=★★★★ 
スカイキャプテン (12/7更新)  主人公も新聞記者も人物造型に厚みがないので感情移入できず、アクションに特化した思考停止ムービーにするようなサービス精神もない。製作者の中途半端なスタンスは、映画を見にきた観客にも中途半端な印象を与えるだけだ。 お勧め度=★★ 
ポーラー・エクスプレス (12/4更新)  いまどきクリスマスとサンタクロース、そしてそれを信じる子供を主人公にする映画を大まじめで作る意図はなんなんだ。俳優の動きをキャプチャーしてCGに描くという新技術の発表会ととらえればそれなりに意義はあるのだろうが。 お勧め度=★★*  
イブラヒムおじさんとコーランの花たち (12/2更新)  人生の終盤を迎えた者とこれから人生を切り開いていく者。孤独な老人は生きた証として最後の愛を少年に注ぐ。孤独な少年はその老人を師として人生を学ぶ。小さな幸せに満足する人生も捨てたものじゃないと、老人と少年は訴える。 お勧め度=★★★* 
   

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2004年11月
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変身 (11/30更新)  姿かたちは人間のままの俳優に虫を演じさせたのがユニークで、主人公は手足の動きから残飯をあさる姿まで虫の動きを模写する。そうすることで気持ちはよく表現できているが、逆に彼の扱いに戸惑う家族の姿が冷たく思える。 お勧め度=★★ 
ジョヴァンニ (11/18更新)  銃器という新兵器がやがて核ミサイルという大量破壊兵器に発展し、人類を滅ぼすかもしれない。始まりと終わりの言葉にそんなイメージが膨らむが、描かれている内容は観念的で中世イタリア史に疎い者には理解の範疇を超えている。  お勧め度=★★ 
ハウルの動く城 (11/25更新)  科学という圧倒的な力が魔法という前近代的なものを駆逐しつつある時代、魔法使いにできる反戦活動は兵役拒否ぐらいなのか。反戦のメッセージ随所にうかがえるのだが、魔法使いと少女の恋物語は近代的戦争という背景にはそぐわない。 お勧め度=★★* 
パニッシャー (11/23更新)  CGやVFXに頼らない生身の人間が演じるハードアクションを作ろうとした試みは評価できる。肉体と肉体がぶつかり合い、武器も銃と刃物がほとんどだ。しかし、全編を通して漂うまったり感はなんだか古い映画を見ているようだ。 お勧め度=★★ 
砂と霧の家 (11/20更新)  真剣に人生を切り開こうとしているイラン人と自由の上で何ら自助努力をしないアメリカ人。敵対しあう同士を等距離で描き、なおかつ抑制が効きすぎた演出のせいで、余韻を持たせるというよりただぬるいという感じしか受けない。 お勧め度=★★* 
いま、会いにゆきます (11/9更新)  現実にはありえないことにリアリティをもたせるために細部の表現にこだわり、説得力をもたせるのが映画作家の仕事のはず。しかしつじつまが合わないところを「奇跡」という言葉でごまかそうとするのは単なる怠慢でしかない。 お勧め度=★* 
エイプリルの七面鳥 (11/16更新)  心をこめて作った料理は人の気持ちを和らげる。手持ちのカメラ、ライティングの甘い映像、狭いアパートでのロケ。いかにも低予算で作られた映画なのだが、作品の中に出てくる七面鳥同様、手作りの味わいがにじみ出ている。 お勧め度=★★★★ 
オールド・ボーイ (11/13更新)  監禁された男が謎を解く様子を、わずかなヒントや伏線から組み立てていく過程に過剰な暴力を加えながら、インパクトのある映像で迫る。ただ、音楽をもう少し抑えたタッチにしていれば、映像とのバランスが取れていたはずだ。 お勧め度=★★★
血と骨 (11/11更新)  触れるだけで切れそうなナイフ。そんな殺気を持った男のすさまじい暴力はよどんだ澱となり、心の中に不快感として蓄積される。殴る、蹴る、犯す、そして破壊する。しかし、主人公の直線的な衝動は、作品そのものも破壊してしまった。  お勧め度=★★ 
笑の大学 (11/9更新)  物語はほとんど主役の二人が狭い検閲室の中で向き合って進行する。自分の台本を上演したい一心の稲垣吾郎は直球勝負で情熱を全身でぶつけてくる。それに対し、検閲官の役所広司はかなり複雑で高等な演技メソッドを披露する。 お勧め度=★★★* 
隠し剣 鬼の爪 (11/6更新)  武士といっても所詮は役所勤めのサラリーマン。その単調な日常と代わり映えしない人間関係の中での諦観と、一方でいかに自分の人生を有意義なものにするか。その葛藤に愛を絡めることでしみじみとした味わいを出すことに成功している。 お勧め度=★★★* 
コラテラル (11/4更新)  夢を見ているだけで満足していた男が、冷酷な殺し屋と出合ったことから自分を見つめなおす。失敗を恐れてあきらめるか、度胸を据えて挑戦するか。殺し屋と出会うことで、タクシー運転手は濃密な人生の縮図のような一夜を過ごす。 お勧め度=★★★* 
   

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2004年10月
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シークレット・ウィンドウ (10/28更新)  映画が始まってわずか15分ほどでオチが分かってしまう稚拙な構成。主人公が虚実皮膜の間をさまよう様子を描いていないから怖さも緊張感もない。なにより狂気に侵されいく過程が省かれているのはサイコスリラーでは致命的だ。  お勧め度=★* 
2046 (10/26更新)  つやと深みのある映像は、スクリーンに吸い込まれるような魔力を持つ。だが、そこで繰り広げられる恋愛遊戯は幼稚で、とても大人の愛とは思えない。この作品を物語性をもったアートとして鑑賞するには強烈な睡魔と闘う覚悟が必要だ。 お勧め度=★★ 
トルク (10/23更新)  疾走するバイクのスピードをいかに体感させるか。この映画のテーマはその一点にあるが、特殊効果に頼りすぎたせいで、実際のスピード感というよりゲーセンのマシンに乗っているような薄っぺらい臨場感しか得られなかった。 お勧め度=★★ 
