16歳の合衆国 THE UNITED STATES OF LELAND |
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| 寸評 | 突き放すような怜悧なカメラと乾いた色彩の映像は、この作品の抱く深く大きな哀しみを強調する。殺人事件を起こした少年と矯正施設の教官の会話からその哀しみの理由を知ろうとするほど袋小路に突き当たり、出口が見えない。 |
| ポイント | ★★* |
| DATE | 04/8/10 |
| THEATER | シネマスクエアとうきゅう |
| 監督 | マシュー・ライアン・ホーグ |
| ナンバー | 91 |
| 出演 | ライアン・ゴズリング/ドン・チードル/ジェナ・マローン/ケビン・スペイシー |
| 批評 | ネタばれ注意! 結末に触れています 突き放すような怜悧なカメラと乾いた色彩の映像は、この作品の抱く深く大きな哀しみを強調する。しかし、その哀しみを理由を知ろうとすればするほど袋小路に突き当たり、出口が見えない。殺人事件を起こした少年と矯正施設の教官の会話の中で徐々に見え始める少年の心の奥にも、答えは見出せない。人間の心はいつ壊れるのか、なぜ壊れるのか、そしてそれは一瞬の出来事なのか継続した積み重ねの末に訪れるものなのか。さまざまな記憶の断片でその瞬間だけが思い出せない少年の心に、残酷な記憶の映像が突き刺さる。 恋人の知的障害をもつ弟を刺し殺してしまったリーランド。矯正施設に収監され大人たちはその理由を知ろうとする。しかし、リーランドには自分が殺人を犯した理由が思い浮かばない。ただ、刺し殺したという事実が残るだけ。しかし、施設の熱心な教官・パールには徐々に自分のことを語り始める。 祖母の死、父親の不在、恋人の裏切り。もちろんそうしたことが事件の遠因となっていることはうかがえる。しかし、リーランドとパールの会話をもっと深く掘り下げることでリーランドの心の闇に迫る努力をすればいいのに、パールがリーランドに執着する動機や事件のときには外国にいた父親、恋人の家族がなめる悲しみなどを挟み込むから混乱する。リーランドの心を知るのに事件以降の施設外部の描写など必要ないはずなのに、そうした描写に時間を割くのは、物語の焦点をぼかされているような感じのいらだたしさが募る。 結局、リーランドの独白のように恋人の弟を殺したことに理由などないのだ。そのとき、殺したいという衝動が彼を襲っただけ。普通の少年が突然キレることに対して、この映画は何の答えも導かない。そして、こうした少年事件が多発する背景にどういう問題があったのか作者なりの解釈を加えずにリーランドを殺してしまう。このラストシーンはあまりにも無責任だ。 |