草の乱 |
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| 寸評 | 美しい山並み、緑濃い秩父の村で養蚕で生計を立てている農民たち。蚕が桑の葉を食むコソコソという音。繭から糸を紡ぐ女。そういうディテールを丁寧に描くことで120年前の農村生活を再現し、この作品に命を吹き込んでいる。 |
| ポイント | ★★★* |
| DATE | 04/9/9 |
| THEATER | 有楽町スバル座 |
| 監督 | 神山征二郎 |
| ナンバー | 104 |
| 出演 | 緒方直人/藤谷美紀/杉本哲太/林隆三/田中好子 |
| 批評 | ネタばれ注意! 結末に触れています 出演者、制作者、ボランティア。この映画を作るのに参加した人たちの情熱がスクリーンからほとばしるような熱気をはらんでいる。美しい山並み、緑濃い秩父の村で養蚕で生計を立てている農民たち。蚕が桑の葉を食むコソコソという音。繭から糸を紡ぐ女。そういうディテールを丁寧に描くことで120年前の農村生活を再現し、この作品に命を吹き込んでいる。また、反乱軍と政府軍が衝突するシーンも山間部で丁寧にロケが行われている。 1884年生糸価格の暴落と相次ぐ重税で養蚕農家の破産が相次ぐ秩父地方。困窮する農民は次々と高利貸しに身代を取られて没落していく。政府打倒を目論む困民党は3000人あまりの農民を率いて武装蜂起、高利貸しを襲い、さらにその矛先は無策な役所や警察に向く。 物語はこの反乱で死刑判決を受けながらも逃亡に成功した反乱軍幹部・井上という男の語りで始まる。一緒に蜂起した仲間が死に絶えた中、ひとりその身分を隠して北海道に逃げ延びた男の回想。井上は秩父の生糸商だったが農民の窮状を見かね、反乱に参加する。自由党やその流れを汲む困民党の手を借り、地元の名士や有力者たちが指導部に名を連ねる。そのあたり、登場人物が多くなかなか整理しきれない。反乱軍も当然いくつかの部隊に分かれて行動するわけだから、戦闘・敗戦・逃亡といったシーンは井上のいた部隊だけに絞ったほうがスッキリしたはずだ。それ以外の井上自身が直接見ていない部隊のエピソードなどは、井上のナレーションという形で整理すればよかったはず。 それにしてもいまどきの日本映画で、これだけの人員を山深いところに集めて映画を撮影するというパワーは大変なものだ。地元の人々をボランティアで大量動員したそうだが、そこからはCGにはない圧倒的な質感と体温が伝わってくる。テレビ局などとのタイアップではない、純粋な映画を見た気分になった。 |