こんな映画は見ちゃいけない!

コンフェッション CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND

コンフェッション
寸評 人気テレビ番組のプロデューサーが実はCIAの殺し屋だったと告白する。しかし、この「告白」自体がテレビという虚飾と虚構に満ちた世界で生きてきた原作者バリス自身が作り上げたハッタリの世界ではないのだろうか。
ポイント ★★★
DATE 03/8/16
THEATER 丸の内ピカデリー
監督 ジョージ・クルーニー
ナンバー 102
出演 サム・ロックウェル/ドリュー・バリモア/ジュリア・ロバーツ/ルトガー・ハウアー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

CIAの工作員といっても派手な破壊活動や諜報活動をするわけではない。ただ、殺せと命令されたターゲットを人目につかない所で殺すだけ。サイレンサーつきの銃で2〜3発銃弾を撃ち込むだけだ。まったく末端の殺し屋。しかし、彼の表の顔は人気テレビ番組のプロデューサーというから意外だ。というよりむしろ、この「告白」自体がテレビという虚飾と虚構に満ちた世界で生きてきた原作者バリス自身が作り上げた世界ではないのだろうか。

女にもてたい一心でテレビ業界にもぐりこんだバリスはいっこうに芽が出ないが、テレビプロデューサーと名乗っている限りは女には不自由しない。それでも自分の企画が通らないことに悶々とした日々を送っていると、CIA職員からヒットマンにスカウトされる。そして、数々の暗殺をこなすうちに、自分のテレビ番組も人気が出る。プロデューサーとヒットマンの二足わらじ。しかし、人生の絶頂期のあとは自ら命を狙われる羽目になる。

バリスの演出する番組は視聴者参加型のバラエティショーだ。素人を舞台に出しその受け答えをいじくって笑いを取る。それは一見ガチンコに見えるが実はほとんどがヤラセの世界だ。バリスはそういうテレビの虚構構造をおそらく最初に築き、視聴者がそういう番組をガチンコと信じていることにも気付いていたのだろ。そういう意味では、大衆の好みを知り尽くし、大衆はテレビを疑わないことも知っていた名プロデューサーだ。だからこそ、自分の才能に陰りが見え始めたことを自覚したとき「実はCIAに雇われたヒットマンだった」などという告白をしたのだろう。

そもそも、こういう男をCIAがヒットマンとしてスカウトするだろうか。明らかにそういう適性があると思えない。もちろんヒットマンに見えないということが重要だろうし、所詮は使い捨ての人材だろう。それでもある程度の肉体的・精神的強靭さは必要だろう。バリスはどう考えてもそんな仕事には向かない。

そう考えると、この「告白」自体がテレビというハッタリの世界に人生をささげた男の最後の虚飾なのだ。彼の告白が「ウソ」だと証明できるものは誰も名乗り出ないだろうし、バリス自身が口を閉ざしていれば彼の「告白」は事実として一人歩きする。事実、こうして映画化されたのだから。