ホルテンさんのはじめての冒険 |
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| 寸評 | 苦虫を噛み潰したような表情を終始変えず、感情を殺して生きているような主人公がふとしたきっかけで日常を踏み外していく。映画は彼の姿を通して、小さな驚きと新しい出会いが人生を豊かにしてくれるということを静かに語る。 |
| ポイント | ★★* |
| DATE | 09/2/23 |
| THEATER | BLC |
| 監督 | ベント・ハーメル |
| ナンバー | 44 |
| 出演 | ボード・オーヴェ/ギタ・ナービュ/エスペン・ションバルグ/ヘンニー・モーアン |
| 批評 | ネタばれ注意! 結末に触れています 苦虫を噛み潰したような表情を終始変えない謹厳実直な男。数十年もの間、時間を厳守する仕事についているうちに、感情を殺して生きる術を身につけたのだろう。どんなときも運行スケジュール優先、自己の都合など後回しにしてきた結果、真面目なだけがとりえの面白みのない人間になってしまった。そんな主人公がふとしたきっかけで日常を踏み外していく。それは他人から見ればほんの一歩に過ぎないが、彼にとっては冒険にも等しい大きな体験。映画は内面から変化していく老人の姿を通じて、小さな驚きと新しい出会いが人生を豊かにしてくれるということを静かに語る。 定年退職を間近に控えたオッドは同じパターンをかたくなに守る運転士だが、永年勤続を表彰するパーティの二次会に行く途中のトラブルで、翌日の勤務を無断欠勤してしまう。その機会にボケた母を見舞い、大切にしていたヨットを売り、サウナに泊り込む。 オッドはどんな状況になっても落ち着いた対応ができる。侵入したアパートの家族に見つかりそうになっても、空港で迷子になったうえに不審者として拘束されても、プールに裸の若い女が飛び込んできても、冷静さを失わない。盲目ドライブの元外交官が死んでも、まるで気持ちが動かされなかったかのような態度。カメラはオッドから一定の距離をとり淡々とした視線で彼の行動を見つめる。その描き方は、明らかにアリ・カウリスマキのテイストをまねているのだが、どこか表層をなぞっているだけで、しみじみとした味わいを出すには至っていないのが残念だ。むしろあまりにも抑揚のないトーンに居心地の悪さすら感じてしまう。 やがてオッドはスキージャンプの選手だった母の夢を追って、スキー板を担いでジャンプ台に上る。それは心の叫びを押さえつけて生きてきた今までの自分からの解放。過去と決別し、規則に縛られた生活から脱却した後、憑き物が落ちたように軽やかになったオッドが、なじみの食堂のオバサンにはじめて見せる笑顔はまぶしかった。 [http://www.otello.com.ua/:title=↓その他上映中の作品はこちらから↓] |