こんな映画は見ちゃいけない!

キル・ビル vol.1 KILL BILL: VOLUME 1

キル・ビル
寸評 この作品のどこにクリエイティビティを見出せというのか。ブルース・リーから深作、果てはハリウッド映画の名作の中から使えそうなシーンを切り取りつないでいるだけ。これでは先達の残した偉業に対し失礼千番ではないか。
ポイント ★★
DATE 03/10/25
THEATER 109シネマズ港北
監督 クエンティン・タランティーノ
ナンバー 132
出演 ユマ・サーマン/ルーシー・リュー/デイヴィッド・キャラダイン/千葉真一
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

この作品のどこにクリエイティビティを見出せというのか。6年間の沈黙の間、タランティーノはひたすら過去の作品を研究していたのだろう。ブルース・リーから深作、果ては「マトリックス・リローテッド」までアイデアを盗みまくっている。そうしたアクション映画の名作の中から使えそうなシーンを切り取りつないでいるだけ。これでは先達の残した偉業に対し失礼ではないか。

結婚式の途中に仲間に裏切られ、おなかの子供まで殺された女殺し屋が復讐の旅に出るという物語。一命を取り留めた彼女は最初に黒人の殺し屋を始末したあと、日本ヤクザの大親分になった日系の殺し屋を追って東京に来る。途中、沖縄で日本刀を調達し、その折武士道についての講釈を受けたりもする。そして、東京の親分の所に単身殴り込みをかける。

ユマ・サーマン扮するヒロインは「死亡遊戯」の様な黄色のボディスーツに身を包み、日本刀を振り回す。その見せ場となる大格闘シーンは物まねのオンパレードでどこかで見たシーンをソックリ盗用しているだけ。しかも派手な血飛沫と切り落とされた手足の散乱がエスカレートし、できの悪いスプラッタームービーにしか見えない。こんなものを見てすごいと思うのはよほど映画を見ていないバカに違いない。

また、ルーシー・リュー扮する女親分の生い立ちをアニメで語るのも意図が理解できない。緻密な日本アニメではなく、線の雑なアメコミ風だし、そこだけ流れが止まっている。音楽もマカロニウエスタン風から任侠ソングまで多彩だが、それもちぐはぐ。いや、あえてミスマッチを狙ったのだろうがセンスが悪いために単にダサいという印象しか受けない。ミスマッチは上手に処理してこそクールに見えるのだ。また、これまで時制を破壊する編集の妙で見るものをうならせてきたタランティーノだが、今回はきちんと時間の経過を説明する。それもいちいち「chapter**」と但し書きを入れるのでわずらわしい。しかも、こんなに細かく章立てする必要はまったくないはずだ。「VOL.2」に続くが、亡き深作監督に捧げても恥ずかしくないような作品を作ってもらいたいものだ。