阿修羅のごとく |
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| 寸評 | 役柄をよく理解した出演者たち、細かいところまで目の行き届いた演出、そしてテンポのよい脚本。どれをとっても職人芸を思わせる円熟味を感じさせる。この作品には人生を平穏に生きようとする女の知恵が凝縮されている。 |
| ポイント | ★★★★ |
| DATE | 03/11/8 |
| THEATER | 109シネマズ港北 |
| 監督 | 森田芳光 |
| ナンバー | 140 |
| 出演 | 大竹しのぶ/黒木瞳/深津絵里/深田恭子/小林薫 |
| 批評 | ネタばれ注意! 結末に触れています 父親の不倫の事で話があると4姉妹を集め、一気に4人の性格や生活環境を紹介するという冒頭のシーンの手さばきは見事だ。何事にも動じなくなった長女、小心な主婦の次女、男に縁のない神経質な三女、そして奔放な四女。この四人のキャラクターを一堂に集めた上でテンポよく交通整理する。男性の観客にはやっぱり女の笑顔は信用できないと、女性の観客には自分にもこんな経験あると、客層を問わず共感を得ることができる導入部から作品に引き込まれる。 平穏な暮らしをしているかに見える四姉妹が、父親の不倫騒動をきっかけにそれぞれもまた身近な悩み事を抱えていることがお互いの知れるところになる。女だから、当然悩みは男のこと。四姉妹がお互いに少しずつ干渉しながら、結局は肉親同士喜びも悲しみも分かち合う。4人それぞれ違った性格ながらも、次女と三女の間が離れているため、長女と次女、三女と四女といった二組のペアに分かれてしまう。そのあたり2組の二人姉妹というようにも思える構成だ。 笑顔の下に怒り、妬み、憎しみを隠し持つ阿修羅。それがタイトルの由来だ。しかしここで描かれているのはそういう負の感情を持ちつつも、表面は笑って涼しい顔をしているという女性の処世術だ。しかもそれを否定的にとらえるのではなく、世の中を波風立たせないように丸く治めようという、女の知恵として積極的に肯定しているところがよい。最後に母親の遺品を見つけるシーンで、家族のために自分を犠牲にして働きづめに働いてきた自分たちの母こそ本当の阿修羅だったと知る四姉妹の表情がいい。 大竹しのぶ、仲代達也、八千草薫といった大ベテランがこの作品世界にはまりすぎている上、中堅俳優もきちんと役柄を理解して味を出している。惜しむらくは中村獅童扮する調査員。彼だけが演技の方向性を間違えている。原作、脚本、演出、出演者、それらが程よくバランスがとれ、細かいところまで目が行き届いている。円熟した職人芸を見るようだった。 |