エクソシスト・ビギニング (10/21更新)  神の対極としての悪魔も、神なしでは存在できないはずだが、この映画では悪魔の対極として神が描かれている。つまり、悪魔こそが神の存在理由という逆転現象が起きている。結局、善悪二元論はキリスト教徒にしか通用しない。 お勧め度=★★*  
モーターサイクル・ダイアリーズ (10/19更新)  若者は己の肉体、若さだけを頼りに辛く苦しい道を行く。行く先々で世の中を見、世界を知る。モーターサイクルを捨てた後の体験が彼の人生を変えたのに、そのタイトルが「モーターサイクル・ダイアリーズ」とはなんとも皮肉だ。  お勧め度=★★★ 
ツイステッド (10/16更新)  幼い頃のトラウマに苦しむ女性警官が直面する殺人事件を通じて心の闇を炙り出していくのかと思ったが、あにはからんや。意外などんでん返しが用意されているが、よくこんな稚拙なアイデアを思いついたかと思わせるような結末だ。  お勧め度=★* 
ピエロの赤い鼻 (10/14更新)  人の命が軽かった時代だからこそ、人は自分の人生に意味を持たせようとする。ただ死ぬのではなく、自分の命を価値のあるものにしたいと強く願う。命を託されて生き残った人間にできることは彼らを悼み、その遺志を受け継ぐことだ。  お勧め度=★★★★* 
靴に恋して (10/12更新)  この作品では男は常に身勝手で、女に悲しみや未練、あきらめや憎しみ与えることしかしない。スペインでも女性の地位が低く、この作品を支配する「女尊男卑」的な空気はその裏返しなのだろうか。同性愛者だけが善人として描かれる。 お勧め度=★★* 
僕はラジオ (10/9更新)  知的障害を持った青年が周囲の理解に助けられ、やがて彼の人を疑うことを知らない心が周りの人にも伝播していく。ステレオタイプの障害者モノだが、描かれたエピソードはあまりにも毒がなさすぎ、キレイ事にしか見えない。 お勧め度=★★★ 
感染・予言 (10/7更新)  2本とも全然怖くない。もちろん映像もサウンドもそれなりの怖がらせ方のテクニックを見せてはいるのだが、オリジナリティに乏しい。表現にばかり頼り、感覚は刺激しても感情には届かない。2本付き合うにはかなりの忍耐が必要だ。 お勧め度=★★ 
世界でいちばん不運で幸せな私 (10/5更新)  子供のときの出会いが分かちがたい絆となり、数十年に及ぶ愛と別れをエスプリをちりばめた映像で爽快な気分にさせてくれる映画、のはずだったのだろう。だが、この二人が仕掛ける悪ふざけには見ていて不快な気分になるだけだ。  お勧め度=★★ 
アラモ (10/2更新)  語り部となる主人公を決め、彼の目を通して見たアラモの戦いという構成にしないので、視点が定まらず散漫な印象。総花的にするほど重要人物が出ているとも思えず、結局メキシコ軍の将軍だけが強烈な個性を放っているだけだ。 お勧め度=★* 
   

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2004年9月
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モンスター (9/30更新)  醜くたるんだ二重アゴ、脂肪におおわれた下腹部、シミだらけの肌、伸びっぱなしの髪。見ているだけで観客が嫌悪感を催すような肉体のディテールから心の絢まで、役になりきる俳優の姿勢が作品に命を与え見るものを感動させる。 お勧め度=★★★★ 
父、帰る (9/28更新)  沈黙こそ饒舌、省略こそ雄弁。写真でしか知らなかった父に対して接し方がわからない息子たち。父のほうもギャップを感じている。親子間の素直に愛している気持ちを表現できないもどかしさが、全編を通じて痛いほど伝わってくる。  お勧め度=★★★* 
トゥー・ブラザーズ (9/25更新)  赤ちゃんトラから、子トラ、そして成獣になるまでをカメラは丹念に追い、この二匹の物語に奥行きと躍動を与えている。しなやかに飛び、力強く走る。家族との別れに胸を痛め、囚われの身に絶望する。そういう心の動きは人間と同じだ。  お勧め度=★★★★ 
インファナル・アフェア 無間序曲 (9/23更新) 欺瞞と裏切りが蔓延し、失敗は死を意味するマフィアの世界で偽りの人生を送ることの苦しみ。それが生きている限り続く無限の悲しみ。それでも前に進むしか道がない男たちの熱い生き様が、圧倒的な思いとなってスクリーンから伝わってくる。  お勧め度=★★★★ 
CODE46 (9/21更新)  どうしてもっと閉塞間や人間の絆を強調しないのだろう。禁じられた愛だからこそ激しく燃え上がるはずなのに、この作品には感情の発露が乏しい。どのプロットも中途半端で、欠けたピースを想像力で埋めようという気にもならない。 お勧め度=★★ 
アイ、ロボット (9/18更新)  洗練されているのは、滑らかなロボットの動きと表情ぐらいか。あとはお決まりの人間対ロボットの対決。大掛かりなアクションとスピーディな展開で前頭葉を刺激するが、感情や精神とは何かというような踏み込んだ問いかけはない。  お勧め度=★★ 
スウィングガールズ (9/16更新)  ご飯粒やイノシシなど、ひとつ間違えればベタになりかねないプロットを寸止めで笑いに変えるセンスのよさ。矢口監督はそういう観客の笑いのツボをよく心得ていて、一流コメディアンが放つ十八番のギャグのようにピタリとはまっている。 お勧め度=★★★ 
草の乱 (9/14更新)  美しい山並み、緑濃い秩父の村で養蚕で生計を立てている農民たち。蚕が桑の葉を食むコソコソという音。繭から糸を紡ぐ女。そういうディテールを丁寧に描くことで120年前の農村生活を再現し、この作品に命を吹き込んでいる。  お勧め度=★★★* 
バイオハザードII アポカリプス (9/11更新)  いくら銃器を派手にぶっ放しゾンビたちを粉砕しても爽快感を味わうことはない。ただ、脂汗が肌にまとわりつくような不快感だけが残る。それでも次から次へとヒロインたちを襲う危機また危機は、スクリーンを凝視してしまう吸引力を持つ。  お勧め度=★★* 
ヴィレッジ (9/9更新)  映画の中のすべての価値観をひっくり返す驚愕の結末はこの作品にも一応、用意してある。しかし、B級ホラーのようなカメラワークやサウンドデザインは「シックス・センス」のときから進歩しておらず、この演出法は物語にそぐわない。  お勧め度=★★* 
