こんな映画は見ちゃいけない!

ターミネーター3 TERMINATOR 3: RISE OF THE MACHINES

ターミネーター3
寸評 新型ターミネーターがジョンを追い、旧型T800が彼を守るために送り込まれるというパターンは「T2」とまったく同じだが、ジョンとT800にアイデンティティクライシスという新たな課題を与え、物語に深みを与えている。
ポイント ★★★*
DATE 03/7/5
THEATER 109シネマズ港北
監督 ジョナサン・モストウ
ナンバー 86
出演 アーノルド・シュワルツェネガー/ニック・スタール/クレア・デーンズ/クリスタナ・ローケン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

新型ターミネーターがジョン・コナーを追い、旧型がジョンを守るために送り込まれるというパターンは「T2」とまったく同じ。破壊の限りを尽くすカーチェイス、新旧ターミネーター同士の闘いというところもきちんと踏襲している。しかし、まったく同じ筋書きで違うのは新型ターミネーターだけというのでは芸がないことは作り手側もわかっているだろうし、もはやCGが当たり前の時代、どんな映像を見せても客はおどろかない。だからこそジョン自身と旧型T800にアイデンティティクライシスという新たな課題を与え、物語に深みを与えている。

ジョンは大人になったが自分が未来の指導者の資質がないことを知り、ホームレスのような生活をしている。亡き母・サラが語ったような未来は来ない。いったい自分は何者なのかという自己喪失に陥っている。そんなときにまた未来からターミネーターが送られてくる。ジョンは未来の妻・ケイトとともにT800の保護の下でTXから逃げる。

この作品では登場人物がみな確固たる自分の信念を持っていない。T800ですらTXにウイルスと注入され、自分のプログラムとは別に手足が動いてしまう。悩んだ末に、ついにはCPUの命令に背いて動く手足を止めるために自らの機能を断ってしまうのだ。なんという人間的な行動だろう。「T2」でも最後にT800が人間の感情を理解したように、この作品でもT800はプログラム以外の意思を持っていいるように思える。だから余計に破壊と殺人以外はプログラムされていないTXに美しさを感じる。1作目と同じく上半身だけになっても追いかける執念には機械なのに崇高な使命を帯びていると思えるのだ。

このシリーズ、3作目にして初めて人間が主人公になった。自分の未来を知っていながら普通の人間であることに悩むジョンが、TXに追われる過程の中での成長を描くことで、CGを主役の座から引き摺り下ろした。そして、結局未来は変わらない。仮にジョンを殺しても別の指導者が現れるだろうし、過去を操作して未来を変えようという試みは無駄であることを教えてくれる。