堕天使のパスポート DIRTY PRETTY THINGS |
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| 寸評 | 搾取される不法移民という構図だけでは目新しさはないが、謎のナイジェリア人を絡めたことがこの作品をミステリアスにしている。ロンドンという都会で幽霊として生きている彼の複雑な事情を解き明かすことが物語に奥行きを与えている。 |
| ポイント | ★★★* |
| DATE | 04/7/8 |
| THEATER | メディアボックス |
| 監督 | スティーブン・フリアーズ |
| ナンバー | 79 |
| 出演 | キウェテル・イジョフォー/オドレイ・トトゥ/セルジ・ロペス/ソフィー・オコネドー |
| 批評 | ネタばれ注意! 結末に触れています 不法滞在、低賃金労働、臓器売買。経済難民は結局食い物にされ、捨てられる。純粋に弱肉強食の世界だ。体が弱くうまく立ち回れない人間は志半ばにして命を落とす。長時間の肉体労働に低賃金で耐え、移民局の手入れにおびえながら息を潜めるようにして生きる。夢と希望を求めてきたはずなのにそこで待っていたのは故郷より厳しい暮らし。後戻りできない状況であきらめと絶望の中で生きていくしか選択肢はない。 昼間は運転手、夜はホテルの夜勤をしているナイジェリア人・オクウェは同じホテルで働くトルコ人・シェナイの家でつかの間の休憩を取る関係。ある夜、オクウェがホテルの部屋から人間の心臓を見つけたことから正体がばれ、臓器摘出手術をもちかけられる。一方、シェナイは偽造パスポートを手に入れるために腎臓を売る決意をする。 搾取される不法移民という構図だけではもはや目新しさはないが、オクウェという謎を秘めたナイジェリア人を絡めたことがこの作品をミステリアスにしている。英仏語だけでなくアフリカ部族の言葉もいくつか操るインテリ。故国では医者としてエリートの道を歩んでいたのに、政府ににらまれ殺人犯の濡れ衣を着せられた男。他の不法移民と違い、指名手配されている身なのだ。だからこそトラブルを避け、犯罪にも手を染めず、ロンドンという都会で幽霊として生きていかなければならない。彼の複雑な事情を解き明かすことがもうひとつの核となりこの作品に奥行きを与えている。 偽造パスポートをえさに不法移民の腎臓を売買するブローカーがこの作品のキーになっているが、この男の狡猾さもまた大都会の裏社会を代表している。表向きはホテルの支配人。臓器摘出手術にホテルの部屋を貸している。最後には弱き者は救われ、悪党は裁きを受ける。それでもスッキリしないのはオクウェとシェナイの物語はこの2人で終わるのではなく、不法移民とそれに群がり搾取しようという人間がいる限り続くからだ。 |