ヴァン・ヘルシング (9/7更新)  今はやりの「迷えるヒーロー像」を描いているつもりなのだろうが、主人公の「自分探し」が中途半端で煮え切らない。ただ、ドラキュラ、フランケン、狼男を競演させたいだけなら、藤子不ニ雄の「怪物くん」のほうがよほど楽しめる。  お勧め度=★*  
らくだの涙 (9/4更新)  らくだ親子の断絶というハプニングが、完成度の高いドラマとしても感動を呼ぶ。シナリオがあるわけでもなく、演技しているのでもない。それだけにカメラの前で繰り広げられる愛の再生は、深くそして静かに心に染み込んでくる。  お勧め度=★★★★ 
LOVERS (9/2更新)  チャン・ツィイーの体の柔らかさ、動きの優雅さはいきなり見るものを圧倒する。全身をくねらせ長い袖を自在に操る華麗な舞。しかしせっかく壮大で美しい叙事詩のようなシーンも、CG合成を多用したために興をそがれてしまう。  お勧め度=★★* 
   

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2004年8月
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ミラーを拭く男 (8/31更新)  言葉にすると陳腐になってしまうことがある。言葉にしないと伝わらないこともある。主人公は「あ〜」「う〜」「いや〜」の3語しか発しない。しかし、それだけでは犬の気持ちがわかる程度にしか主人公の気持ちは伝わってこない。  お勧め度=★★* 
ステップ・イントゥ・リキッド (8/28更新)  巨大な波のトンネルを微妙なバランスで滑走するサーファーたちの勇姿をカメラはとらえる。スピードとスリル、その麻薬のような快感の中毒になってしまった男女。サーフィンは彼らのライフスタイルではなく、人生そのものだと言い切る。 お勧め度=★★★ 
天国の青い蝶 (8/26更新)  夢は夢だからこそ魅力的なのだ。それは手に入れたとたんに輝きを失う。しかし、夢の象徴としての青い蝶に神秘性がないのだ。人の心を惑わすような妖しさがなければ、ジャングルにまではるばる行った甲斐がないではないか。 お勧め度=★★ 
箪笥(たんす) (8/24更新)  ねっとりとしたカメラワークとおどろおどろしい効果音というB級ホラー映画の定石を踏まえているが、日本のホラー映画で見たようなシーンばかりで目新しい手法はない。ストーリーも、いたずらに複雑にして観客を混乱させいるだけ。 お勧め度=★* 
華氏911 (8/21更新)  高速回転で発せられる言葉と細かいカットの連続。マイケル・ムーアは圧倒的なパワーでブッシュ政権をねじ伏せる。しかし、ムーアの表現が過激になればなるほど、それは感情的ないじめにしか見えず、ブッシュに同情したくなる。  お勧め度=★★★ 
誰も知らない (8/19更新)  手持ちカメラで丁寧に撮影された映像は独特の距離感を生み、登場人物の内側に踏み込むことを許さない。それでも明を演じた柳楽優弥まなざしは瞬時にして怒りや諦め、そして考える前に行動に移す者だけが持つ鋭さを内包している。 お勧め度=★★★* 
モナリザ・スマイル (8/17更新)  物語は可もなく不可もない。学生たちが目覚め、ヒロインが孤軍奮闘の末に理解者を増やし周りに認められるという展開も予定調和的だ。米国初の女性大統領になろうかというヒラリー・クリントンが学んだ環境を描きたかったのだろうか。  お勧め度=★★* 
16歳の合衆国 (8/14更新)  突き放すような怜悧なカメラと乾いた色彩の映像は、この作品の抱く深く大きな哀しみを強調する。殺人事件を起こした少年と矯正施設の教官の会話からその哀しみの理由を知ろうとするほど袋小路に突き当たり、出口が見えない。 お勧め度=★★*  
リディック (8/12更新)  巨大なモニュメントや彗星のように尾を引く宇宙母船、侵略される星の街並み、地下刑務所、そして主人公が使う三日月軽の刃物。そうしたディテールに細心の注意が払われ完璧なリディック・ワールドに、いつしか引き込まれてしまう。  お勧め度=★★★* 
堕天使のパスポート (8/10更新)  搾取される不法移民という構図だけでは目新しさはないが、謎のナイジェリア人を絡めたことがこの作品をミステリアスにしている。ロンドンという都会で幽霊として生きている彼の複雑な事情を解き明かすことが物語に奥行きを与えている。  お勧め度=★★★*
サンダーバード (8/7更新)  かつて人形劇としてテレビで放映された雰囲気をそのままに、徹底してレトロフューチャーにこだわったディテールは見事。しかし、そこには懐かしさはあっても斬新さはなく、作品世界に思い入れのない人間を引き込むだけの魅力はない。  お勧め度=★★ 
ドリーマーズ (8/5更新)  シネマテークで映画に浸り、人生の大切なモノはすべて映画から学べると信じていた3人の若者。そんな'68年という時代設定に胸を躍らせたが、世界の変革に背を向けて幼稚なゲームに熱中するにいたってすっかり興を殺がれた。  お勧め度=★★* 
父と暮らせば (8/3更新)  舞台を見ているような緊張感が漂い、長まわしのセリフを口にするヒロインの表情の微妙な変化をカメラは執拗に追う。後悔、悲しみ、そして新しい恋。それらが複雑に入り混じり、次々に心に去来する様子を宮沢りえは渾身の演技で表現する。 お勧め度=★★★ 
   

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2004年7月
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マッハ! (7/31更新)  トニー・ジャーの驚異的な身体能力の前では、幼稚なストーリー展開やフィルムの質など気にならない。CGやワイヤーを使わず、人間の肉体だけでもここまで圧倒的な映像を作り上げたことに、この映画の作り手に敬意を持ってしまう。  お勧め度=★★★* 
