ハルク HULK |
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| 寸評 | 主人公の二人は30歳ぐらいだろう。いまだに父親の影響下におかれ、独立した個人とはいいがたい。いい年した大人がファザコンに苦しむ姿はみっともない。アメリカでも成人の精神の低年齢化が進んでいるのだろうか。 |
| ポイント | ★★ |
| DATE | 03/7/26 |
| THEATER | 日劇3 |
| 監督 | アン・リー |
| ナンバー | 93 |
| 出演 | エリック・バナ/ジェニファー・コネリー/ニック・ノルティ/サム・エリオット |
| 批評 | ネタばれ注意! 結末に触れています 60年代、遺伝子操作の研究をしていた科学者が自分の体を使って人体実験をするが、彼の子に特殊な能力が遺伝する。科学者は研究を止められ破滅し、子供は里子に出されるが、成長して父と同じ研究を始める。そんなある日放射線を浴びたことから父から受け継いだ形質が発芽し、巨人に変身する。 主人公・ブルースは怒りに心を満たされたとき巨人=ハルクに変身する。しかも、変身している間の記憶はないという、ある種の2重人格だ。いつも感情を抑えがちなブルースという男の鬱積したエネルギーがハルクにのり移るため、ハルクのパワーは驚異的で一回のジャンプで数キロ跳躍するし、戦車すら素手でひねりつぶしてしまう。そのあたり緑の巨人はいかにもCGで合成したことがわかるようなできばえで、完成度は低い。ハルク自身のリアリティより、彼の心の葛藤を描こうとしているのだからそれでもよいのだが。 結局、ハルクは最後まで自分自身に怒っているように思える。忌まわしいDNAを持って生まれた事、そして死んだはずの父がまだ生きていて自分を支配しようとすること。幼いころ父に殺されそうになったトラウマから、自分は必要とされていない人間だと思い込むこと。一生人から愛されないという思い込み。それらがブルースの意識下に刻み込まれ、ハルクに変身したときに爆発する。また、ブルースの同僚・ベティもまたハルクを追う軍人である父の支配下から逃れようとする。 この作品は、成人してもなおファザコンに悩む今の30前後の大人と、いまだに現役として君臨したい老人世代の世代間闘争の図式になっている。一人前の大人になった自分の子供から「子離れ」できない親と、親の影響力から逃れられない子供。最後にハルクが怪物的に進化した父親を倒し、やっと父親のくびきから逃れ、ベティもまた父親との関係を断ち切ることに成功する。しかし、こんな「親離れ子離れ」的な通過儀礼は普通20前に済ませておくべきだろう。ブルースもベティも30歳ぐらいだろう。いい年した大人がファザコンに苦しむ姿はみっともない。アメリカでも成人の精神の低年齢化が進んでいるのだろうか。 |