フィクサー MICHAEL CLAYTON |
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| 寸評 | 人は何をきっかけに良心に目覚めるのだろう。利潤優先の巨大企業と顧問料目当ての法律事務所、彼らの下請けで汚れ仕事を引き受けるフィクサーの反撃を描く。どこまでも生身の人間の感情にこだわった人物造形が非常にリアルだ |
| ポイント | ★★★ |
| DATE | 08/4/12 |
| THEATER | THYK |
| 監督 | トニー・ギルロイ |
| ナンバー | 89 |
| 出演 | ジョージ・クルーニー/トム・ウィルキンソン/ティルダ・スウィントン/シドニー・ポラック |
| 批評 | ネタばれ注意! 結末に触れています 人はいったい何をきっかけに良心に目覚めるのだろう。利潤優先の巨大企業、顧問料目当ての法律事務所、下請けで汚れ仕事を引き受けるフィクサー。それぞれがカネという絆だけでつながっていて、社会的な「悪」でさえ利益の前では正当化される。しかし、彼らの関係は一度ひびが入るともろく、切り捨てられたものほど恨みは強くなる。表向きは辣腕を振るうトラブル掃除人、私生活はギャンブルと借金まみれというくたびれた主人公をジョージ・クルーニーは陰影の濃い表情で好演する。 発がん性物質を含む農薬を販売し集団訴訟を起こされていた国際企業の顧問弁護士・アーサーは、危険を指摘した報告書を手に入れて、原告側に寝返って暴露しようとするが不審死する。アーサーの死を調査するマイケルは企業側の隠蔽工作に気付き、彼もまた命を狙われる。 会社をスキャンダルから守るためには殺人さえいとわない企業の論理。その会社を守るという表向きの理由の陰で、実は保身が一番大切な経営者と管理職。大企業でも法律事務所でも、高給を得るほど倫理観が欠如していく。マイケルも彼らの尖兵として最初はアーサーの身柄を押さえようとするのだが、事件の真相を知った自分も命を狙われていると知って行動を起こす。マイケルの動機が友情や正義といったきれいごとではないというところが、社会派ぶっていなくてよかった。 上昇志向が強い企業の広報部長がリアルだ。上司や株主の前で話す内容を自宅で何度もリハーサルし、自分がどのように見えるかを入念に鏡でチェックする。エクササイズも欠かさず、理論武装だけでなく外見も健康的に見えるように努力を怠らない。まるで「成功本」を熟読し体現しているような女性。そんな彼女も鋼鉄の意志を持っているわけではなく、殺人指令を出すときには躊躇するし、マイケルに弱みを握られたときにはおびえた表情を見せる。どこまでも生身の人間の感情にこだわった人物造形が見事な作品だった。 [http://www.otello.com.ua/:title=↓その他の上映中作品はこちらから↓] |