こんな映画は見ちゃいけない!

マッハ! ONE-BAK

マッハ!
寸評 トニー・ジャーの驚異的な身体能力の前では、幼稚なストーリー展開やフィルムの質など気にならない。CGやワイヤーを使わず、人間の肉体だけでもここまで圧倒的な映像を作り上げたことに、この映画の作り手に敬意を持ってしまう。
ポイント ★★★*
DATE 04/7/24
THEATER 池袋シネマサンシャイン
監督 ブラッチャヤー・ピンゲーオ
ナンバー 88
出演 トニー・ジャー/ペットターイ・ウォンカムラオ/プマワーリー・ヨートガモン/スチャオ・ポンウィライ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

トニー・ジャーの驚異的な身体能力の前では、幼稚なストーリー展開や発色の悪い安物のフィルムのクオリティなど気にならない。危険な目にもあっただろう、大ケガもしただろう。しかし、CGやワイヤーを使わず、人間の肉体だけでもここまで圧倒的な映像を作り上げることができたということに、この映画の作り手に敬意を持ってしまう。

タイのいなか、村人から守護神とあがめられている仏像の首がマフィアに盗まれる。それを取り戻すために単身バンコクに出てきた村一番のムエタイの使い手・ティンは、マフィアの罠に嵌りアングラファイトで闘う羽目になるが、圧勝。マフィアのボスに命を狙われる一方で、協力者を得て仏像の首に迫る。

何といってもスピードだ。街でチンピラに追われるシーンでは、風のように疾走し、有刺鉄線の輪をくぐり、ガラスの間を側転ですり抜け、四駆の下をスライディングする。格闘シーンでは、目にもとまらぬ速さで繰り出されるキック、予想もしない角度から飛び出すひじうち、抜群のジャンプ力が破壊力を倍増させるひざ蹴り。いままでのハリウッドや香港にないムエタイを基礎にしたファイトは、まばたきするのを我慢しなければならないほど密度が濃い。しかも、肉体のあらゆる部分を自在に操るトニー・ジャーの動きは、簡単にはマネのできないもの。ブルース・リーを初めて見たときのような衝撃だ。

鍛え上げた人間の肉体の美しさと無限の可能性をこの作品は教えてくれる。CGでめくるめくような映像を作ることに心血を注いでいるハリウッドとは対照的に、久しぶりに人間の血が通ったアクションを見ることができた。この映画が全世界で公開されたあとでは、ジャッキー・チェンは引退を余儀なくされ、ジェット・リーは演技派に転向するしかないだろう。