バレエ・カンパニー (7/29更新)  しなやかに躍動する人間の肉体と自在に伸び縮みする白いゴムひもを効果的に使ったダンスステージでこの映画は幕を明ける。しかし、登場人物が踊っているシーンはスクリーンに目がクギ付けになるが、人物描写や話の展開はとても退屈だ。  お勧め度=★★* 
ディープ・ブルー (7/27更新)  北極のシロクマから南極のペンギンまで、渚のカニから深海のアンコウまで、膨大な時間をかけフィルムをまわしているということはよくわかる。それでも一貫したテーマがないため環境ビデオを見ているような気にしかならない。  お勧め度=★★* 
シュレック2 (7/24更新)  中身と外見は別という建前論より、やっぱり人間見た目よね、という風に、若さと美貌を保つことに肯定的になっているところが嫌味がなくてよい。外見の大切さをきちんと評価したうえで内面の問題に移るところが好感が持てた。  お勧め度=★★★ 
キング・アーサー (7/22更新)  アーサー王といえばイギリスの基礎を築いたヒーローだと誰もが期待するだろう。しかし、アーサーを演じたクライヴ・オーウェンは伝説の王を演じるには強烈な個性に乏しく、内に秘めた強い意思というものがなかなか表面に現れてこない。 お勧め度=★★ 
家族のかたち (7/20更新)  ロバート・カーライル、リス・エヴァンスという二人の個性派・演技派をそろえながら、物語は二人の男の間でゆれる女心というありがちなパターンに陥っている。しかもコメディとしての洗練もなく、リアリズムを追っているわけでもない。  お勧め度=★★ 
永遠の片想い (7/17更新)  男と女の間に友情が成り立つのかという古くからある命題に真正面から取り組んでいるが、いかんせん昔の少女漫画を見ているような気分になる。描かれる清廉潔白な男女交際にはまったくリアリティがなくエピソードが上滑りしている。 お勧め度=★★ 
69 sixty nine  (7/15更新)  もてあます青春のエネルギーのはけ口を求めて日々不満を募らせる生徒たちの疾走感に彩られた映像、ユーモアのセンスあふれる会話、俳優たちのまじめにとぼけた演技、どれをとっても高校学園ドラマの見本のような作品だ。  お勧め度=★★★ 
ウォルター少年と、夏の休日 (7/13更新)  男の世界を知ることで大人になるという少年の通過儀礼。母親に捨てられた少年が年長者の元で成長するという物語は珍しくないが、余生を持て余していた老人たちが少年の登場によってかつての情熱と冒険心を取り戻す姿が楽しい。  お勧め度=★★★ 
スパイダーマン2 (7/10更新)  スパイダーマンも変身前は人間としての生活があり、二重生活の悩みを誰にも打ち明けることができない。この作品がユニークなのは主人公の葛藤に上映時間の70%もついやしていることだ。スーパーヒーローもしんどい商売なのだ。  お勧め度=★★★★* 
キッチン・ストーリー (7/8更新)  人間の手仕事を機械にやらせることによって、人間から人間らしさを奪っていることへのささやかな反乱。初老の2人の男たちの交流が友情に変わるまでそれほど時間はかからない。そこには人間らしさの復権が高らかに宣言されている。  お勧め度=★★★ 
子猫をお願い (7/6更新)  何の利害関係もなかった時に培った友情より、今の生活や仕事が大事になったとき、友情は壊れ人々は別々の道を歩み始める。仲良し5人組がたどる閉塞感と孤独という青春の陰の部分を、リアルなエピソードで綴る構成は秀逸だ。  お勧め度=★★★* 
白いカラス (7/3更新)  人々の心の底には差別意識が眠っていて、どんな瞬間にそれが目を覚ますのか分からない。人種差別だけでなくあらゆる差別が人間の心の中に巣食っていることを、この作品はとがったナイフを喉元に突きつけるように問題提起してくる。 お勧め度=★★★* 
ベジャール、バレエ、リュミエール (7/1更新)  対象=ベジャールに対する掘り下げ方が浅く、ベジャール自身がどのような哲学を持って振付けているのかがまったく伝わって来ない。ダンサーたちのパフォーマンスをもっと見たいと思っても、アングルに乏しく編集もおざなりだ。 お勧め度=★ 
   

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2004年6月
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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (6/29更新)  クィディッチの試合や新しいガールフレンドなど、物語のメインストリームとはあまり関係しない原作のエピソードをばっさりと切り、映画的にはすっきりとした展開になっている。どうせなら矛盾したタネ明かしの部分も変えてほしかった。 お勧め度=★★★ 
ブラザーフッド (6/26更新)  熱く、固く、濃い。兄弟とはこれほどまでに深い絆で結ばれているものなのだろうか。二人は戦争という大きな波に飲み込まれながら、それでも必死で運命と戦う。家族、愛、そして人間として生きる意味の本質を問う一大メロドラマだ。  お勧め度=★★★★ 
天国の本屋〜恋火 (6/24更新)  この作品で描かれている「天国」があまりにもウソっぽいため、まったく鼻白んだ思いになる。いくらファンタジックな愛の奇跡を描きたいと思っても、ここまでディテールをおろそかにするのは小学生向け少女漫画でもありえない。 お勧め度=★* 
海猿-ウミザル- (6/15更新)  それなりに汗と涙を流し、友情も育み、ライバルと争い、恋もする。しかし、ここで描かれているエピソードはオリジナリティに乏しく、既視感を覚えるものばかりだ。キャラクターの煮詰め方も「それなり」の域を出ておらず、甘さが目立つ。  お勧め度=★★* 
カレンダー・ガールズ (6/19更新)  勇気をふるって行動することで人生は大きく変えられることを、洗練されたユーモアを交えて描いているところが好感を持てる。成功の光の部分だけでなく陰の部分もきちんと描き、甘ったるいサクセスストーリーとは一線を画している。  お勧め度=★★★★ 
トスカーナの休日 (6/17更新)  アメリカ女が描く典型的なイタリア夢物語だ。しかし、ヒロインを始め登場人物のキャラクターは類型的、人間同士の出会いは不自然。夢物語に説得力を持たせるようなディテールもなく、ほとんどのプロットがうそ臭く退屈する。  お勧め度=★★ 
