こんな映画は見ちゃいけない!

子猫をお願い

子猫をお願い
寸評 何の利害関係もなかった時に培った友情より、今の生活や仕事が大事になったとき、友情は壊れ人々は別々の道を歩み始める。仲良し5人組がたどる閉塞感と孤独という青春の陰の部分を、リアルなエピソードで綴る構成は秀逸だ。
ポイント ★★★*
DATE 04/6/29
THEATER ユーロスペース
監督 チョン・ジェウン
ナンバー 76
出演 ペ・ドゥナ/イ・ヨウォン/オク・ジヨン/イ・ウンシル/イ・ウンジュ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

自分が何者でもなかった高校時代、ただ学校に集まるだけで友情を確認することができた。しかし、卒業して2年、それぞれが別の道を進み別の世界を持ち始めると、友情を維持するだけでも膨大なエネルギーが必要とされることに気付く。電話をしてもすぐには会えない。その電話すら忙しいと言って一方的に切られてしまう。何の利害関係もなかった時に培った友情より、今の生活や仕事が大事になったとき、友情は壊れ人々は別々の道を歩み始める。そんな、仲良し5人組がたどる青春の陰の部分をリアルなエピソードで綴る構成は秀逸だ。

高校時代はどこに行くのも一緒だった仲良し5人組、OLになったヘジュ、家業を手伝うテヒ、イラストの勉強中のジヨン、露天商になった双子のピリュとオンジュ。大企業に勤めながらも学歴格差で悩むヘジュがほとんどプータローに近いジヨンと行き違うようになって、5人の友情にひびが入り始める。

高校を卒業しても就職しない、別に働かなくても生きていける、将来に明確な夢を持てない、そんな若年層の非就職率は韓国でも高いのだろう。そうかといって若さのエネルギーをもてあまして暴走するわけでもない。打ち込めるものがないけれど、世の中を恨んでいるわけでもない。そんな宙ぶらりんな自分にあせりも感じている。そして閉塞感と孤独だけが日々募っていく。この5人の女子のエピソードは、家が崩落して育ててくれた祖父母がなくなるという悲劇に見舞われたジヨン以外は現代の若年層の心理を巧みに描き、その心情が痛いほど伝わってくる。

ここでも家族の崩壊は深刻だ。唯一家族がそろっていたテヘは家出するし、ヘジュもジヨンも家族を失う。結局、双子という自分の分身と分かちがたく一緒にいるピリュとオンジュだけが幸せそうに見えた。やはり最後に頼れるのは肉親だけなのだ。ラスト、テヘとジヨンは2人で新しい世界に旅立つが、彼女たちの将来とてどうなるかわからない。現実逃避なのは分かっている。それでも今より悪くはならないという若さゆえの楽観があるからこそ行動に移せるというメッセージにわずかな光明が見えた。