こんな映画は見ちゃいけない!

ウォルター少年と、夏の休日 SECONDHAND LIONS

ウォルター少年と、夏の休日
寸評 男の世界を知ることで大人になるという少年の通過儀礼。母親に捨てられた少年が年長者の元で成長するという物語は珍しくないが、余生を持て余していた老人たちが少年の登場によってかつての情熱と冒険心を取り戻す姿が楽しい。
ポイント ★★★
DATE 04/7/10
THEATER 丸の内ピカデリー
監督 ティム・マッキャンリーズ
ナンバー 80
出演 マイケル・ケイン/ロバート・デュバル/ハーレイ・ジョエル・オスメント/ニッキー・カット
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

母親の支配から逃れ、男の世界を知ることで大人になるという少年の通過儀礼。母親に捨てられ二人の偏屈じいさんの元に置き去りにされたウォルターという少年が、ひと夏で自立したたくましい男に成長するという物語は珍しくない。そこに余生を持て余していた老人たちもまた少年の登場によってかつての情熱と冒険心を取り戻す姿が楽しい。

莫大な財産を隠し持っているとうわさされているハブとガースの二人の老人の元にウォルターという少年があずけられる。人間嫌いの変人と母に捨てられ人を信じられなくなった少年の奇妙な共同生活。そんななかウォルターはガースから二人の若いころのとてつもない冒険話を聞かされる。アラブの姫と恋に落ちたハブが活劇さながらの勇気と行動で族長から姫を奪うというのだ。

自分の武勇伝を自分で語るという「ビッグ・フィシュ」の愚を避け、ガースがハブのとても信じられないようなアドベンチャーを語るという設定にしたのがよい。ハブは決して過去を語ろうとはせず、ウォルターもガースの話は半信半疑なのだが、ハブは街のチンピラ4人を一瞬にして倒すという驚異的な強さを見せることで思い出話に信憑性を持たせる。老人たちの体を張った行動を見ることでウォルターは人を信じる気持ちを取り戻していくとともに、自分の意思で行動し、自分の人生は戦うことで勝ち取っていかなければならないということを学んでいく課程が押し付けがましくなく描かれていてすがすがしい。

一方で老人たちもまたウォルターに自分たちの生き様を見せることで変わっていく。アラブの族長から奪ったカネを使い、青春の輝きを取り戻していく。日々衰えていく気力体力を奮い立たせ、自分のためだけに時間もカネも惜しみなくかける。そして大人になったウォルターは夢を売る商売に就いているが、最後にはガースの話が本当だったと明かされる。夢を追い冒険に胸を弾ませる、これこそ二人の老人がウォルターに残した最大の遺産だ。