ヴェロニカ・ゲリン (6/15更新)  道端に捨てられた注射器で無邪気に遊ぶ子供たち。麻薬が日常生活にすっかり浸透し、街を支配している絶望感。そんな現実を目にした女性ジャーナリストが単身麻薬組織と闘う。映画は虚飾も誇張も廃してヒロインの行動を追う。 お勧め度=★★★ 
シルミド (6/12更新)  命がけで戦う男たちの姿は熱く胸を打つ。国のために命を捧げることを求められ、ミッションを成功させた後でないと、自由の身になれない。逃げるところがない男たちが、自分の肉体と精神を究極まで鍛えていく姿は美しいとすら感じる。  お勧め度=★★★★ 
21グラム (6/10更新)  愛の深さ、神の不在、命の再生。それらが21グラムといわれる命の重さを通じて語りかけてくる。「それでも人生は続く」というメッセージは、人生と戦えというような前向きなものではなく、生きることがすなわち苦しみといっている。  お勧め度=★★★* 
デイ・アフター・トゥモロー (6/8更新)  自然の猛威の前には人間の存在などいかに小さいかという教訓をヴィジュアルに表現することで、人間の環境に対する傲慢に警鐘を鳴らす。しかし、視覚的なリアリティはともかく、その天変地異の科学的根拠は素人でもこじつけに感じる。  お勧め度=★★★ 
深呼吸の必要 (6/5更新)  辛いことを忘れたい心には頭を使わない肉体労働が最良の薬。そして仲間とともにひとつの仕事をやり遂げることで、自分はひとりじゃないことを確認する。ありふれていてもなかなか出会えないことを思い出させてくれる作品だ。 お勧め度=★★★
キューティーハニー (6/3更新)  小学生の学芸会でももう少しましだと思わせるほどのサトエリの演技、子供向け変身ヒーロー番組にも劣る悪役の造形、CGを見慣れた目にはちゃちな特撮。最初の15分間で、大人ならこの映画を見に来たことを後悔するだろう。 お勧め度=★ 
スキャンダル (6/1更新)  時間をもてあました貴族がヒマをつぶすために恋にうつつを抜かし、ゲームと割り切って寝た女の数を競う。儒教的建前ばかり強調するよりよほど人間的な生き方であることは理解できるが、誠実な姿勢がないところに不快感を感じた。 お勧め度=★★ 
世界の中心で、愛をさけぶ   いつまでも風化せず心の中で美しく輝きを増す記憶。その記憶が今も生きていることの幸福。人を愛する気持ちが哀切を込めたソフトフォーカスの画面から溢れ出す。こんなにまで恋人に思われ続けるなら死ぬのも悪くない、と思わせる作品だ。  お勧め度=★★*
   

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2004年5月
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トロイ (5/29更新)  権力、愛、名誉。戦争を起こす時の人間の行動原理など当時と今とほとんど変わらないだろう。しかし、勇敢な行動は伝説となるというアキレスの行動原理の掘り下げ方が浅かったのが、この作品をうわべだけの大作にしてしまった。  お勧め度=★★★ 
レディ・キラーズ (5/18更新)  トム・ハンクスは饒舌に熱演しているが、まったくの空回りでミスキャストとしか思えないはずしかただ。コーエン兄弟のとぼけた雰囲気の仲にも鋭い切れ味をみせる演出も、この作品ではほとんど見られなず、コメディのセンスも悪い。  お勧め度=★★ 
パピヨンの贈りもの (5/25更新)  一見、優雅に羽ばたく蝶も、見ようによっては人の心のように不安定に舞っているように見える。捜し求めているものは意外とすぐそばにあり、もう一度自分の身の回りを見つめてみようというメッセージはあたたかく、さわやかだ。  お勧め度=★★★*  
スイミング・プール (5/22更新)  フレームを贅沢に使った空間的な間と、ミステリアスな音楽をたっぷりと使った時間的な間が見事にシンクロした映画的魅力にあふれた作品だ。二人の女優の緊張感あふれる演技が底の見えないプールのような深さを醸し出している。  お勧め度=★★★★ 
ビッグ・フィシュ (5/20更新)  どこの世界にも自分を大きく見せるためにホラを吹く男はいるが、それが自慢話になってしまうと聞いているほうは辛い。他人が語るならともかく、自分で自分の武勇伝を語る人間などこの映画の主人公でなくとも信用されないだろう。 お勧め度=★★* 
死に花 (5/18更新)  老人ホームで余生を送る老人たちの日常は、ボケと闘うことだけ。しかし、死ぬ前にまだできることはないかと模索し実行に移す主人公たちの行為は、もはや死を待つだけの老人とは決定的に違い、生きることの意義を教えてくれる。  お勧め度=★★★ 
花嫁はギャングスター (5/15更新)  伝説的な強さの女親分がさえない男と結婚するという、コメディとアクションの要素をうまく融合させることで本来なら上質なエンタテインメントとして昇華される題材だが、その匙加減を誤ったせいで中途半端な欲求不満だけが残った。 お勧め度=★*  
フォーチューン・クッキー (5/13更新)  2人の人格が入れ替わるというこれまで何度も作品化されてきた陳腐なテーマで、新しさといえば入れ替わるのが実の母娘ということぐらい。しかし、この作品は入れ替わった2人の変化に笑いもペーソスもなく、新鮮味のない出来栄えだ。 お勧め度=★* 
スクール・オブ・ロック (5/11更新)  型破りの先生が生徒たちに自分の考えをしっかり持つことの大切さを教えるという手垢のついたテーマなのだが、先生を売れないロック歌手という思い切って突き抜けたキャラクターにしたため、物語に活気が満ちあふれている。 お勧め度=★★★* 
パッション (5/9更新)  鉤爪のムチで打たれたイエスの皮膚は破れ肉は裂ける。正視に耐えないような凄絶な刑罰シーンが延々繰り広げられ、阿鼻叫喚に思わず目をそむける。イエスの受難を観客に味あわせるために、この悪趣味な見世物はまだまだ続く。  お勧め度=★★ 
