エデンより彼方に FAR FROM HEAVEN |
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| 寸評 | プールに黒人の少年が入ったとたん、白人全員がプールから上がりその後誰もプールに入ろうとしない場面は、頭では理解していても感情では捨てきれないという、皮膚感覚レベルの偏見を描いた秀逸なシーンだ。 |
| ポイント | ★★* |
| DATE | 03/7/15 |
| THEATER | シネマライズ |
| 監督 | トッド・ヘインズ |
| ナンバー | 89 |
| 出演 | ジュリアン・ムーア/デニス・ジュエイド/パトリシア・クラークソン |
| 批評 | ネタばれ注意! 結末に触れています 1950年代のニューイングランド、会社重役夫人として「理想の奥様」と地元紙でもてはやされる主婦・キャシーと、黒人の庭師・レイモンドとの交流を描いている。リベラルで偏見を持たないキャシーと、実はインテリのレイモンド。2人はお互いを理解しあおうと交際を深める。だが、当時の黒人はまだまだ2級市民として扱われ、街じゅうに見えない壁が張り巡らされ、人々の行動規範を縛っている。 黒人に対する差別がいちばん如実にあらわれるのが、キャシー夫婦がマイアミにバカンスに行った時に、白人ばかりのプールに黒人の少年が入ったとたん白人全員がプールから上がりその後誰もプールに入ろうとしないシーンだ。黒人少女が白人少年に石をぶつけられたり、街が二人の噂でもちきりになると言うよくある「黒人への差別・偏見」などというよりも、黒人が入ったプールに入りたくないという分かりやすい皮膚感覚レベルの偏見。おそらく頭では理解していても感情では捨てきれない差別を描いた秀逸なシーンだ。 しかし、肝心のキャシーとレイモンド、そしてキャシーの夫の同性愛と言った部分では展開がぬるく感じられる。もちろん、この時代に生きたアメリカ人ならこうした差別や偏見の経験があり、自らの恥部を反省させられるようなところもあったのだろう。しかし、人種差別を知識としてしか知らない日本人にとっては、キャシーというヒロインには、黒人とも偏見なく交際しリベラルを通すと言う覚悟のようなものが感じられないと、共感できる部分がない。もちろん、彼女のようなリベラルな白人はたくさんいただろう。中途半端には行動できるが、白人社会を敵に回してまでリベラルを通すことはしない。そういう彼女の心理を共有しているアメリカ人ならヒロインの行動に共感するだろうが、そうでない人間には彼女の行動は歯がゆさしか残らない。 むしろ、当時同様に偏見をもたれていたであろう同性愛をきちんと妻に告白し、本当に人を愛すると言って離婚したキャシーの夫のほうがよほど先進的に見えるのだ。 |