こんな映画は見ちゃいけない!

ドリーマーズ THE DREAMERS

ドリーマーズ
寸評 シネマテークで映画に浸り、人生の大切なモノはすべて映画から学べると信じていた3人の若者。そんな'68年という時代設定に胸を躍らせたが、世界の変革に背を向けて幼稚なゲームに熱中するにいたってすっかり興を殺がれた。
ポイント ★★*
DATE 04/7/31
THEATER シネスイッチ銀座
監督 ベルナルド・ベルトリッチ
ナンバー 89
出演 マイケル・ピット/エヴァ・グリーン/ルイ・ガレル/
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

学生たちがまだ体制や権力に抵抗し、社会を変えていこうというパワーがあった時代のパリ。映画は映画館で見なければならず、一度見逃すとチャンスはなかなか訪れない。シネマテークで映画に浸ることに青春を費やし、人生の大切なモノはすべて映画から学べると信じていた3人の若者。そういう時代設定に胸を躍らせたが、世界の変革に背を向けて内にこもって幼稚なゲームに熱中するにいたってすっかり興を殺がれる。

アメリカ人留学生・マシューはシネマテークでイザベルとテオという双子の姉弟と親しくなり、彼らの両親が旅行に出かける間、アパートに転がり込む。姉弟はまるで恋人同士のように仲がよく風呂、トイレ、ベッドまで一緒。そんな二人にマシューはフランス人の特異性を感じるが、やがて奇妙なゲームが始まるにいたって、この姉弟がただ単に自分たちの世界から外に出ないようにバリアを張っているだけだと気づく。

舞台となった'68年当事ですでに古典となっていた映画のワンシーンをちりばめ、それを若者たちが再現クイズにするというシーンは映画ファンには懐かしい。映画が単に娯楽ではなく社会を変える力を持ったアートだった時代への強烈なオマージュとなっている。ルーブルを駆け抜ける時間を競うシーンなど、青春のエネルギーが爆発していて楽しい。だが、3人の間でセックスが介在するようになってからはトーンダウン。姉弟が傷つけあうようにしか愛し合えなくなる。マシューはイザベルの体におぼれ、イザベルもそれに答える。嫉妬とも羨望とも取れる自分の気持ちにテオは混乱する。それでも3人は一緒にバスタブにつかり、同じベッドで寝る。もはやこのあたりの心理描写は理解の範疇を超えている。

やがて、マシューはそんな常識はずれの行動がすべて今の心地よい生活を壊したくないという姉弟の現実逃避であると喝破する。おりしも革命が始まりデモ隊と警官隊が衝突する。ここで真っ先にテオが火炎瓶を投げ、暴力否定派のマシューは取り残される。そこで「君たちは夢を見ていたいだけだ」と姉弟に現実を突きつけたマシューもまたベトナム戦争に徴兵忌避したことで社会と戦った気になっていただけで、マシューこそがドリーマーだと気づく。結局この作品がいいたかったのは、理論より行動。そこに行き着くまでがあまりにも回りくどかった。