永遠の語らい (5/7更新)  古代から中世にかけての遺跡や歴史的建造物をヒロイン母娘は訪れる。歴史を作った人、歴史に埋もれてしまった人、それぞれの時代に人間の営みがあり、それが連綿と続いて現代のわれわれがいるということを、この映画は教えてくれる。  お勧め度=★★★* 
みなさん、さようなら (5/5更新)  人生の最期を誰とどのように迎えるか。だれもがこの映画の主人公のように、愛する家族と仲のいい友人たちに囲まれてすごしたいと思うだろう。語り尽きぬ思い出話と人生に対する感謝、そんな、夢のような終末医療を描いている。  お勧め度=★★★  
コールドマウンテン (5/1更新)  たとえ一度しかキスしたただけの間柄でも、愛する人がいて愛されていることを知っているだけで人間はこんなにまで強くなれる。荒涼とした戦場と厳しい自然の中で、人間の命の可能性を突き詰めた映像は美しく厳然としている。 お勧め度=★★★*  
   

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2004年4月
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キル・ビル VOL2 (4/29更新)  70年代香港のカンフー映画とマカロニウエスタンに着想を得ているが、映像の作り方、カットの重ね方、音楽の使い方などオリジナリティに欠け、どこかで見たようなシーンの繰り返し。しかも無駄なセリフが多くて映画のテンポを殺いでいる。 お勧め度=★★* 
チルソクの夏 (4/27更新)  釜山で下関で七夕の夜に見上げる天の川のきらめきや、無限の将来を思い描いていた高校時代など、主人公がひたむきに生きる姿がひとつひとつ丹念に描かる。久しぶりに「映画の職人芸」というものを見ている気分になった。 お勧め度=★★★★ 
ホーンテッド・マンション (4/24更新)  不気味な執事、腹にいちもつ秘めた主人、頑固な使用人とおしゃべりなメイド、水晶玉のジプシー。お化け屋敷の定番キャラが主人公一家を待ち受ける。遊園地アトラクションのような映像体験だが、大人の鑑賞には物足りない。 お勧め度=★★ 
真珠の耳飾りの少女 (4/22更新)  オランダのどんよりとした空と街並みは色彩も控えめ、登場人物も大げさな感情表現はしない。そこにはたぎるような情熱を絵の具に乗せてキャンバスにたたきつけるような激しい芸術的葛藤は見られない。説明的な音楽が耳障りだ。  お勧め度=★★ 
オーシャン・オブ・ファイヤー (4/20更新)  主人公のキャラクターが中途半端だったことで映画自体も煮え切らない。灼熱の太陽と津波のような砂嵐といった自然条件の下で行われるレースの過酷さをもっとリアルに追求すればよかったのに、下手な冒険活劇のようになってしまった。 お勧め度=★★* 
列車に乗った男 (4/17更新)  もう若くはない。自分の過去を振り返ったとき、これでよかったのかと自問する。2人の男が織り成す会話は他人の人生への羨望と自分の人生への後悔に満ちている。そう、やってしまったことよりやらなかったことへの後悔だ。  お勧め度=★★★★  
ドラムライン (4/15更新)  メロディはない。ただスティックでドラムを叩くだけ。しかしそれが、時には獲物を狙う黒豹の息遣いのようになり、時には怒りをたたえた攻撃的なリズムになる。そして圧倒的なスティックさばきで対戦相手のプライドをずたずたに食い破る。 お勧め度=★★★ 
しあわせの法則 (4/13更新)  登場人物の設定を奇抜にしすぎ生活感がまったく感じられないために、空疎な絵空事のようにしか見えない。人物の描写に奥行きがなく、物語の展開もぬるい。それでいて複雑な人間の心理の微妙なゆらぎを描こうとするからもどかしい。  お勧め度=★★ 
スパニッシュ・アパートメント (4/10更新)  カネも力もないけれど、無限の可能性があると根拠なく信じることができたあの頃。若さだけが財産で体の疲れも心の傷もすぐ癒える。大事件から些細な喧嘩まで、すべてが思い出のアルバムの中に雑然と貼り付けてあるような映画だ。 お勧め度=★★★* 
イン・ザ・カット (4/8更新)  オープニングとエンドロールに流れる「ケ・セラ・セラ」の歌。「あまり気にするな」というような意味の歌詞だ。しかし、開き直ったジェーン・カンピオン監督が、こんな失敗作を作った自分に対して「ケ・セラ・セラ」といっているかのようだ。 お勧め度=★ 
殺人の追憶 (4/6更新)  ソウル郊外の農村で起きた連続婦女暴行猟奇殺人事件。この手の作品はパズルをはめ込むようにして事件の謎を解いていくのがセオリーだが、パズルの枠そのものがきちんと設定されていないため、いつまでも完成しないパズルのようだ。 お勧め度=★★ 
エレファント (4/3更新)  ありふれた学園生活の1日が突然非日常に襲われ、現実を認識することなく銃弾の犠牲になっていく。作為を感じさせないように精緻に計算された演出で、銃乱射事件は圧倒的な迫力とリアリティを奏で、作品は無限の奥行きをまとう。  お勧め度=★★★★* 
恋愛適齢期 (4/1更新)  現在恋をしている人はその恋がよりときめくものに思えるようになる。恋人がいない人には恋をするエネルギーを与えてくれる。恋が人生にもたらしてくれる最高の楽しみと悩みをコミカルなタッチで描く恋愛賛歌だ。  お勧め度=★★★ 
   

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2004年3月
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きょうのできごと(3/30更新)  鍋を囲んだ宴会の後は、酔いつぶれて寝込んだりテレビを見たりゲームをしたり。大学生の日常生活の一日を切り取りとった、誰もが持っている毒にも薬にもならない記憶。いつしかマッタリとした雰囲気にどっぷりと浸かってしまう。  お勧め度=★★★ 
花とアリス (3/27更新)  逆光とソフトフォーカスで少女の美しさと無邪気さを印象付け、不安定なカメラと不協和音寸前の音楽で彼女たちの気まぐれと残酷さを焼き付ける。うららかな映像は画面の隅々まで配慮が行き届き、過ぎ去った思い出のようだ。 お勧め度=★★★* 
