誰も知らない |
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| 寸評 | 手持ちカメラで丁寧に撮影された映像は独特の距離感を生み、登場人物の内側に踏み込むことを許さない。それでも明を演じた柳楽優弥まなざしは瞬時にして怒りや諦め、そして考える前に行動に移す者だけが持つ鋭さを内包している。 |
| ポイント | ★★★* |
| DATE | 04/8/15 |
| THEATER | チネチッタ川崎 |
| 監督 | 是枝裕和 |
| ナンバー | 94 |
| 出演 | 柳楽優弥/北浦愛/木村飛影/清水萌々子/韓英恵/YOU |
| 批評 | ネタばれ注意! 結末に触れています 12歳で大人にならなければならない少年。3人の兄弟の面倒を押し付けられ、学校にも行けずひっそりとマンションの一室にこもって暮らす。やがて所持金は底を着き、ただその日を生き延びるということが目的になるような日常が訪れる。夢や希望などという甘いものではなく、水と食べ物を調達するという生活。長男としての責任感に押しつぶされそうになりながらも、一方でそういう暮らしに順応してしまう。そんな子供たちの順応力・生命力の強さには感動を覚える。 それぞれ父親が違う4人兄弟。無責任な母親はある日、長男の明に弟・妹たちを押し付けて失踪してしまう。最初は母が帰ってくると信じてきちんと生活していた兄弟も、やがて生活費が底をつき、電気・水道などが止められると母親のことなど忘れしまう。カネを得る手段はなく、洗濯と飲料水は公園から、食料はコンビニの期限切れをもらう。明だけは兄弟の日々の暮らしを維持するために懸命に走り回っているが、そんな時一番下の妹が死んでしまう。 大人に見捨てられても絶望している余裕などない。かといって兄弟が一緒に暮らしていくためには、犯罪行為も犯せない。まるで世間からその存在を消し去って生きていかなければならない兄弟。その重荷をすべてひとりで背負っている明を理解できるのは登校拒否の女子中学生だけ。感情が臨界点に達する寸前で押さえる明のたまらない寂寥感と切ない悲壮感が張り詰めたスクリーンから観客を射抜く。 手持ちカメラで丁寧に撮影された映像は独特の距離感を生み、登場人物の内側に踏み込むことを許さない。あくまで第三者としてこの兄弟を見つめるだけだ。それでも明を演じた柳楽優弥まなざしは瞬時にして怒りや諦め、そして考える前に行動に移さなければ生き抜いていけない者だけが持つ鋭さを内包している。ただ、エピソードとエピソードの間の無駄なつなぎシーンが多くテンポをのろくしている。やはりこれは演出家が編集をかねることの弊害だろう。もう20分刈り込めば、映画自体がもっとシャープな印象になったことは間違いない。 |