こんな映画は見ちゃいけない!

天使の牙

天使の牙
寸評 警察映画としてはキャラクター設定がめちゃくちゃだし、犯罪組織を描いているわけでもない。ラブストーリーなのかと思ったが、その愛には切なさがない。すべてが中途半端で、映像だけはイケていると思っているようだ。
ポイント ★*
DATE 03/8/23
THEATER 109シネマズ港北
監督 西村了
ナンバー 105
出演 大沢たかお/佐田真由美/萩原健一/佐野史郎/黒谷友香/西村雅彦
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

警察映画としては刑事のキャラクター設定がめちゃくちゃだし、犯罪組織を描いているわけでもない。ラブストーリーなのかと思ったが、その愛には切なさがない。すべたが中途半端なまま、映像だけはハリウッドのCG技術を真似している。結果として何が言いたいのかよく分からない作品になってしまった。原作を読んでいないとストーリーそのものも理解できないだろう。

射殺された女刑事・明日香の脳が脳死した麻薬王の愛人・はつみに移植され、明日香ははつみの体で復活する。明日香は麻薬王の下にはつみとして潜り込み麻薬組織の撲滅を図る。一方、明日香の恋人は単身潜入捜査、麻薬王の下で再会を果たすことになる。

しかし、警察組織の描き方がめちゃくちゃで、裏切りにつぐ裏切り、何を描きたいのか混乱している。というか、裏切り者の登場の仕方が唐突で、どんでん返しというよりただ場当たり的なだけだ。麻薬王のほうも簡単に部下を殺してしまう割には、はつみという女にだけは異常に執着している。この麻薬王とはつみのいきさつをもう少し詳しく描き、なぜここまで麻薬王がはつみを愛しているのかを描かなければ物語に深みが出ないではないか。

また、復讐に燃える刑事に扮した大沢たかおがまったくのミスキャスト。表情に凄みや切れ味がないし、それが隠し味になっているわけでもない。麻薬王のアジトに乗り込むときも、単身何の策もなく正面突破を図りやっぱり捕まる。こいつはアホかと思わせる芸のなさだ。それに輪を掛けるのがはつみを演じる佐田真由美の大根役者ぶり。心を閉ざした女の役ならこれでもいいが、他人の体に脳を移植されたという複雑な心理を演じるにはまったく無理がある。映像にはこだわりがあってスピード感はあるが、映画はビデオクリップではない。きちんと描くべきストーリーがあってこそ表現術が生きてくることをこの監督は学ぶべきだ。