めざめ (3/25更新)  闘牛士に重傷を負わせた牛の体の一部を手にした人々は運命の糸に操られ、新しい人生を踏み出していく。しかし、なぜその牛の肉体が不思議な力を持つのかをきちんと描いていないので、物語として有機的に機能していない。 お勧め度=★★*  
花と蛇 (3/23更新)  縛られ、吊るされ、陵辱される。その果てにあるのは恍惚とした愉悦の境地。杉本彩の気品ある表情が苦痛にゆがみ、恥辱にまみれ、自分自身を解放していく様子は、人間の心の奥深くにくすぶっているあらゆるタブーに対する挑戦だ。 お勧め度=★★★★ 
ペイチェック(3/20更新)  細かいところを突っ込むと矛盾はいくらでもある。だが、考えるいとまを与えないくらい次々と繰り出される謎解きとアクションにすっかり翻弄されるうちに上映時間はあっという間に過ぎてしまった。だが、ベン・アフレックが物足りない。 お勧め度=★★★ 
イノセンス (3/18更新)  難解な言葉をまぶした哲学問答や故事成語を使ったセリフ多く、それがいちいち解説的だ。「ハイテク用語に詳しいだけのアニメ作家と違い、オレは古典や哲学も研究しているんだ」という作者のミエが物語を安っぽいものに貶めている。 お勧め度=★★ 
カルメンcarmen. (3/16更新)  過去に何度もあらゆるジャンルで描かれてきた名作に、なんら新たな解釈を持ち込まずに映画化した工夫のなさは致命的だ。確かに映像も役者もきちんと作りこんで入るが、21世紀にふさわしい「カルメン」像を作り上げてほしかった。 お勧め度=★★*  
赤目四十八瀧心中未遂 (3/13更新)  小説を書けず流れ者になった作家がひたすら臓物に串を刺す。自分探しをするでもない、自分を見つめ直すでもない。自分自身の存在すら否定するかのように串焼き作りに精を出す。尼崎のうらぶれた感じと赤目瀧の優雅な美しさが対照的だ。 お勧め度=★★★★ 
ホテルビーナス(3/11更新)  描くべき物語が何もないのだろう。上っ面だけの表現術ばかりに凝ってはいるが、その画面から醸し出されるのは退屈以外の何者でもいない。久しぶりに「こんな映画は見ちゃいけない!」と自信を持っていい切れる映画だった。  お勧め度=* 
ゴシカ (3/9更新)  自分の見たこと、体験したことをすべて幻覚と決め付けられて話を本気で聞いてもらえない恐ろしさはよく描かれている。しかし、少女の幽霊はなぜ直接自分を殺した犯人に復讐しようとせず、ヒロインを巻き込むのだろうか? お勧め度=★★ 
悪い男(3/6更新)  このヤクザは言葉は発しない。強烈な視線だけで人の心に踏み込み圧倒してしまう。その目は決して媚びず恐れず鋭さを失わない。主人公を演じたチョ・ジェヒョンの圧倒的な存在感が作品に張り詰めた緊張感を与え、支配している。 お勧め度=★★★* 
マスター・アンド・コマンダー (3/4更新)  リアルに再現された19世紀初頭の木造戦艦、荒れ狂うマゼラン海峡、そして使命感に燃えた海軍士官たち。視覚的な部分ではディテールまでよく描かれているが、語り部となる人物を設定しなかったために物語が散漫になってしまった。 お勧め度=★★★ 
グッバイ、レーニン!(3/2更新)  自由には競争と責任が伴い、自分の人生は自分で切り開いていかなければならないこと旧東独市民は身にしみて思い知る。そして口には出さないが「社会主義のほうがよかった」という彼らの共通認識としてこの作品からにじみ出てくる。  お勧め度=★★* 
   

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2004年2月
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ドッグヴィル (2/28更新)  極限まで高められた緊張感がスクリーンを通して伝わってくる。閉鎖社会における人間のエゴが集団で剥き出しになり、それがひとりのよそ者に向けられていく過程はリアルで恐ろしい。まさに舞台を見ているような真剣勝負の映像だ。 お勧め度=★★★ 
ヘブン・アンド・アース 天地英雄(2/26更新)  壮大な砂漠でのロケ、人馬一体となった戦闘シーン、そして敵味方を超えた男同士の友情。CGもふんだんに盛り込んでハリウッドの大作並みの超娯楽作品を作ろうという意気込みは伝わってくるのだが、演出家の力量不足は明らかだ。 お勧め度=★* 
ションヤンの酒家(みせ) (2/24更新)  店がヒマな時はいつも金庫の裏ぶたについた鏡を見て自分の容貌を確かめている。まるで自分の容貌が金庫の中身を増やすと思っているようだ。生活に追われながらも女心も忘れない、そんな魅力的なヒロインをタオ・ホンが好演していた。 お勧め度=★★★ 
オアシス(2/21更新)  頭のねじがゆるんだ男と脳性まひの女の純粋な恋愛。しかし、ここで描かれているのは甘ったるい愛ではなく、のけ者同士の貪るような愛だ。長回しのカメラでねっとりと二人を追う演出は、リアリズムを超えてむしろ不快ですらある。 お勧め度=★* 
幸せになるためのイタリア語講座 (2/19更新)  大げさな感情表現も説明的な音楽もない。華麗なカメラワークもあっと驚くような表現技術もない。だが、そこには繊細な演技力と緻密な構成力があり、素人のビデオ映画を見ているようだがきちんと計算されたドラマが展開する。  お勧め度=★★★ 
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(2/17更新)  戦闘シーンには目を見張った。雲霞のごとき軍団に投石器や攻城櫓、破門槌までが登場し、攻撃パターンも多彩で、巨象が地響きとともに突進する姿は圧巻。デジタルサウンドを完備した映画館でしか味わえない大スペクタクルだ。  お勧め度=★★★*  
ニューオーリンズ・トライアル (2/14更新)  ゆがんだ銃社会と正義なき訴訟社会という米国が抱える社会的矛盾を鋭く衝く。さらにコンゲームのような趣まで装い、これぞエンタテインメントというべき虚虚実実の駆け引きと洗練された知的ゲームがスピーディに展開される。  お勧め度=★★★★  
ラブ・アクチュアリー (2/12更新)  こういう映画はディテールの積み重ねが命だ。それぞれの小さなエピソードにどこかに必ず観客が共感を呼ぶシーンを用意しておかなければならないはずなのに、この作品にはリアリティが乏しく共感できる部分が極めて少ない。 お勧め度=★★ 
かげろう (2/10更新)  表層的な奇妙なゆらぎに想像だけは膨らむが、実態は乏しい作品。夏なのに冬服、初めてなのにテクニシャンというよくわからないメタファーのおかげで、ヒロインにとっても観客にとっても少年の存在はまさに“かげろう”だった。  お勧め度=★★ 
ラブストーリー(2/7更新)  若い二人の恋は障害が大きいほど熱く燃え、結ばれなかったからこそ美しい記憶であり続ける。そんな恋愛物語の永遠のテーマを、現在と過去を行き来しながら丁寧に描く語り口は上質のミルクのように滑らかで繊細だ。  お勧め度=★★★★ 
25時 (2/5更新)  24時間後に収監されるドラッグディーラーが、服役することを極端に恐れ、「人生を台無しにした」などと泣き事をいう。前半、そんな彼の思い上がって甘ったれた人生観が描かれるが、それがラストシーンを果てしない悲しみに染める。 お勧め度=★★★* 
ルビー&カンタン (2/3更新)  ジェラール・ドパルデューのアホぶりが見事だ。過剰になる寸前で止めて、どこか憎めないところを残す。ドパルデューはそこから少し思考力や不純さユーモアを加えるという、絶妙の寸止め具合で役作りをしている。 お勧め度=★★★ 
   

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2004年1月
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シービスケット(1/31更新)  1930年代の雰囲気を忠実に再現している映像の作りこみは手が込んでいて、ラジオジョッキーの芸風はそれだけで時代の空気をリアルに伝えてくれる。また、マッチレースのスタート直後を見せないという演出にはうならされた。 お勧め度=★★★* 
ハリウッド的殺人事件(1/29更新)  何事にも過激な発砲事件にしてしまわないと観客は満足しないと思っているのだろうか、この作品の監督は。それに、ハリソン・フォードは肉体を駆使して事件解決を図るようなタフガイを演じるにはもはや歳を取りすぎている。 お勧め度=★★*  
タイムライン (1/27更新)  登場人物それぞれの思惑を中途半端に描くためにストーリーがぬるくなり、冒険や愛といったエンタテインメントの要素はふんだんに盛り込まれているのに、キャラクターの描き方に奥行きがないため薄っぺらい印象しか受けない。 お勧め度=★★ 
しあわせな孤独 (1/24更新)  女なら心の空白を埋めてくれる男にいつもそばにいてもらいたいだろう。男もまた心が通わなくなり始めた家族より、若くて美しい女に惹かれるのは当然だ。男女の心の機微を繊細なタッチで描いた映像は、饒舌だが洗練されている。 お勧め度=★★★★ 
リクルート (1/22更新)  あまりにも人間不信を助長するような描き方に、主人公だけでなく観客までこの作品世界が信じられなくなる。主人公が拠ってたつべき足場をきちんと作っておかなかったことが、この作品を消化不良なものに感じさせた。 お勧め度=★★* 
息子のまなざし(1/20更新)  手持ちカメラによる不安定な視点、俳優たちのリアリズムに徹した演技、登場人物たちの少しゆがんだ心理状態、少しだけ救いを持たせたラスト。カメラの冷徹な視線は主人公と同化し、彼の冷え切った心理状態を鋭くえぐりだす。  お勧め度=★★★ 
半落ち (1/17更新)  原作のプロットを追いかけるだけで、映画としては退屈。本来、妻殺しの警官が自首するまでの「空白の2日間」こそを埋めるべきなのに、本筋とはあまり関係のないエピソードを描きすぎてまとまりのない作品になってしまった。 お勧め度=★* 
ミスティック・リバー (1/15更新)  仲のよかった少年時代、忌まわしい事件がきっかけに友情が壊れ、本当に友達でなくなってしまうという悲劇。イーストウッド監督の丁寧な演出と3人の主演俳優たちの圧倒的な演技が、静謐な映像の中に失われた時間をあぶりだす。 お勧め度=★★★★ 
美しい夏キリシマ (1/13更新)  空襲もなく食糧不足もない。太平洋戦争最後の夏、霧島を望む田舎町では戦争中といえども暮らしはのどかだ。しかし、戦時でも人々は生活のために日常の些事をこなさなければならず、この作品はそうした普通の暮らしを丹念に描く。 お勧め度=★★★*  
ジョゼと虎と魚たち(1/10更新)  池脇千鶴が素晴らしい。ひねくれた下町のオバハンが使うような大阪弁を完璧に話す様子は、大竹しのぶ並みの貫禄すら感じる。プライドが高く口が悪いが親しみを抱かせるヒロインを演じる池脇の存在感は、この作品では圧倒的だ。 お勧め度=★★★★ 
10ミニッツ・オールダー イデアの森 (1/8更新)  「人生のメビウス」より、各監督が濃密に時間について考えている。だから余計に足かせが重くなり、理屈っぽくなったり、饒舌になったり。オチをきちんとつける作家もいれば、大上段にから自説を強引に押し付ける作家もいる。 お勧め度=★★★ 
ミシェル・ヴァイヨン (1/6更新)  絶妙にデジタル処理されたサウンドデザインとローアングルで路面を捉える車載カメラが、まるでサーキットにいるかのような臨場感を映画館の観客に味あわせてくれる。その一方で、ストーリーは何の工夫も説得力もなく幼稚だ。 お勧め度=★★* 
2003年あなたが選ぶベストムービー発表 (1/5更新)  1位「ラスト サムライ」 2位「HERO」 3位「シカゴ」 4位「女はみんな生きている」 5位「パイレーツ・オブ・カリビアン」 6位「戦場のピアニスト」 7位「インファナル・アフェア」 8位「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」 9位「過去のない男」 10位「パンチドランク・ラブ」 
コール(1/3更新)  主犯格の男が「計画は完璧だ」と言っているわりには被害者に素顔をさらし、指紋をべたべた残している。ケータイで連絡を取り合えば、通話記録も残るだろうに・・・。素人でも「これじゃすぐ捕まるわい」と思ってしまう。 お勧め度=★★ 
   

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